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初回限定無料ガチャ

ガチャ……やってみたかったんです。

「先輩、先輩、起きてください先輩! もうお昼ですよ」


 夢の世界に飛びだった俺の意識をゆさゆさと揺れる一定のリズムと、少し責めるような口調が覚醒させていく。


「……ん、おはよ」


「おはようございます、もうお昼の十三時ですよ。流石に寝すぎです」


 なんでも、お昼ご飯を作ってくれていたようで、いつまでも俺が起きないものだからご飯が冷めてしまったみたいだ。


「すまん……けど、それなら先に食っててもよかったんだが」


「……一人でご飯食べてもつまらないじゃ無いですか……」


 そうやって寂しげに口を尖らせる彼女を見ると罪悪感を覚えてしまう。


「いや、ホントにすまん」


「まあ、いいですけど。早くご飯食べましょう。あっためてくるので」


 そう言って鈴華は台所に向かっていった。


 俺もベットから降りると寝癖の酷い髪をある程度セットしてからリビングに足を向ける。


 手際のいいことにリビングのテーブルには既に料理が出されていた。


「今日は中華にしてみました」


 とのことで、炒飯、卵スープ、そしてサラダが今日の昼食であるらしい。


 いただきますと、食前の挨拶をすませると炒飯を一口。


「おお!」


 中華のお店で出てくるようなパラパラ具合が再現されている。

 控えめにいっても美味しい。


 そうやって俺たちは和気藹々と食事を食べ進めていく。


「あ、そういえば先輩、今日のことなんですけど……休みにしませんか?」


 唐突に鈴華が今日は休みにしようと言い出した。


 しかし、昨日のようなこともあるのだから出来るだけレベルを上げておきたい。


「でも、適度に休むことも必要ですよ。それに、本当なら今日って日曜日じゃないですか。私達、この一週間まともに休んでないですよね。あんまり無理し過ぎても効率が悪くなるだけですよ」


 どれだけ休みが欲しかったのかは知らないがこう捲し立てられると俺の意見は言い難くなり、結局今日は休み、ということになった。


「それじゃあ先輩、今日は何をしましょうか。街に出かける……のは無理ですから家で何か出来ることですよね」


 鈴華はウンウンと頭を捻らせる。


「あ……そうだ先輩、買い物しましょうよ、買い物」


「買い物って外に出かけるのは無理って言ってただろ?」


「あ、いえ、そういうことではなくですね、ショップを使うんですよ。ほら、色々と買っておきたいものとかもあるじゃないですか。

 それに昨日私の盾もボロボロになっちゃいましたし、どうにかしないとって思ってたんです」


「そういえばそうだったな」


 昨日の戦闘で鈴華の盾が一撃で凹まされたのを思い出した。


「それに私達、結構魔物を倒しているはずなのでポイントは結構あると思うんですよね」


 そう言ってメニューからショップ画面を開く。


「あれ?」


 鈴華は何がおかしいのか疑問符を浮かべる。


「どうした?」


「えーと、何かショップ欄に新しいのが増えてます――ガチャ? っていうのが」


「ガチャ?」


 なんだそれは、と俺もショップを開く。


 ショップリスト


 ・武器

 ・防具

 ・家具

 ・魔道具

 ・食料品

 ・消耗品

 ・嗜好品

 ・ガチャ



 残高:122,000pt


 ――


 たしかに鈴華の言うように"ガチャ"という項目が増えている。


 興味本位から覗いてみることにした。



 ――ガチャ



 ・初回限定ランク5以上確定無料ガチャ!


 ・ランク3以上確定武器ガチャ!

 ・ランク3以上確定防具ガチャ!

 ・ランク3以上確定魔道具ガチャ!

 ・ランク4以上確定11連ガチャ!

 ・ランダムガチャ



 *ランクは1〜10


 ――


「へぇ、面白そうじゃないか?」


 一度だけやってみようか……と思っていると。


「先輩、無駄遣いはいけませんよ」


 鈴華がこちらをジト目で睨みつけていた。

 俺の行動は先読みされていたみたいだ。

 なんでそんなのわかんのちょっと怖いんだけど。


「いや、いや、無駄遣いなんてしねぇよ。一番最初は無料って書いてあるだろ」


「む、たしかに」


 という事で、俺は意気揚々と【初回限定ランク5以上確定無料ガチャ!】を回す。


 次の瞬間、画面にゲームセンターに置いてあるようなガチャガチャのイラストが映る。


 取っ手の部分の"回してね!"という指示に従い、指を動かす。


 取っ手が一回転してガチャリと音がなるとカプセルが転がり落ちてきた。


 カプセルはひとりでに開いていき――


 ――死神の礼装


 ランク:8


 分類:防具


 説明:死神が持つ正装の一つ。着用した者の気配を極限まで薄くする(任意)。『闇魔法』の効力が倍加する。耐刃、耐魔にも優れる。



 ――


 黒一色で体全体を覆い隠せるほどの外套が虚空から突然現れた。


 ショップで物を買ったのは初めてだったが、まさかこんな形で届けられるとは思っても見なかった。


 商品の届け方にも衝撃だったが、それ以上にこの外套はヤバイ、ヤバすぎるくらいだ。


 ランクが10までのなかで上から三番目のレアリティなだけあって効果が物凄いことになっている。


 この分だとランク9、10は相当にチート性能なのだろう。


 鈴華の方を見てみると彼女も初回無料のガチャを引いたようで()()を抱えたまま固まってしまっていた。



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