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5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

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第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その千百七十五


―――偉大なる呪術師であり、偉大なる教師。

プレイガストは、そう表現すべき男だったのは確かだね。

戦場で消耗させるには勿体ない男だったと、今のソルジェは後悔している。

だが、『チャンム』を使えたからジャンも無事だったとも言えるんだ……。




―――感謝しておくことをソルジェは選び、リエルに頼ることにする。

プレイガストの延命と、『自由同盟』全体への貢献。

それが我らの弓姫に託されることになるが、本人はこの瞬間も忙しい。

奇遇なことに、十大大学の学生たちを捕まえて『医療ガイドライン』制作中だ……。




―――森のエルフの感覚を言語化するために、賢い学生たちの頭脳を借りている。

リエルはそれなりに聡明な十七才ではあるが、賢者に近しい者たちとは差があった。

学生たちの努力と、才能の結果と言うべきだろうね。

『医療ガイドライン』は創り上げられている、かなりの実用性を持つものだ……。




―――リエルというか、猟兵らしい思想に基づいてそれは作られていく。

『斬り傷の縫い合わせはドワーフにやらせろ』、『破裂骨折はケットシーに任せる』。

両者はとてつもない器用さで、後者は『風』で折れた骨の位置を矯正できるから。

すべてのドワーフやケットシーが、そうとは言い難いものの……。




「およそ、だいたい。まあ、向いてはいるのだぞ!」




―――それは学問的とは言いにくい間抜けさがあるが、困ったことに実用的だ。

ドワーフに関しては、かなりの割合で外科的手術の達人性がある。

ケットシーも、まずまず『風』の使い手がいるのだ。

『向いてるヤツを探して、専用に訓練させればいい』とリエルは主張している……。




「悪くはないはず。そもそも、全員が何もかもを成し遂げる必要はない。我らは、という言葉で強さを意識するべきだろう。亜人種が多くそろい、もちろん人間族もいる。我らは、この力をもっと使うべきなのだ」

「おっしゃることは、最もです、リエルさま」

「そうだろう。しかし、その言葉の続きは……予想がつかんが、想像ならつく。ちょっと否定的な意見であろう」

「いかにも、です。ドワーフは、鍛冶や冶金を好みます。彼らには、そちらの仕事を任せた方が、トータルでは効果的なのでは?」




「ふむ。なるほど。それは、まあ、たしかに。賢い者たちらしく、おそらく正しい。だが、持論を曲げるつもりもないぞ。命の優先順位は高いものだ。戦士が死ななければ、負傷が最小限済めば、次の戦い、またその次の戦いで有利になるのだからな」

「つまり、リエルさまが戦争に求める最大の要点は、人数?」

「そうとも言える。もう少し、人道的な意味合いもあったとは思うが、その感覚は正しい。帝国軍に挑むために、数を頼ることも正しい。『パンジャール猟兵団』のように、破壊的な少数精鋭だけでは、戦を勝ち抜く力は乏しいのだ。無敵であっても、土地を制圧するためには人員そのものがいる」

「死者を、減らすべきなんですね……」




「うむ。敵を殺すことを、私たちは英雄視している。それは、もちろん正しくもあるのだ。敵をいちばん多く殺したヤツは、誰よりも偉大ではある。しかし、それだけは勝てん。戦にはな」




―――リエルは技量的な成長で、評価されやすい人物だ。

有能だからだよね、最強の魔術師であり最強の弓姫である。

秘薬を使いこなす薬草医であり、『宝石眼』のおかげで対エルフの政治力が強い。

とてつもない力で、それらばかりを評価しがちだった……。




「殺すばかりで好転する状況を、やや越えつつあるように思うのだ。効率化することで、軍隊は強くなる。しかし、ただそれだけを求めていても、歪むというべきか。適切な言葉を、私は思いつかん。お前たちは賢い。私の間抜けた言葉を聞いて、何か思いついてほしいのだ。これは、直感なのだが。戦に求めるべきポイントが、わずかに動いているように思える。何か、いいカンジの言葉を、お前たちは思いつけないか?賢いのだろう?」




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