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5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

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第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その千百七十


「ガルフあたりも気づいちまいそうだ。何でも、詳しかったからな。年寄りらしく、動物だとか植物とかにも……オレも、そういう目線を、可能な限り鍛えるとしよう」

「イエス。団長は、ガルーナ王になるであります。『常人にも使える戦術と戦略』を、把握しておく必要もある」

「たしかにな。学者じゃなくても、植物や虫の違いにも気づけるヤツはいる。注意して見ておけば、その変化にも……畑を手伝ったことのあるガキ時代を送った者は少なくない」

「で、ですね。い、意外と虫の種類に詳しい人も、ときどきいますしっ」




「大陸の一部では、とくに南東地域には虫を愛でる文化まであるのです」

「ああ、『ゴルゴホ』の連中の発祥の地になるのかもしれん」

「『ゴルゴホ』と、面識があるというのか?」

「遠い北の地で、直接殺し合ったことがあるんだよ。君は、あの連中に興味があったのかな、シドニア・ジャンパー少尉?」




「都市伝説の類のような連中だ。幻の、特殊な医術を使う集団……実在していなかったと言われても、私は信じたのだが」

「いるぜ。少なくとも、外科手術に『蟲』を使う連中だ。普通であれば死ぬ傷も、治す」

「……世界に、その技術を広めるべきなのに。なぜ、隠れているのか」

「あれ。詐欺師のくせに、意外と良心的だよね、あんたってば!」




「ミア・マルー・ストラウス、私は合理主義者なんだよ」

「なるほどなるほど。従軍していれば、あんたでもたくさん戦友を亡くしているよね」

「そんな個人的な経験から来る感傷で、私は動かないのさ」

「何を言っているの?めっちゃくちゃ個人的な恨みで動いているじゃん」




「うるさい。姫さまについては、別なんだよ。とてつもなく長い演説で、教えてやろうか?その猫耳がしわしわに干からびるだろう」

「やだよーん。そんなの、お断りだー」

「ならば、黙っていろ。ガキめ。揚げ足を取るなど、下品だと知れ」

「はあ。子供相手にムキになるものではないぞ、シドニア・ジャンパー少尉殿」




「うるさい。とにかく私は、合理主義者なんだ」

「君のことを知れていい脱線になったな。さて、呪術についてのお勉強を再開しよう。『空白』の仕掛け方も、対処もそれなりには分かった。煮詰めて、戦略に利用したい。兵站部隊や奇襲部隊、待ち伏せなんかに使いたいんだ。今回みたいな上陸作戦をやれるなら、帝国軍との戦いもずっと楽になる」

「ええ。呪術師を確保できれば、『自由同盟』の強みになるかと」

「意外と、各地にいるからな。帝国に迫害されてるヤツも、勧誘してみていところだ。今日も、二人、確保できたし、やりがいのある目標だと思うぜ」




「オレと、少尉か。一応は、うん、呪術師でもあるな」

「しかも、詐欺師でアタマも切れる。犯罪を推奨する価値観は、オレにはないが。敵に対して有効な戦力としてならば、歓迎はしてやれる。いいか、ノヴァーク。二度とやるなよ」

「……ああ。分かってる。腹はくくってるんだ。少尉ごと、オレはあんたたちに合流するってね」

「お前の弟子は意外と、聞き分けもいいし切れ者だ。褒めてやれよ、師匠」




「ふざけるな。今日したことは、忘れん」

「う、うう。悪かったよ、少尉。でも、あんたの命を無理矢理にでも守るって決めた」

「素晴らしい弟子だ。愛されているな、おそらく女としても」

「ガキの相手は、本気でしないさ」




「そのうち、いい男になるよ。帝国が消えた世の中で、夫婦になるのも楽しいかもしれんぞ。『自由同盟』に協力してくれるほど、いい暮らしが手に入る」

「金など、誰かからもらう必要はないんだ。私は、無限に金を得られるのだからな」

「詐欺師のくせに、偉そう!」

「金があるからな。身分だけしかない、お偉い貴族どもより、私のほうがずっと偉大だ」



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