レベル8
《レベルが上がりました》
あれから二日。
数十というか魔物を殺して漸くのレベルアップ。俺のレベルは8になった。
その間、鈴華は二度のレベルアップを果たしていた。
「やっとですか……結構かかっちゃいましたね、先輩」
「ああ、この分じゃあレベル15まではまだまだ先になりそうだな」
俺たち、特に俺は疲れから足が重くなったのを感じて休憩を取ることにした。
腰を下ろして水筒を取り出す。
ここで、そういえば、と鈴華が話を切り出す。
「先輩、スキルポイントはどうするんですか? 結構溜まってましたよね」
「あ〜……どうしようか」
戦力の強化の為には重要な物なのだが、すっかり頭から抜け落ちてしまっていた。
「私はもう決めちゃいましたけど」
「え、うそ……」
「本当です。今日の戦いでも使っていたんですけど……」
気づかなかったんですか? と少し呆れを含ませた表情の彼女に俺はウッと言葉を詰まらせる。
すると鈴華はステータス画面を開いて見せてくる。
固有スキル
『守護障壁』
スキル
『精神耐性』Lv.4
『恐慌耐性』Lv.2
『剣術』Lv.4
『盾術』Lv.2
『頑丈』Lv.1
『危機感知』Lv.2
魔法
『光魔法』Lv.2
[小治癒]
[光源]
[閃光]
スキルポイント:0
――
「『危機感知』と『光魔法』の[閃光]が新しい私の力です」
「いつのまに『光魔法』がLv.2になったんだ?」
「ああ、あれはポイントを使ってレベルを上げたんです。本当は直接攻撃系の魔法も欲しかったんですけどポイントが足りなくって……」
「『危機感知』の方もレベルが2になっているな」
「はい、重要なスキルだと思ったので」
「ん、いいんじゃないか? 俺もそういうスキルは必要だと思っていたんだ。早いうちに手に入ってよかった」
そういうと鈴華はホっと安堵の息を漏らす。
彼女なりに頑張って選んだスキル、魔法を認めて貰ったのが嬉しかったのだろう。
「それで、結局先輩はどうするんですか?」
「ん〜」
メニューを開き、取得可能なスキルを眺める。
・『闇魔法』
Lv.1
[闇球](1)
・『雷魔法』
Lv.1
[静電撃](1)
[帯電](1)
[麻痺](1)
・『時空魔法』
Lv.1
[俯瞰](1)
・『魔力視』(1)
・『魔力感知』(1)
・『魔力隠蔽』(1)
・『魔力譲渡』(1)
・『MP増強』(1)
・『魔力強化』(1)
・『魔力回復』(1)
・『身体強化』(1)
・『MP変換』(1)
――
俺は前にレベルが上がった時からずっとポイントを使っていなかったのもあって12ものスキルポイントが溜まっている。
取ろうと思えばほとんどのスキルは取れてしまう……が、それはしない。
一度にいくつもスキルを取っても使いこなせる気がしない。
とりあえず、絶対に役に立つであろう『MP増強』、『魔力強化』、『魔力回復』を取る。
これで使用したポイントは3。
残りは9ポイントになった。
次は『闇魔法』のスキルレベルを一つ上げる。
これには2ポイントかかった。
『闇魔法』がレベル2になると習得出来る魔法が増えた。
それがこれ。
・『闇魔法』
Lv.2
[闇弾](2)
[闇槍](2)
[影鞭](2)
[影沼](2)
――
ポイントはまだ余っていたのでまだ取っていなかったレベル1『闇魔法』の[闇球]も合わせてすべて取得する。
これで俺のポイントは0。
すべてを使い切った。
「終わったぞ、鈴華」
俺はステータス画面をそのままに鈴華に見せる。
「うわぁ、魔法がいっぱいありますね」
「そりゃ、職業が魔法師だからな」
そうやって数分の談笑のあと、俺たちは休憩を終わらせる。
「よし、そんじゃあもう一狩り行こうか」
「はい!」
◆
あんなに元気よく出発したはいいが、それから一時間、全く魔物と出くわさない。
「どうなってんだ?」
「魔物、全く見つかりませんね……こんなこと今までなかったのに」
今日までの経験だと普通に歩いていたら10分に一回は接敵していた。
それが一時間もない。
もしかしたら偶然なのかもしれない……が、どこか薄ら寒さを感じる。
「っ!? 先輩!」
鈴華が声をあげる。
「いま、『危機感知』が発動しました。何処か近くに敵がいるはずで――」
俺も鈴華も警戒を怠ってはいなかった。
しかし、一瞬の間に鈴華は十メートル近く吹き飛ばされた。
「クソっ!!」
俺は慣れたバックステップで距離を取ろうとするが、一瞬で距離を詰められる。
魔法なんか使う隙も与えられず、鈴華同様に吹き飛ばされる。
情けなく地面をゴロゴロと転がる。
息が出来ない。
苦しい。
相手は武器を持っていなかった。
それ故に一撃で死に至ことはなかった。
しかし、それでも重い一撃。
まだ立ち上がることも出来ない。
それ以前に呼吸が困難。
恐らく助骨が折れてしまったのだろう。
もしかしたら内臓にもダメージが入ってしまったかもしれない。
なんとか攻撃してきた相手を盗み見る。
そして、俺の目が捉えたのは――一体のコボルトだった。




