↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5236/5241

第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その千百八十八


―――世の中というものに、歴史は長く広く粘り着いてくるから厄介だよ。

どんなに状況が変わろうとも、過去が重くのしかかっている。

歴史は二元論をもたらしやすくて、善や悪の極端な分け方をした。

決めつけてくるのさ、過去のせいで隣国同士殺し合うのはよくあること……。




―――そんなときの解決策も、いくつかあるものさ。

一つの強烈なコンセプトが、実利を追い求めること。

世の中の争いの理由もまた二つだけ、善や悪ではなく政治力と金だからね。

賢い学生は、ガルフ・コルテスに近しい発想をしていく……。




「実益で結び付ければ、『プレイレス』とイルカルラも協力は可能なはず。『余剰生産物』で弓矢をより多く作ることだって、合理的な判断だから……」

「ふうむ。そこまで気にしないと、なかなか仲良くやれないものなんすね」

「はい。私たちの親世代あたりは、イルカルラを警戒している。奴隷を奪われただとか、奴隷が王朝を作ったことに嫌悪感があったりだとか……巨人族の王朝なんて、そうありはしないものなのに……まあ、その、ありえないことが健全なのかは分かりませんけれど」

「巨人族さんたちは、基本的に平和主義者が多いらしいっすからね。戦闘ではとっても頼りになるっすけれど」




「賢く、理性的で知恵が利き、何よりも単純に戦闘能力が高いですし」

「平和主義者が多いのも、問題ってガンダラさんは考えているっぽいっすけどね」

「……言いなりになっている巨人族も、正しいとは思い難いですよね。でも、敵になると、正しさは消える。争いごとは善や悪で物事を判断しがたちで、善や悪って……すごく移ろいやすい。正しくない善も、悪と呼び難い悪もある……世界は、とても不完全だ」

「考え過ぎも、良くないっすよ」




「ですね。少なくとも、金融網と農民の不満を抑える策で誘えば……平和裏に協力関係を広げられるかもしれません。戦況は、とても……ややこしくはありますが。それも、同盟の安定には作用するかもしれませんし」

「メイウェイさんが、勝ちすぎたってことっすか?」

「ええ。天才将軍の面目躍如というか……」

「強い仲間は、とっても心強いって考えでいいはずっすよ」




「……ですね。まったく、私も『王なき土地』の悪癖に囚われている」

「『優秀な方は警戒される』っすね。王さまを本当に怖がる価値観なんすね」

「滑稽なほどに。『プレイレス』は自意識が高いので。他国より、すぐれてないと居心地が悪く感じてしまう。『王なき土地』という政治体制に誇りを持っているはずなのに、カリスマ的な女王や将軍に『王なき土地の優位性』がひっくり返されるのが怖い……自意識過剰です」

「悪いことばかりじゃないっすよ。自信がある方は、頼りになる仕事をするものっすからね!」




「はい。カミラさんがそう評価してくださるのならば、私は実力の発揮を目指すとしましょう」

「では、ロロカさんところに向かうっすよ」

「ストラウス卿の奥様で、『ストラウス商会』の……副社長さまか」

「とっても賢いので、あなたともお話が合うはずっすよ」




「ふう。緊張しますね。大陸最強の物流企業かもしれない会社の、実質的な経営者……まあ、だからこそ、あれほど大胆な策でも、私たち学生に振ってこられるのでしょうか」




―――ロロカは切れ者だけど、のんびり屋な部分もやはりどこかある。

今は集中力を『プレイレス』周辺全域における、流通と兵站再構築に働かせていた。

『プレイレス』の学生が、隣国に対しての特殊なコンプレックスを抱くなんて。

『大したこと』と考えていないんだよ、大雑把な部分も確かにあるよね……。




―――だけど、これは自信の表れでもあった。

ソルジェの名前を使えば、最終的にどうとでもなるという合理的な判断だよ。

ロロカ・シャーネルも、ディアロスの戦士らしく力の信奉者でもあるからね。

ドゥーニア姫よりソルジェの方が、政治力の総和では強いのさ……。




―――そんなロロカのテントの周りに、人々が集まり始めている。

カミラと学生たちだけでなく、ゼファーに乗ったソルジェたちもだった。

鉢合わせする形になり、学生たちは緊張したらしい。

『特許管理人』くんも自意識過剰と、英雄と王へのコンプレックスが出ていた……。




「と、いうわけでして……っ。す、ストラウス卿っ。カミラさん……カミラさまに、雇っていた者です」

「ああ、オレからも銀貨30枚追加しておこうか」

「い、いえ。カミラさまからいただくので大丈夫です。それよりも……」

「手紙だな。書くとも。親書というものになるのかね……『未来のガルーナ王より』と名乗っておこう。ドゥーニア姫は、背伸びやハッタリを好む。君も、その点をよく考慮しておけ。己を大人物だと信じていられる者でなければ、彼女に呑まれてしまうぞ」




「は、はいっ!了解しました、ストラウス卿!!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。