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5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

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第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その千百八十


―――リエルは鼻高々だった、自分の夫の活躍による成果でもあるし。

リエルがリードして導き出した、大きな戦略的アドバンテージだからだ。

『余剰の物資』を組み合わせて、生産量を上げて行く。

基礎であると同時に、これまでは不可能だった協力体制だ……。




―――兵站について、様々な手配をしてきたロロカの合流。

それがまた、この談義を大いに弾ませることになる。

リエルは学生たちと共に、鼻息の荒い興奮状態で語るのさ。

自分たちが大発見した、今後の戦いを左右するレベルの対策を……。




―――当初、リエルと学生たちは興奮状態だったために。

要領を得ない会話をしていたが、やがて教育者でもあるロロカは状況を理解した。

この大陸で最も賢いかもしれない女性は、リエルたちのアイデアに目を見開く。

リエルたちよりも、さらに具体的な物流網の息遣いみたいなものが見えたらしい……。




―――さすがは、『ストラウス商会』の実質的な経営者といったところか。

副社長の肩書きではあるけれど、それは本当にただの称号だからね。

これまでこの事実に気づかなかったことに、彼女は自省してくもなる。

原因はボクでも分かる、基本的に多忙過ぎるからだよ……。




―――猟兵をやりながら、巨大な輸送会社を経営しつつ。

しかも、我らがロロカ・シャーネルの『本職』は学者なのだからね。

だが、アイデアは自分のものじゃなくてもいい。

これは芸術制作じゃなくて、ただの戦争に過ぎないものだ……。




「どうでしょうか、ロロカ姉さま」

「ええ。さすがは、リエルです。とても、素晴らしいアイデアですよ」

「フフフ。まあ、その。私というか学生らのアイデアではあるのです」

「はい。貴方たちも、ありがとうございます。兵站システムの大いなる改良になると思います。これは、本当にこの戦争で亡くなられる方を、大いに減らすはず」




「こ、貢献できれば、幸いです!……戦場では、ボクたち、そこまで役に立てないかもって思っていましたから……」

「すでに十分な働きですよ。メイウェイさんの非常識な侵攻速度に対しても、完璧なフォローを行えたわけですから。『大学半島』の学生さんたちは、とっても役に立っています。もちろん、この『大発見』も偉大な功績になるでしょうけれど」

「でしたら、幸いです。何とか、貢献したかったですから……学友たちも、死なせたくはない。全員を失わずにいられるなんて、不可能ですけれど……でも、それでも」




「ええ。貴方たちの必死な願いとアイデアは、必ずや。私と『ストラウス商会』、そしてソルジェさんの責任で、現実のものになるでしょう」

「ロロカ姉さまならば、すでに具体的なプランがアタマに浮かんでおられそうです」

「100%というものじゃありませんけれど、十分に機能させるほどには。イルカルラのドゥーニア姫が欲張らずにいてくれるほど、このプランは大きな力を発揮するでしょうね」

「や、やはり。彼女はネックになるのでしょうか。ボクたち……『プレイレス』側との、わだかまりが?」




「大きな利益を得られる可能性がありますので。そこに喰らいつくのは、為政者としてはあまりにも正しい判断です。だから、交渉役というか説得役がいた方がいいでしょう」

「それはロロカ姉さまが、適任では?」

「いいえ。私というよりも、『プレイレス』側の若者がよろしいかと」

「それは、たしかに。そうかもしれません。両者のあいだにある因縁は、我々にはあずかり知らぬもの……」




「『自由同盟』の総意には、彼女だって従うでしょう。でも、より心理的な課題を解決しておきたいのよ」

「では、ここに来ている学生たちに、親書を持たせて送るのはどうでしょうか」

「え、ええ!?ぼ、ボクたち、ですか」

「そうだ。負傷してしまい、戦列に立つのは難しい者たちもすでに出ている」




「た、たしかに。で、でも……『イルカルラ』の、新しい女王と……」

「ひるむ必要はないのだ。あちらも優秀な政治家ではあるし、女王であるが。それでも、お前たちとそう年齢の変わらない相手だ。古い因縁にまで、囚われるべきではないと考えておるはずだ。考えていなければ、お前たちの聡明さに頼ろう」

「……せ、責任が重大そうですね。で、でも。そうだ。負傷して、本国送りが決まっている仲間たちにも、仕事があるのは嬉しい」

「では、学生たちで話し合って決めてくださいね。ドゥーニア姫への交渉役を」




「な、なかなか、緊張しますねっ」

「慣れですよ。それに、いくらか経験はあるでしょう。『大学半島』では、都市運営を学生たちが任されている。政治学の授業も盛んだったはずですよ」

「い、いえ。まあ、それはそうなんですが。敵対していた国の、じょ、女王ですからね」

「大丈夫。彼女も優秀で、そして、戦場の最前線に向かえる勇気のある若者には、きっと悪い態度をしないはずです。彼女も、生粋の戦士なのですからね」




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