朝食とステータス
「おはようございます、先輩」
「ああ、おはよう」
翌日の早朝、六時。
鈴華は俺よりも早く起きていたようだ。
これでも朝は早い方だと思っていたが、彼女はそれよりも早く起きていたらしい。
いつものように朝食を準備しようとした俺だったが、鈴華は朝食くらいは自分がやると聞かなかった。
「先輩ほど料理は上手くないですけど……」
そう言って出されたのは朝食としては少し豪勢なものだった。
白米に味噌汁、焼きシャケ、卵焼き、おひたし、そして山盛りのサラダ。
朝にこれだけの量作るのは結構な手間だと思うのだが、彼女は少しも疲れた素振りを見せない。
「いただきます」
「はい、どうぞ召し上がれ」
シャケを一口大に切り、口に運ぶ。
ほろほろとした身が口の中で溶けていく。
味も絶妙。さらに塩加減がとても俺好みだ。
堪らず白米をかっこむ。
その後も無言で一口一口噛みしめるように食べていく。
「ど、どうです?」
「ああ……すげぇ美味い」
「そ、そうですか……よかったぁ」
安堵するように彼女は息を漏らす。
お次は卵焼き。
これは俺もよく作る。
箸で小さく切り分け、一口。
ふわふわとした食感にほんのりと甘い味付け。
これもまた美味しい。
彼女は俺の方が料理が上手いというが、俺は彼女の方が上手いのではないかと感じた。
白米、シャケ、卵焼きと交互に食らい、箸休めにサラダを食べる。
シャキシャキとした食感が心地いい。
俺は味噌汁に手を伸ばし、ズズッと啜る。
濃厚な味噌の味が舌を刺激する。
「この味噌汁、旨いな」
豆腐、わかめ、油揚げ、ネギ、と具材は特に変わったものはなさそうだ。
とすると、ダシか?
「使ったお味噌が少し高級そうでしたからそのせいだと思いますけど」
「ダシなんかはとっていないのか?」
「えっと、一応は……。昆布と鰹節、あと煮干しを使っています。結構普通だと思いますけど」
「うーん、なんていうかいつも俺が作っている味噌汁とは一味違う……気がする。うん、旨い」
「そ、そうですか……ありがとうございます」
俺はもう一口味噌汁を飲む。
鈴華は恐縮していたが、毎日作ってもらいたいくらいだ。
そう話すと、彼女は勿論喜んで! となぜかテンションが上がっていたのが印象的だった。
◆
「さて、飯も食ったことだし今後の事を話し合おうか……」
「はい」
俺たちは使った皿を片して一息ついた後、リビングのテーブルで向かい合っていた。
「まずは復讐の為には強くならないと話にならない。ということで、出来るだけレベルを上げていきたいと考えている」
「……私は先輩に従います。二度も命を救われましたから、その恩を返すまでは。」
「そう、か。鈴華には前衛として戦ってもらうことになるが大丈夫か?」
「さっきも言った通り、私は先輩の言葉に従います。それに、前に立って戦うのは前と変わりません。寧ろ、先輩がいるだけ前よりも心強いくらいです!」
鈴華は微笑んでそう返す。
一昨日の戦闘で一緒に戦ったのが良かったのか俺への評価は上々のようだ。
「前衛がいるともっと安定した戦いができるようになるだろうから正直助かる」
「任せてください! 先輩には傷一つつけさせませんよ!」
「いや、だからって俺を守ってお前に傷が出来ても困るんだが……」
「あ、それなら大丈夫ですよ。私には『光魔法』がありますから、回復ならお手の物です」
「『光魔法』……そんなのも持っていたのか、そういえばお互いのステータスの確認とか諸々していなかったな」
「そういえばそうでしたね」
鈴華はこれが私のステータスです、と言って俺に見せてきた。
俺もそれに習うようにステータスを開いてみせる。
ステータス
――護城 鈴華
職業:聖騎士
レベル:4
HP :120/120(30)
MP :80/80(20)
筋力 :32(8)
耐久 :60(15)
精神 :40(10)
敏捷 :16(4)
器用 :8(2)
魔力 :24(6)
固有スキル
『守護障壁』
スキル
『精神耐性』Lv.4
『恐慌耐性』Lv.2
『剣術』Lv.4
『盾術』Lv.2
『頑丈』Lv.1
魔法
『光魔法』Lv.1
[小治癒]
[光源]
スキルポイント:2
――
「これはなかなか……。『剣術』のスキルレベルが高いな」
「まあ、何年もやってましたから」
「それに『守護障壁』ってのも気になる」
「ああ、それですか。結構凄いスキルですよ」
俺は気になって詳しく聞こうとする。
「これは一日に一度、一分間だけどんな攻撃も防いでくれる障壁を作るスキルです。一度だけ試しましたけど本当にどんな攻撃も効きませんでした」
「そりゃ……すげぇな。頼りになる」
「えへへぇ……先輩のステータスも凄いですよね。レベルとか能力値もそうですけど、スキルが多すぎじゃないですか?」
「ああ、それは『復讐』ってスキルのせいなんだが、その話はまた今度にしよう。お互いのステータスやらスキルやらも分かったことだし、そろそろでないか?」
結構いい時間だし、という俺の言葉に彼女は元気よく、はい! と返事をする。
「まずは出来るだけレベルアップすること。とりあえず目先の目標は15だ」
「了解です!」
俺たちは意気揚々とマンションを出た。




