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5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

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第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その千十四


―――乱世の残酷さのなかで、愛情は極限まで何かを削ぎ落されている。

幸せになれなくても、愛があれば満足しなければならないかも。

なかなかに笑えないほどの切実さがあるね、命短し恋せよ乙女だ。

プレイガストの言葉は、ゼファーの背にいる者たちに説いただけでじゃない……。




―――シドニア・ジャンパーに対しても、説いているものだ。

優れた呪術師である彼は、この瞬間も呪術を使っているよ。

先ほどノヴァークを操り、向こうが断絶したはずの『偵察用』の呪術。

それを復旧させようと、ひそかに試みている……。




―――情報を探るためでもあるし、こちらの要求を伝えるためだ。

見せつけることで、シドニア・ジャンパーの説得もしくは懐柔を行いたい。

ノヴァークの覚悟だとか、愛情。

竜の背に集まった者たちの若さだとか、純粋さというものも……。




―――教育者らしいというべきだろうか、学生や弟子に対してするように。

シドニア・ジャンパーにまで、責任を持とうとしてしまっているようだ。

それは少しばかりおせっかいが過ぎるし、間違っている行為かも。

だが、ソルジェも今は副官代行任務を果たしているキュレネイだって……。




―――プレイガストの生き様を、否定する気は毛頭なかったのだよ。

戦術的な優位性も呼び込むかもしれないし、何より我らの組織哲学に合うのさ。

強くて優秀な者ならば、敵としても引き抜き対象としても重要視できる。

猟兵らしいよね、戦いからは離れられはしないのさ……。




―――より優秀な人材を確保して、帝国の圧倒的な巨大さに立ち向かう。

これは『自由同盟』の組織哲学でもあるんだ、それ以外の道に勝機はないのだから。

さて、どうやらシドニア・ジャンパーとのつながりは切れていない。

プレイガストのおかげで、今まさに復活しつつあるようだね……。




―――ソルジェとゼファーの魔眼には、うっすらとした呪いの赤い糸。

いや、『呪いの糸くず』とでも表現すべき途切れ途切れの気配が復活した。

ソルジェがそうであったように、優れた呪術師ならば過去だって覗けるみたいだ。

ボクもやってみたいけれどね、麗しの女性たちに対して……。




―――ああ、もちろん冗談だよ。

ボクみたいな職業的なピエロは、いつも冗談を演じたがる習性を持っている。

クラリスのための盾であり剣であり、露骨に言えば夫でもありスパイでもある。

なかなか面倒な立場だから、呪いの術を手に入れたならスパイ業務に使うだけ……。




―――オフの日があれば、我らが共通の悪友ギンドウ・アーヴィングと共に。

くだらなくて最高な悪ふざけのために、呪術ののぞき見を駆使するのいいよね。

楽しいことだろう、だが困ったことに戦争優先の時代なんだ。

ああ、シドニア・ジャンパー少尉殿よ……。




―――麗しの詐欺師よ、プレイガストの呪術師としての経験値が。

おせっかいな情報をたっぷりと、届けてしまっているだろう。

君を愛してくれる者たちは、あとどれぐらい残っているかい。

傭兵軍団は状況悪化で手のひらを変える、それは君にも分かっているはず……。




―――革命主義的な気配は、君には向いていないだろう。

都市国家の強化や地域の独立を求める者たちの心を、君は理解できやしないから。

優秀さとは別の素因に頼っていることもあって、これもその一つだよ。

君は戦術家であるが、思想家にはなれないんだ……。




―――強いて言えば、政治家にも欠片も向いていないね。

統治に興味はないだろうから、君の興味はせいぜい管理だけ。

我ら『ルードの狐』と同じく、影に潜むが使命の立場でもある。

主のために犯罪的な行為に手を染め、穢れるのが職務だ……。




―――表舞台に立てない者は、孤立を深めやすい。

ビジネス的なつながりが、人間関係のすべてになってしまいがち。

同病相憐れむなんて、笑えない傾向だけれど。

君は恐らく途方もない孤独に、押しつぶされかけているだろう……。




―――考えたくもないが、忠誠を捧げるべき相手の死と不在なんて。

どれだけ心が張り裂けて、押しつぶされてしまうことなのか。

亡き主君へのラブレターが、560枚は書けるだろうよ。

偉大な悲恋の刺繍が編纂されて、ボクの名前が売れるかもしれない……。




―――愛と恋伝道師として、シドニア・ジャンパー少尉よ。

もう一度、聞く耳を開いておくがいい。

若き純粋な魂の愚直な愛情表現も、聞いてやるべきだ。

君には義務がある、こんな若い男を操ってみせたのだからね……。




―――プレイガストに献身させるのも、罪深いことさ。

弟子であり特別と名付けたい関係性の、若きノヴァークだけでなく。

復讐者の怒りに暴走したがっていた男を、教師に戻しつつあるんだ。

この真心と献身を、君は上手く使って幸せを得て欲しいものだね……。





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