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5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

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第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その千六十六


―――ジャンは自身について、この狡猾な詐欺師に知らせ過ぎている。

有名になることの悪い点が、ジャンにもつきまとい始めていたのさ。

『狼男』は目立つからね、『巨狼』に化けて戦場で敵軍を食い散らかしている姿は。

竜のインパクトに隠れたとしても、あまりにも強大で異質な存在ではある……。




―――元からジャンだけを狙っていたわけじゃなく、猟兵を狙っていた。

可能ならばゼファーさえも、生贄にしたかったのかもしれない。

計画を立てて来たことによる勝利であるし、幸運がくれた点もある。

『ノヴァークを殺しかけて良かった』、彼女はそうまで思っていた……。




「祭祀呪術からは、逃れられないぞ!!お前のように戦場で大勢を殺し続けたお前はとくに!!『多くの命を奪った者ほど縛られる呪い』だ!!ギルガレアの特性も、しっかりと残しているぞ!!『それだけではない』が、お前にはギルガレアが有効だろう!!罪深い、子供殺しの狼よ!!」

「ぼ、ボクは……そうだと、しても……ま、負けるわけには……ッ』




―――触手の群れに呑み込まれながらも、ジャンは『巨狼』へと化ける。

圧倒的な力で、振り払おうともがいて暴れた。

無数の触手が牙で切り裂かれ、あごの力で引き抜かれる。

地下道が崩壊しそうなほどの揺れは、触手どもだけでなくジャンの力の結果だ……。




「暴れたところで、無駄だぞ!!ギルガレアの権能もある!!罪を償わせようとする力だ!!ソルジェ・ストラウスほど殺しているかは知らないが、お前は幼き頃からの殺し屋だ!!死と破壊の衝動に、抗えなかったから、戦場で敵兵の肉を喰らっている!!」

『ひ、ヒトを食べては、いません!!た、ただ、帝国兵を食いちぎっているだけ!!』

「十分に、罪深い!!」

『そ、そうだとしても!!あなたの言いなりには、ならない!!』




―――ジャンは大暴れして、引きずり込まれないように耐えた。

圧倒的な筋力のおかげで、健闘している。

足場がなくなるほど触手どもが足元から飛び出しても、反射的に嚙み潰す。

だが、ジャンには枷が多くあった……。




「狼よ、見事な暴れっぷりではあるが……それでh、私もノヴァークも、死んでしまうぞ」

『……そ、それは!?』

「この古びた地下道は、かつての耐久性はとうにない。時間は、私に味方をしてくれるようだ」

「少尉に、騙されるな!!」




「崩落しかけているだろう。ノヴァーク、ジャンに教えてやれ。選択肢など、とっくの昔になくなっている。お前は、生贄になるのだ!!」




―――ジャンは抵抗しなくなる、この詐欺師の命にはかけがえのない価値がある。

殺してはいけないのさ、彼女は帝国軍との戦いの切り札には違いない。

通常の軍事力とは異なる大きな戦略、それを使えれば。

『自由同盟』側の戦士たちが、どれほどその命を救われることだろう……。




―――無敵の『巨狼』が、その全身を触手に巻き付かれてしまった。

四方八方に引きちぎられそうな力であるものの、ジャンはそれに耐えている。

抗う術を探してるが、見つからなかった。

ゆっくりと地面の裂け目の奥、ひしめく触手の海へと呑まれていく……。




『だ、団長……っ。も、申し訳ございません……っ』

「あ、あきらめるなよ、ジャン・レッドウッド!!呪術と戦うときは、そういう態度が最低最悪なんだ!!ど、どんなに無理でも、あきらめるんじゃない!!」

『わ、分かりました。だ、団長に、お、お伝えください!!ぼ、ボクは、あきらめませんから!!』

「呑まれろ、狼よ!!」




―――触手の数がさらに増えて、ジャンはついに地面の裂け目の奥深くへと沈む。

ノヴァークはジャンの魔力が、またたく間に弱まるのを感じた。

祭祀呪術の生贄として、ついに『狼男』は捧げられてしまったのだ。

地面を少年の拳が、悔しそうに叩いた……。




「少尉!!こ、こんな真似をすれば、もう、ソルジェ・ストラウスもあんたを許さないだろう!!こ、殺されてしまうぞ!!」

「戦いは避けられないというわけだ。ノヴァーク、お前はどうする?私のもとへと、戻る気はないのか?」




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