↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5243/5253

第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その千百九十五


―――兵站の構築について、メイウェイを交えた『会議』は続く。

学生たちは緊張していたものの、すぐに慣れ始めていたよ。

さすがはエリートであり、戦場に自ら向かおうとしただけはある。

とっくの昔に覚悟は決めていて、自分たちの力を使いたがっていた……。




―――もちろん、出せるようなアイデアを彼らはそう持ってはいなかったけれど。

状況分析の能力は、ソルジェよりも上かもしれないからね。

乱世を勝ち抜くための兵站の会議、吸収しているだけでも有益だ。

彼らにもその兵站を担う『官僚役』になって欲しいし、その能力は十分にあるから……。




―――ソルジェたちの会議は、メイウェイを交えることで直近の目標にも変わる。

帝国軍の反撃に備えつつも、兵站の拡張も考えるべきだったからね。

こちらの戦力は十分だが、とてつもない長距離の強行軍で疲れてはいるんだ。

この地に残る帝国の兵力が、結集して攻撃を加えてきたら負けていた……。




「幸い、混乱が見られる。シドニア・ジャンパー少尉への期待が外れたことで、帝国軍の指揮系統はマヒしていると言えるだろう」

「君は優秀な会計将校ってだけじゃないみたいだぜ。明らかに、軍事的なカリスマもあった」

「過去のものだろう。私が詐欺師だと、お前らが広めてしまったからな」

「居場所を奪ってしまったから、居場所を与えようともしているのさ」




「どうして、そこまで信頼を得ていたのだろうか。少尉の階級では、さすがに珍しいことだが」

「優秀な人材は『十大師団』に吸い上げられている。ろくな人材がいないから、私でも目立ったんだ。それに、傭兵を抱えていたことも期待される要因にはなっただろう」

「なかなかの戦力ではあったからな。あいつらを上手く戦場に投入されていたら、こっちも負けていたとは……言わん。だが、掘る墓の数は爆発的に増えていたよ。君の思想に基づけば、この結果は良かったか。死者の数は、減ったはず」

「傭兵も、お前たちに大勢殺されてしまったが……戦場での死の数に比べれば、マシ、だったのかもしれないな……」




「その種の性格は『十大師団』向きではないが、末端の兵士たちは共鳴するのかもしれない。彼らは故郷から遠く離れ過ぎて、モチベーションを失っている。死ぬほどの価値や名誉を、もう戦争には持てていないのだ」

「北方野蛮人のオレからすれば、その考えは全く分かってやれない。とはいえ、共感は出来なくても理屈は分かる。帝国兵たちにとって、ここは命懸けで守るべき土地ではないんだな」

「そうだ。彼らの貯金も、少尉殿のせいで消えているかもしれないのだから」

「文句を言うなよ。そのおかげで、結束が破壊されている」




「では、さらに活躍してもらおう。この地図を見てくれ」

「……『トゥ・リオーネの地』の、地図か」

「君がこの土地での兵站も仕切っていた。となれば、オレたちもそのルートを使わせてもらうべきだ。一気に、各都市の解放および……帝国軍基地の襲撃をするために」

「戦争になれば、目がキラキラと。ガキのような残酷さだな」




「ストラウス卿も、言わずもがな私も、それが仕事なのだ」

「分かっている。協力はする。私にも、帝国打倒の筋書きは見えた。姫さまの理想を、追求させてもらおう」

「では、筆を君に。インクをつけておこうか?」

「いらん。それは紳士的なサービスではなく、ただのウザさだぞ」




「手厳しいな。才女に対して、愚かな振る舞いだったかもしれん」

「……国境沿いに、拠点を多く作っていたのですね」

「そうだよ、ロロカ・シャーネル副社長。私は、やはり毛色が悪くてな」

「密輸業者と、結託していたのですね」




「その通り。連中のビジネスにかける衝動は、侮りがたいものがある。帝国軍としては、犯罪者を使う行為は嫌っているものの、私は実利を優先する悪い会計将校だったからね」

「帝国軍の正規のルートも、使いにくさがあったのか?『ペイルカ』を掌握していたマイク・クーガーは、君の姫さまの政敵でもあった」

「少佐は私のような不誠実な女は嫌いであったものの、仕事に私情は挟まない。それが、彼の美徳でもあるが、一種の限界でもあったな」

「冷徹な評価だね。私は少佐の著書のファンだが……彼は、天才ではあったんだぞ」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。