終幕と新たなる復讐への始まり。
「うああぁぁぁぁぁぁ!!」
響き渡る悲鳴。
飛び散るは鉄を感じさせる赤黒い紅血。
真っ赤に染まった一室。
そこには狂った獣のように咆哮を上げる俺とそれを眺めて嘲笑する少年。
彼らを見守る数十の人影。
止めるものは一人としていない。
自業自得。
因果応報。
そう言われればそれまでのこと。
解決策なんてある訳もない。
謝罪?
もうやった。
だが、無意味。
金? ポイント?
ただ一蹴されるだけ。
必要としているとも思えない。
命乞い?
それこそ無意味。
抵抗?
出来るわけがない。
数が違う。
レベルが違う。
経験が違う。
覚悟が違う。
そして何より俺にはもうそんな戦意を抱くことすら億劫に思えて仕方がない。
体はボロボロ。
心も同様。
気が遠くなりそうなほどの拷問じみた責め苦の数々。
今、意識が保てているのも不思議なくらい。
そしてまた始まる。
今度は何をされるのか。
ああ――もう何もかもがどうでもいい。
早く、俺を殺してくれ。
◆
「死んだ……か」
俺の視線の先には一つの肉塊。
元々は一文字という男だったものだ。
最初の指喰いから続けて数人の男達に尻穴を犯させ、陵辱。
体の皮を少しずつ剥ぎ取っては回復を繰り返したり、急所を切り取って食わせるなんてこともしたっけ。
それで、その後はどうしたんだっけ?
よく覚えていない。
記憶が混濁している。
確か……そう、体をぶつ切りにしている途中で一文字の心臓の動きが止まったんだ。
さて、じゃあ次は――
「お呼びでしょうか」
俺は一人の男子生徒を手招きする。
「ああ、お前に頼みがある」
「た、頼みなどと……私であれば命令してくださればなんでも致します」
恐縮する彼に俺はニヤリと口角を上げた。
「そうか……なら命令だ。自害しろ。お前の忠誠を示せ」
腰につけた短剣を投げ渡し、眼光鋭く見据える。
対する名も知らぬ男子生徒の返答は。
「了解致しました」
承諾。
即答。
狂気的なまでの忠誠心。
これが、これこそが魔法の恐ろしさ。
レベル3の『闇魔法』[暗示]。
それがいかに強力かが露わになる。
[暗示]によって絶対の忠誠心を植え付けられた彼は迷いのない動作で勢いのまま首に短剣を突き立てた。
鮮血が降り注ぐ。
ただでさえ血に濡れた部屋が更に赤みを増す。
だが、今更不快感も何もない。
とっくの昔に血には慣れていた。
実験は終了。
こいつらの忠誠心は異常なまでに、それこそ自害を促せば即決してしまう程には強いことが判明した。
なればもう七面倒な事はしない。
「ここにいる全生徒に命ずる」
一つだけ。
至極単純な命令。
「死ね」
一言。
冷酷に冷淡に冷血に無慈悲に無情に俺は言い放った。
彼らは口を揃えて了解の異を述べる。
ただ淡々と。
当然のように。
持っていたナイフで頸動脈を掻っ切った。
腰に下げた長剣を心臓に突き刺した。
手に持った斧で脳天を割り、肩に担いだ長槍で自らを貫いた。
各々死因は千差万別。
然れど結果は皆同じ。
命令に忠実に、彼ら彼女らは確実にその命を散らしていった。
滑稽、されども惨澹。
惨たらしいその死体達は弔う者もいない今、いずれ腐り、骨となる。
だが孤独に苛まれる事はない。
全員一緒に地獄に行くのだから。
かの地獄では先に逝った一文字とも出会える事だろう。
俺も死んだら天国にはいけないだろう。
先に逝って待っていろ。
死後にはもう少し抵抗できるようになっていることを願っているよ。
少しの間、感慨に耽る。
「先輩……」
鈴のような凛とした声が耳を揺らす。
「鈴華」
美しい金髪に透き通った碧眼。整った目鼻立ちの美少女は所々が血に染まり、隣に立つ大和撫子然とした黒髪の美少女――綾辻も同様に制服を返り血で汚していた。
「これで先輩の復讐も終わり……ですか?」
上目遣いで俺の瞳を覗き込む鈴華。
だがしかし、俺の返答は彼女の期待に沿うものではない。
「いや、俺の復讐はまだ終わっていない。むしろ今回のは前哨戦。おまけ、と言ってもいい。本命はまた別」
「本命、ですか?」
おうむ返し。
鈴華には、いや綾辻の奴にも俺の過去を深くまで語った事はなかった。
だからこそ、今、俺は彼女達に伝えるんだ。
「俺には一文字の奴よりも憎く思っている奴が、奴らがいる。昔から、それこそ生まれた時から死んで欲しいと、殺したいと願ってきた」
対象は、両親。
血の繋がりをもつ、唯一の肉親。
本来であれば守るべきもの。
だが、俺は自分自身に誓ったんだ彼奴らをいつの日か、殺してやろうと。
親殺し編やろうかなと




