帰宅
今回めちゃくちゃ短いです。
すみません!!
情けをかけられたという事だろうか、俺たちはそれぞれ怪我を負いながらも命を失う事はなかった。
幸運だった、と言うしかない。
俺たちの自力ではあいつを殺すどころか逃げることも許されなかったのだから。
「先輩……大丈夫ですか?」
「俺は肋骨にヒビが入ってる程度だ。すぐに治る。それよりもお前の方が重症だろうが」
鈴華は俺を心配そうに見つめるが、俺としては鈴華の方が心配だ。彼女はあのコボルトの攻撃を盾越しとはいえ何度も受けていたのだ。怪我をしていない訳がない。
見ると制服は土で汚れ、ところどころ血が滲んでいるのが見て取れた。
「私は大丈夫です。魔法で治すので。……[小治癒]」
鈴華は淡い光に包まれる。
光が消えると彼女の肌についた傷が治っているのがわかった。
「そういえばその魔法は初めて見るな」
「たしかに余り使っていないかも知れません。普通のコボルトやウォーウルフ相手だと傷なんて基本付きませんし。それに怪我なんてしない方がいいじゃないですか」
「まあ、そうなんだけどな」
その後俺たちは二、三言葉を交わすと帰宅の準備を整え始める。
本当はもっとレベルが上げに勤しみたいが、俺のMPも鈴華の体力も限界に近い。
[小治癒]は軽傷程度なら治せるが肉体の疲労や大きい傷は治せないらしいから仕方がない。
「先輩、帰りましょう」
鈴華の声に首肯で答える。
道中、魔物とは一匹も遭遇する事はなかった。これも、あの銀コボルトのせい――いやおかげなのだろう。
拠点であるマンションに着くと溜まりに溜まった疲労のせいか強烈な眠気が襲いかかってくる。
そうして俺たちは気絶するように眠りについた。
◆
「……あれ?」
俺の目が覚めたのは朝日が昇り切る少し前といったところだった。
「なんで俺……こんなとこで寝てんの?」
目を覚ました俺がいたのはベットの上ではなくリビングのど真ん中。
しかも服は寝るときに着る部屋着ではなく昨日家を出た時と同じ服。
さらに言うと、俺の隣では鈴華が寝息をたてているのを確認できた。
俺は軽くパニックに陥るも、すぐに状況を把握した。
「ああ、そういえば……」
昨日の出来事を思い出す。
死んでもおかしくなかった、そんな出来事に昨日の恐怖が蘇る。
体が震えるのは寒いからだと自分に言い聞かせる。
「ん……」
隣で寝ていた鈴華が身動ぐ。
ゆっくりと瞼が開いていく。
上半身を起こすと、目をこすりながらキョロキョロと辺りを見渡す。
そんな彼女の動作にさっきまで恐怖を感じていた俺の体が熱くなるのを感じた。
「んぅ……先輩? おはようございます……って、なんで先輩が!?」
まだ、完全に目が覚めていないようでここが何処であるかもはあくできていないようだった。
「落ち着け、昨日は二人してここで寝落ちしちまっただけだ。俺はなんもしてねーよ」
俺は分かりやすく簡潔に今の状況を説明した。
「そ、そうですか……すみません、取り乱しました」
鈴華は心なしか少し落ち込んだようにも見えたが、何に対してなのか俺には見当もつかない。
俺は立ち上がり、時計を確認するが寝た時間が早すぎたためかまだ五時前という微妙な時間だった。
ということで俺は二度寝に突入することにした。
鈴華も一度風呂に入ってらもう一度部屋で寝るつもりのようだ。
「おやすみ」
「おやすみなさい、先輩」
早朝には似合わないその挨拶に少し違和感を感じるが、やはり眠気には逆らえない。
俺は部屋着にパパッと着替えると倒れこむようにベットに入る。
そうすると自然と瞼が落ちてくる。
ベットに潜って数分もしないうちに俺はもう夢の世界に旅立っていた。




