復讐開始宣言
日が昇り、朝になった。
チュンチュンと煩いくらいの小鳥の囀りで目を覚ました俺は就寝の時間が遅くなったせいもあってか意識が完全に覚醒するまで数分を擁した。
ゆっくりと上半身を起こし、寝ぼけ目を擦りながら辺りを見渡す。
「ああ、そういえば」
昨日は鈴華の家に泊まったんだっけな。
覚醒した頭に昨日の記憶が蘇ってくる。
そうやって記憶を整理していると。
「あ、先輩。おはようございます」
台所の方から鈴華の声が聞こえてきた。
「今朝ごはん作っているのでちょっと待ってて下さいね」
確かに芳ばしい、いい匂いが漂って来ているのがわかる。
そして、綾辻はだが……まだ起きていないようだな。
リビングに取り付けられていた時計を見るに、現在の時刻は午前7時と言ったところ。
起きるには丁度いい時間帯だ。
ソファから立ち上がり、欠伸をする。
「鈴華、洗面所を借りていいか?」
「あ、はいどうぞ」
鈴華に場所を教えてもらって洗面所へ。
バシャバシャと冷水で顔を洗って完全に目を醒ます。
リビングに戻るともう既に出来上がっていた料理が食卓に並べられていた。
そして、そこにはエプロンを身に纏った鈴華がいた。
戦闘時とはまたギャップのあるその姿に不覚にも少しドキッとさせられた。
「私、姫菜さんを起こしてくるので、先輩は座ってて下さい」
「ん、ああ、わかった」
少し吃った俺にフワッと微笑みかける鈴華だったが、よく見るとその目元が赤く腫れているのが分かった。
泣き腫らした跡、ということだろう。
両親が死んだのに何も思わないということはないか……。
話を聞く限りでは俺の家とは違って親子仲の良かったらしいのだから尚更だ。
俺はそれを指摘するでもなく、ただ部屋を出る鈴華を見送った。
ゴシゴシと目を擦りながらリビングに現れた綾辻は未だ覚醒していないその頭をなんとか使って椅子に座ったが、寝起きだからか寝癖がものすごいことになっていた。
それを鈴華が母親かっ! と思うほど世話を焼いていた。
それから数分。
やっと寝癖が治った綾辻と、満足気な表情を浮かべる鈴華と共に朝食を摂っていた。
「鈴華、綾辻……話がある」
顔を真剣に変えて、一旦箸を置いてから二人の方へ向き直る。
二人も何か重要な話があるのかと箸を止めて聞く態勢をとる。
「鈴華……お前との約束、覚えているか?」
「えっと、はい」
俺が鈴華と交わした一つの約束。
鈴華の復讐を手伝う代わりに俺の復讐を手伝ってもらう。
そして鈴華の復讐は遂に昨日果たされた。
「次は、俺の番だ」
瞳を鋭く光らせて、そう自分に言い聞かせるように宣言する。
「手伝って、くれるか?」
「わ、私は手伝いますよ。約束は守ります!」
「私……も、手伝う。元々は私のせいも……あるから」
勢いよく頷く鈴華と対照的に顔を伏せながら声を窄める綾辻。
「いや、別にあれはお前の所為じゃない。全部あいつらが悪いんだ。だから、その罪を償わせるために復讐するんだ」
諭すように優しく語りかけ、俯きがちだった顔を上げさせる。
「もう一度聴くぞ、綾辻。俺の復讐の為に力を貸してくれ」
「……分かった。私は黒っちの復讐の為に力を貸すよ」
こうして、次の目標は決定した。
「でも、具体的にどうするかは決まっているんですか?」
鈴華が、疑問を呈した。
今はまだそこまでの作戦と言えるものは思いついてはいないんだが……。
「取り敢えずは俺のいた学校の近くまで行って何人か生徒を捕まえる。そんでそいつに[暗示]の魔法でもかけて内部情報を提供してもらおうかと考えている」
これで人数やら配置やら、後はリーダー格の奴が誰なのかも教えてくれれば後々楽になる筈だ。
あと重要なのが、まだ一文字の奴らが生きているのかどうか、だ。
出来る事ならまだ生きていて欲しいところだ。
あいつらが死んでいたとしたら俺の復讐の意義が半分以上なくなってしまう。
それに、あいつらの苦しむ顔が拝めないとなると単純にモチベーションが下がってしょうがない。
名前も知らない奴らを殺したところで復讐を成した事に成るとは思えないしな。
「復讐の実行はまだ数日先の予定だが、今日は学校近くまで行ってみるつもりだ。二人も準備はしておいてくれ」
「はい」
「……ん」
主人公の復讐が漸くかけるぜ!




