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七光り

学業の都合のため本日より二日に一回の投稿とさせていただきます。

私事で申し訳ございません。

 校長室前。


 俺たちは今、透明になった状態のままそこを陣取っていた。


 [暗示]によって手にした情報は正しいものだった様で扉の奥からは微かに会話の内容が漏れ聞こえてきている。


 いや、会話というよりもこれは……。


「はぁはぁ……あぁ!」


 女の艶声と一文字のものと思われる男の喘ぎ声。


 正直言って気持ちが悪い。

 誰が男の喘ぎ声なんぞ聞きたいんだ。


 まだ朝、といっても差し障りないようなこんな時間からお盛んなことだ。


 事情に耽る彼等を少しだけ開いた扉の隙間から覗き見る。


 やはり男は一文字で間違いは無かったが、女の方は……確かそこそこ可愛いって事で有名だった女生徒だ。


 女特有の武器を使って一文字に取り入ったのだろう。強かな女だ。


 一文字は吐き気を催すような気色の悪い蕩けたような表情で警戒の一つも無しに行為をお楽しみだ。


 殺してやりたいという衝動が走るが……まだだ。


 よりあいつが絶望するやり方で殺してやりたい。


 その為の今日の潜入作戦なのだから。


 先ずはあの男子生徒が言っていた固有スキルの存在を確かめることからだ。


 俺は『透明化』を維持したまま『鑑識眼』を発動させる。


 ステータス

 ――一文字 小太郎


 状態:興奮


 職業:指揮官

 レベル:7


 固有スキル

『七色の光』


 スキル

『拷問』Lv.5

『手加減』Lv.1

『指揮』Lv.3

『身体強化』Lv.2

『剣術』Lv.2

『カリスマ』Lv.2


 魔法


 ――


「ブハッ!」


 思わず吹き出してしまった。

 固有スキルの名前が『七色の光』って……そのまんまじゃん。七光りじゃん。


 幸いにも一文字達は情事に夢中で気づかなかったようだが、迂闊なことをした。


『七色の光』……赤、青、黄、緑、紫、白、黒色の特殊な効果を含んだ光を放出できる。

 ってものらしい。


 確かに、こいつだけを殺すならそう難しい事でもない。スキル発動前にころせばいいだけなのだから。


 でも、徐々に絶望を加えながら殺していくという今回の目標からすれば面倒なスキルだ。


 さてどうしようか、と思考を巡らせていく。


 あ――。


「いい作戦を思いついた。鈴華達は先に車に戻っててくれ……俺はちょっとやる事が出来たから」


 さて……動くか。


『透明化』は解かないまま俺は一人ある場所へと向かった。


 ◆


「すまん、待たせた」


「いえ、大丈夫です」


「ん……」


 二人は二時間ほどしてようやっと戻ってきた俺を少しも責める様子はない。


 二人の優しさが身にしみる。と同時に申し訳なさが込み上げてくる。


「本当にすまん。思ったよりも時間がかかってしまった。……このお詫びはいつか精神的にお返しするよ」


「別に気にしてはいないんですけど……そうですね。期待して待っています」


「ん……楽しみに……してる」


 鈴華は苦笑気味に微笑んで綾辻は無表情な中にどこか嬉しそうな感情を見せた。


「それじゃあ一旦帰りますか?」


「あー、どうしようか」


 帰るにはまだまだ時間はあるし、帰ったとしても何かやる事があるわけでもないからな……。


 そうやってウンウンと悩んでいると綾辻が口を開いた。


「それなら私、行きたいとこが……ある」


 綾辻の珍しい主張だ。

 これは聞かないわけにはいかない、と俺は即座に了解する。鈴華も特に何かあるわけでもないですし、という事で了承を出した。


「それで、どこにいくんだ?」


 俺は疑問を投げかけた。


 もう既に車を動かし始めた綾辻だったが、もう車の運転にも慣れたのかハンドルを握ってちゃんと前を見ながらも会話が出来るくらいに上達しているので問題ないはずだ。


「宝石店と後は鉄とかがありそうな場所」


「あぁ、『錬金術』で使うのか?」


「ん……そう。持ってた分の鉄はもう殆ど使っちゃったから」


「じゃあ宝石ってのは?」


「ダイヤモンドが……欲しい。あれがあればいい弾が作れる」


 なるほど『錬金術』で簡単に加工できるからこそいえる事だな。


 それがなきゃダイヤを加工して弾丸にしたい、なんていう奴がいるとは思えない。


 まあ、ダイヤは貴重で高価な物だろうけど今の状況でそんな事言ってらんないよな。


「先ずはどこか宝石のありそうなとこを探そうか。鈴華、ここら辺でそういう店ってないのか?」


「ええっと……すみません。そういった店にはいった事がないので……」


 別に知らないならしょうがない事だと言うのにこんなに申し訳なさそうにされると逆に困ってしまう。


「いや、別に謝る事じゃない。知らないなら知らないで見つける楽しさってのもあるだろ?」


 おどけるようにして沈んだ空気を和ませる。

 クスリと笑った鈴華を見てホッと胸を撫で下ろす。


 そんでもって一時間程、街中を探し回ってようやく見つけた。


「あれじゃないか、宝石店」


 車から降りて確認する。


 店はどこも荒らされた様子は見受けられない。

 魔物にとってこの店には魅力を感じなかった為だろうか。


 まあ何にせよ都合がいい。鍵が掛けられていたので窓を魔法でぶち抜いて侵入する。


 店内にはズラリと宝石が並べられている。


 勿論そこにはいくつものダイヤモンドが。


「取り敢えず、全部もって帰ろう」


 という事で、[収納]で展示されている限りの宝石は全ていただいた。


 欲しがる相手にポイントと交換にすれば結構な額がボッタクれるかもしれないと思うと少し顔がほころんでしまったのはしょうがないことだろう。


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