↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5202/5237

第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その千百五十四


―――カマキリが空中で鎌腕を持ち上げ、衝突に構えていたよ。

けれど、ソルジェとゼファーは武術の達人らしい崩しを仕掛ける。

あえて速度を落として、タイミングをずらした。

この敵は武術を使ってしまうから、フェイントにもちゃんと引っ掛かる……。




―――巨大な鎌腕が先に動かされて、想像力のなかのゼファーを斬った。

翼を開いたことで空気抵抗を増やして得た減速に、叩きつけるような殺気も。

焦りを誘い出すには十分なものさ、とくに空中戦の速さのなかではね。

空振り交差した形に終わる左右の鎌腕に、ゼファーの爪が叩き込まれる……。




―――火花が激しく飛び散りながら、悲鳴じみた音が響いた。

ギギギギイイイイ、軋む古木の装甲は蟲の鳴き声みたいで。

ゼファーは手応えを感じ、さらに脚力を使う。

握りつぶしながら引き千切り、カマキリは最大の武装を失った……。




―――それでもこの歪な怪物は、怯むことはしない。

左右に裂けた巨大な口、その両端から横向けに生えたおぞましい大牙。

長い首をしならせながら、噛みつきまで狙ってくる。

ゼファーは大歓迎だったらしく、反射しながら自分も首を伸ばした……。




―――誇り高い正面突撃の形は、様式的な美しさがある。

頭突きと頭突きは、牙と牙をぶつけ合わせる力勝負から始まった。

金属音に空が震えて、首相撲へと移り変わる。

お互いの力と重さを押し付け合うように、両者は首を巧みに使うのさ……。




―――うなる羽根の音と、ゼファーの首の筋肉は膨らみ力を伝える骨格が鳴った。

ゼファーはねじ切るような動きで、カマキリの牙のひとつをへし折りながら。

続けざまに首へと噛みついて、古木の装甲を粉砕する。

空虚さと固さの同居する不思議な感触だが、気にする必要もない……。




―――牙の使い方は、とても原始的なのだからね。

深く噛みついて、引き裂く動作で傷を広げる。

右の足爪をカマキリの腹に蹴り込み、爪で固定してやった。

足場を確保した状態で、背筋と羽ばたきの力を加えたストレッチだ……。




―――カマキリの首の直径の半分以上が、この噛みちぎりに持っていかれる。

血のような赤黒い何かが空中に噴き上がり、無数の獣が一斉に鳴くような音もした。

苦しんでいるらしい、ゼファーは『狂暴な笑み』を深めていたよ。

破壊の本能が目覚め、荒々しく速い噛みつきの連射を放つ……。




―――カマキリも必死に牙で応戦しようとするが、首の支えが利いちゃいない。

牙同士の競り合いは、瞬時に突破されて首に対して二度三度四度。

ゼファーの強烈な牙を浴びて、その度に深刻なダメージを負う。

古木の装甲の奥で、破壊された赤黒いうごめきは回復に努めた……。




―――損傷を穴埋めしようと癒着を繰り返し、おかげでどうにか耐える。

ゼファーはそれでも気にしない、理解しがたい再生力についてもね。

牙を頼り、再生した部位そのものを食いちぎっていく。

カマキリの腹に突き立てた爪も、動かしてこっちの傷も深くしながら……。




―――原始的な竜の、空中戦にも似ていたよ。

だからカマキリの刺々しい突起物だらけの脚に、絡みつかれても気にしない。

竜の鱗を貫通してゼファーに傷をつける攻撃だが、本能がそれを無視させる。

竜を屠るのがグレート・ドラゴン、空中での接近戦の傷に怯むものか……。




―――むしろ、ゼファーは喜びながら攻撃に夢中だった。

連続の噛みつきは加速し、力は増えて。

カマキリの再生能力はすぐさま底を突き、絡みついた脚から力が消えた。

一瞬の隙をあのソルジェが逃すはずもなく、命令を叫んだ……。



「ゼファー!!地上に向けて、ぶん投げるぞ!!」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。