↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5197/5237

第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その千百四十九


―――『巨狼』に引きずられ、地下の触手が裂けていく。

『呪いの中心』である『薔薇の花弁』の香りが、周囲に飛び散った。

オルテガの上空に咲き誇った、あの不思議な神秘の薔薇の欠片。

それが牙のすぐ近くにある、それに気づいたジャンはますます力を込めた……。




『そ、それを、破壊すれば……ッ。この戦いは、お、終わらせられるはず!!ぎ、ギルガレアさんっ。こ、今度こそ、眠ってくださいっ!!』




―――ギルガレアの権能の一部でも、これだけの被害を起こせる。

祭祀呪術の混沌とは、本当に厄介なものだよね。

そんな力を多用している『プレイレス』周辺の土地が、かなり心配だ。

それらは神々を起こすようだからね、眠り忘れ去られたはずの大いなる力を……。




―――ギルガレア自身の預言は、的中している。

彼自身の力もまた我々の敵となり、ジャンを殺しかけたのだからね。

『チャンム』も彼の力に引きずられ、敵対してしまっている。

連鎖するような呪いがあって、それらは我々を包囲するように絡みつく……。




―――その一つでも、確実に終わらせておくべきだとジャンは決意していた。

神々の力さえも、『狼男』の力で粉砕してやるのだと。

『薔薇の破片』を、粉々にしてやるために全力の力を込める。

牙の内側に生まれた破壊の力が、何もかもを潰してえぐっていく……。




―――祭祀呪術の中心を、噛み潰してやろうなんて。

とんでもない試みだよね、だがいかにもジャンらしいじゃないか。

最強の力、『狼男』の筋力でならば。

この恐ろしい祭祀呪術を終わらせる力として、相応しいものだよ……。




―――古木の装甲を粉砕し、破壊の牙はようやく核心へと到着した。

あの夜のかがやく薔薇の香りが深まって、無数の獣の気配が飛び散った。

ギルガレアの眷属たちの姿だ、鳥もいれば猿や蛇にカマキリもいる。

多くの姿と眷属を持つ罰神の力が、牙のあいだからこぼれていった……。




『さ、祭祀呪術の、か、欠片が……色んな獣の、姿に……っ』




―――不思議な光景が、『巨狼』の目と鼻の近くで生まれていた。

美しいとは言えないが、神秘の極致ではあったよね。

黒い闇色の塊たちがうねり飛び散りつつも、獣たちを形作っている。

魔力でもない何か、罪科の獣ギルガレアの権能が破壊されながら飛び散っていく……。




―――その破壊の完遂を見込んで、ジャンはますます牙に力を込めた。

ギリギリと壊れていくための音が、悲鳴のように漏れる。

だがおそらく、ギルガレア自身はこの終焉を望んでいるはずだった。

願いを叶えたがるやさしい罰神は、この乱世に混乱を招きかねない……。




―――死者を偽りの形で蘇らせる程度の力なら、彼にはあるのだからね。

それはあまり世の中にいい影響を与えてくれず、混乱のもとだよ。

ライザ・ソナーズ自身も、おぞましい偽りの生を望まないだろう。

貴族の令嬢という生き物は、誰しもとてもプライドが高いものだからね……。




―――『ニセモノの自分』が、生きているフリをするなんて。

それはあまりにも腹立たしいものと、認識してくれると思うのさ。

気高い者には、安らかな死の眠りが似合うものだよ。

霊廟でも建ててやった方が、いい供養になるに違いない……。




「くそっ。ちくしょうっ。姫さま、すみませんっ」




―――祭祀呪術の終焉を、シドニア・ジャンパーも感じ取っている。

術を施した本人だからね、自分の願望が壊されていく感触は伝わってきた。

姫さまを失った日と、同じほどに純粋な涙だと思う。

歴史上最大の詐欺師のひとりが、忠誠心に泣くなんて……。




「しょ、少尉……オレは、いつでも、いつまでも。味方だから。やれないことも、多いけど。でも、あんたを……生き延びさせるのが、オレの仕事なんだと決めた」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。