第四話 『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』 その千百五十七
―――演説が大好きなソルジェだが、これもちゃんと実利の伴うことだ。
傭兵らは少なくとも敵になりはしないし、結果的に最後まで残った全員が。
『自由同盟』側の傭兵として、参加することになる。
戦場で力を示すことは、戦場で生きる者たちを強く魅了するものさ……。
―――彼らはソルジェの演説を聴きながら、主君を得たと直感している。
シドニア・ジャンパー相手には、得られなかった感情のようだ。
強い味方を手に入れられたと、喜ぶべきだろう。
『未来』のガルーナ王国軍の兵士が、数名含まれているのだからね……。
―――ゼファーはジャンを回収するために、地上へと降りる。
崩落してデコボコとしてしまった地面を、『巨狼』が駆け抜けた。
軽やかなステップに、ソルジェは思わず笑顔になる。
こんな荒れ果てた場所でも、『狼男』には関係ないと知ったからだ……。
『だ、団長!!お疲れ様です!!』
「ああ。そっちもな」
『え、えらく上機嫌ですね』
「おう。世の中におけるリスクをひとつ、倒せたからな」
『で、ですね!』
「……プレイガスト、言い方が悪かったとすれば謝罪するが」
「構いません。『チャンム』は暴走状態だった、倒してやるのが一番でしょう」
「そう言ってもらえると、悪い気持ちにはならんな」
「私には聞かないのか、ソルジェ・ストラウスよ」
「想像がつく。不満の多い結果だろう、君にとっては」
「もちろんだ。この戦いに勝ったところで、お前は私を解放しないだろう」
「そりゃそうだ。君は不毛な戦いで得られた、最大の戦利品ってところだしな」
「しょ、少尉に酷いことはするなよ!」
「しないさ。結果的には、帝国軍……いや、帝国とユアンダートという共通の敵を叩くことになる。シドニア・ジャンパー、どちらも君の敵だろう?」
「……ちっ。その通りだ」
「なら、異論はないはずだぞ。オレを嫌うのは構わないが、手を貸せ」
「……皇太子の名を騙り……その生存を偽り、物資と金を帝国から吸い上げる。私の考えていた策は、それだけだ」
「オレたちを使える。会計将校として使っていたネットワークも、しばらくは無事だろうよ」
「私の悪評を、流したせいで……それは、時限式のものとなった」
「得たものもある。『自由同盟』の協力者だ。竜も、ユニコーンの隊商だっているぞ。君に、ユアンダートと帝国を攻撃して、主君であるライザ・ソナーズの名誉のために戦う権利を与えてやれる。それで、同意してくれるかな?」




