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5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

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第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その千百八十九


―――ソルジェはドゥーニア姫への手紙を書きつつ、近くにいる女を見た。

嫁たちじゃなくて、シドニア・ジャンパーだよ。

テントのなかにいる彼女には、自由と好奇心がある。

『余剰生産物で矢を作る』こと、それは会計士官にとっては興味深いようだ……。




「君も、同じようなことを考えた日があっただろうか?」

「……ないとは、言わん。やろうとは思わなかった」

「だろうな。帝国には、不可能だ」

「その通り。亜人種の協力など、得られるはずもないからな……」




「だが、君はとっくに『こちら側』なんだよ。才能を発揮してくれる現場が生まれたな」

「私を信用するのか?だとすれば、お前は愚かだぞ」

「知っている北方野蛮人だぞ。賢明なヤツなんて、そういるもんじゃない。オレは間違いなく違うよ」

「それで、私にどうしろと?」




「アドバイスだな。全般的なアドバイス。オレよりも、君の方が物流だとか、兵站については得意分野だろう。帝国軍を支えてきたんだ」

「ユアンダートが作ったのだぞ、基本的なデザインそのものは」

「大したヤツじゃある。それは認めるよ。クソ野郎で、殺すけどな。軍事的な天才ではあった。しかし、オレは最近になって感じることもある」

「何を、感じていると?」




「ユアンダートの限界と、帝国軍のほころび。ヤツはカリスマがある皇帝だろう。しかし、無限ではない。色褪せた。老いた……あるいは、疲れただ」

「敵の弱体化に、期待をしていると?」

「まあ、な。強い敵は好きだ。しかし、死人の数を減らしたくもある。そのために、力を貸してくれるかい?」

「……敵からも、買え」




「ほう。いいアイデアだな。つまり、帝国の支配地域からも矢の素材を買う」

「そうだが、それ以上も。帝国軍に卸している、材料商人。それと、倉庫だな」

「倉庫、か」

「大量に商品を扱う以上、倉庫は必ず必要になる。帝国軍の兵站は、広大かつ長大であるものだからな。雨に打たれる日も、物資の輸送には不可欠だ」




「馬車がいつでも空とは限らんしな。倉庫、風雨を防ぐ仕組みは絶対か」

「お前らも先んじて買っておくといい。奪っても構わんが、帝国軍用のビジネスに使うフリをしておくと、より多くを得られるぞ」

「耳寄りな情報そうだな。具体的に言ってくれ。詐欺についてはシロウトでね」

「『自由同盟』の人間族、そいつに商人のフリをさせる。まあ、実在の商人ならば、なおのこといいが……とにかく。帝国軍の兵站ルート近くにある倉庫を買わせるのさ」




「帝国軍のための、倉庫として使う予定と嘘をつくわけだ」

「そして、銀行から金を借りる。銀行があるようなちゃんとした町を、帝国軍は狙うからな。ビジネスの仕組み……土地に根付いているそれを利用するためにだ」

「なんだか、銀行にはなじみがある」

「金を借りさせるんだ。帝国との仕事は割りがいい。銀行も喜んで金を貸してくれる。銀行が金を貸せないなら……帝国軍そのものから借りてもいいぞ」




「ほう。ちょっと、難しそうな犯罪だな」

「カンタンだ。帝国軍は金がある。余っているほどに。兵士の給与も、軍郵便が集めて運用している。貸したがるぞ。しっかりと身分を装うことが可能なら。お前らの暴力で、適当な商人一家を皆殺しにして奪い取って、なりすます」

「暴力的だな。そういうのは、君の趣味じゃないんだろ?」

「由緒正しい商人、あるいは帝国軍の侵略戦争で成り上がった商人を装うといい。帝国軍の侵略ルートは爆発的な消費が伴う。およその職業で、金儲けができたはずだ」




「オレは肉が好きなんだ。だから、肉屋を装うのはどうだろうかな。広大な牧場を持っているか、あるいはそれと契約しているブッチャー……精肉で稼いだ肉屋が、倉庫業に興味があるってのはどうだ?肉を帝国軍に差し入れすれば、借りれるのでは?一流の肉屋らしく精肉した絶品であれば、目利きほど騙せるんじゃないだろうか」





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