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5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

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第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その千百九十一


―――シドニア・ジャンパーは、生産性に対して興味は薄そうだからね。

彼女は略奪・搾取型の思想の持ち主であって、単独での創造性はあまりない。

でも、チームで動けばかなりの強さを持つことは確かだったよ。

ロロカが期待しているのは、そういう側面なのさ……。




「戦略的なお付き合い、か」

「連携しましょうってことですね。そっちの方が、お互いのためになるでしょうから」

「監視するつもりかな、私を」

「そこまで露骨なものじゃありませんけれど。でも、いっしょに行動した方が双方の利益にはなるでしょう」




「正しい道に、近づけと」

「ソルジェさんの言葉は、合理的だと思いますよ。善や悪で推しはかるべきではない力も、正しさというものはあるものです」

「アタマでっかちになりすぎても、兵站は回らん」

「はい。流通もそうですよね。だから難しさもあるけれど、面白くもあります」




「強者だからこその、余裕だろう」

「今のところは、そうですね。でも、帝国を過小評価する気はありません」

「当然だ。そんなことをしている余裕は、お前たちにはない」

「私たち、ですよ。『こちらサイド』に、少尉も来たんですからね」




「協力する、か。何をして欲しい、ロロカ・シャーネル」

「じゃあ、ちょっと悪いことをしてみたいですね」

「どんなことか、当ててやろうか?」

「ええ。あなたの性格を推し量るためのテストにもなりそうですから」




「書類の偽装だろう。帝国軍の兵站ルートを、『ストラウス商会』のような商人ならば利用したいはずだぞ」

「正解です。具体的に欲しいのは、『プレイレス』周辺の兵站網。帝国軍のそれはまだ生きていて、再建および再編しようと動いています。あなたの書類偽装があれば、私たちが奪いやすい場所に帝国軍の物資を運べるかもしれません」

「もちろん、やれるぞ。帝国軍の兵站は、とても有能ではある。この無能な辺境侵略軍どもでさえ、兵站ルート自体は一級品だ。私がデザインに関与してもいるしな。しかし、略奪か」

「略奪じゃなくて済むのなら、さらにありがたいですけれどね。たんに騙して利用できるのなら、仕事の肩代わりだってやれそうですし」




「寄生するわけだ。帝国軍の兵站に、お前たち『ストラウス商会』が運ぼうとしている物資を運ばせたい」

「はい。ユニコーンの輸送能力や、『ストラウス商会』自身が創り上げた通常の馬や、牛さえも使った輸送能力は有能だという自負はあります。でも、使えるのなら敵の輸送能力を利用してみたいので」

「敵を使って、ビジネスをさせる。なかなか、嫌なことを思いつくじゃないか、眼鏡のディアロス商人よ」

「あら。一般的な商慣習でもあるでしょう。ライバルの会社だって、上手に使いこなせば利益を生み出せますし」




「それで。『プレイレス』周辺の帝国軍兵站に、何を運ばせたいんだ?」

「可能ならば、何もかもですけれどね。どこまで、あなたは兵站を騙せますか?」

「やろうと思えば、何もかもだろう。十大師団クラスが徹底していく状況では、何もかもが混乱している。本来、私はとても多忙な身の上になるはずだった」

「会計将校たちは、あちこちで大忙し、というわけですね」




「書類のチェックも、ずさんになっているよ。違反者を出したとて、構わない。どんな不正で掠め取られても、気にはしないさ。そんなこと気にしている以上の緊急事態ではあるからな。まあ、騙せるだろう。騙せなかったときは、戦闘になってしまう。お前らのお得意の略奪だな」




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