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5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

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第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その千百六十一


―――知性に対して、ムダなプライドをもたないことはソルジェの強みだ。

誰もが不思議なほどに、知的な自分に憧れがちだというのに。

どれだけの愚王が、賢いアドバイザーを斬り殺してきたことか。

ソルジェに関しては恐らく、一生涯に渡ってそれはないだろうね……。




―――あるいは、とボクは考えておく。

それだけの暴力的な王になっても、おそらく強さは維持されるだろうね。

下手すれば戦争に関しては、今まで以上に強いかもしれない。

粗暴な悪王は民草に嫌われがちだけど、歴史的な侵略王は悪王も多いから……。




―――苛烈なまでの破壊力で、帝国も『それから先』も。

祖国ガルーナのために、力でもぎ取って来る悪王ソルジェ・ストラウス。

帝国の諸侯らが嫌って恐れているのは、その種の怪物だろう。

それはそれで強いのだけれどね、やさしいだけが強さではないよ……。




―――今まさにソルジェに帰順し、永遠の傭兵と化した乱暴者たち。

彼らが期待している大魔王ソルジェ・ストラウスは、破壊の化身そのものだしね。

彼らの想像よりも、ソルジェはある意味ではやさしい人物かもしれない。

自分の仲間になってくれる者に対しては、とても好意的に受け入れるから……。




―――だが、敵に対してはどうなのか。

おびただしい数の敵の死体が、ソルジェのもう一つの本質を導き出す。

『善き王』になろうと心掛けているのは、ある意味では反動だったのかも。

ソルジェ自身も理解しているのさ、『悪王』への適性の高さをね……。




―――教師でもあるプレイガストも、その本質を見抜きつつある。

彼自身も理性を保つために、『善き王』になってくれと口にはしていた。

でもね、彼の疲れて飢えた舌と唇がチリチリと疼きを上げるんだよ。

本心はどろどろとした、深みのある邪悪と狂暴だ……。




―――観察者あるいは、監視者であるノヴァーク少年は気づいている。

プレイガストは、ソルジェとシドニア・ジャンパーに似通っているのだと。

誰もがとてつもない邪悪さを内包しつつ、自分の正義にどこまでも忠実だ。

この三人は自分の正義のためには、世界だって破壊してしまえる連中だった……。




「ああ、そうだ。聞こえているとも……私には、抱きしめたかった者たちがいる」




―――復讐を求める声に、どうして逆らうべきなのか。

プレイガストにはその衝動が、どうしてもつきまとう。

影よりもそいつとは密着していて、離れる方法なんてどこにもない。

祭祀呪術の規則を、口述して教えを広めながらも……。




―――狂暴な復讐の願望は、詐欺師のペテンの話術に似た隠れ方をしている。

ソルジェに抑止させないように、ソルジェを褒めながら『悪王』へと。

どこか導こうとしているように、ノヴァークは直感的に嗅ぎつけていた。

彼だけが一人前の人殺しじゃないから、どこか感性が清らかなのかもね……。




―――戦場の血と、泥の底。

むせび泣く悔恨の味を、一人前の人殺したちは知っている。

奪われてしまった命のためなら、どれだけだって犠牲に出来るんだ。

そんな連中に、祭祀呪術という破滅の方法を伝授しているのだからね……。




―――それはもう、賢いノヴァーク少年は吐き気がしてしょうがないのさ。

ソルジェが全力の悪意と殺意と敵意を、ついに解き放ちながら。

シドニア・ジャンパーやレヴェータがした以上の、『最強の祭祀呪術』を使う。

そのリスクを、プレイガストは知らないわけじゃないはずなのに饒舌だった……。




「では、教えましょう。祭祀呪術の秘奥について。我が主、我が盟友、我が望みの王、ソルジェ・ストラウスよ」




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