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5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

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第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その九百八十九


―――友情を再確認したようだ、王を支える『家臣』という形に翻訳可能な関係か。

ドゥーニア姫に『毒抜き』されて、メイウェイには家臣が足りない。

組織力を得るには、傭兵的な存在と組むしかないのが現実だった。

そして、それは実に相性がいい選択でもあったのさ……。




―――メイウェイのような軍事的な天才には、世界は狭苦しい。

不自由さにがんじがらめにされて、居場所はないからね。

血統の力に頼れないのも、とてつもなく大きな不利だった。

世の中はだいたい血統の力が、大筋を決めてしまうものだから……。




―――乱世のおかげで、ようやく実力主義の世界になりつつある。

ユアンダートによる大侵略戦争の結果と、『自由同盟』の反逆の結果。

そのどちらもが混在する時代だからこそ、メイウェイには挑戦が許される。

ソルジェを裏切らなくても、王になれる可能性があった……。




「め、メイウェイ将軍!!」




―――警備の兵が、メイウェイとレイ・ロッドマン大尉のもとにやって来た。

彼の緊張した表情から、ふたりのベテラン軍人は状況を察する。

帝国軍の大きな動きは、猟兵の攻撃に封じられている以上は。

敵のやる攻撃など、決まっていた……。




「どこが、攻撃された?」

「は、はい。食料を集めていたテントの一部に、放火が……て、敵が」

「ああ。忍び込まれているようだ。その数は、多くはないはず」

「少数でなければ、『紛れ込む』のも難しい」




―――大きな攻撃ではない、しかし地味に有効な攻撃だった。

ゲリラ戦に切り替えて、『西』の帝国軍は攻撃を仕掛けているわけだ。

メイウェイはレイ・ロッドマン大尉に、視線をやった。

ゲリラ戦に関しての専門性を有しているのが、この男だったから……。




「任せておけ。すぐに見つけ出して狩り出してやる。メイウェイ、お前は」

「私も現場に行く。指揮を執りたいんだ」

「それでいい。オレを上手く使ってみせてくれ。ああ、もちろん。他のガキども……いや、学生兵たちもな。あいつらから、いい『スタッフ』を見つけ出せ」

「そのつもりもある。複数の目標を叶えなくてはならない」




―――メイウェイにチャンスは、かなり少ないものだ。

戦争が終わってしまえば、自由に動けないかもしれない。

ドゥーニア姫や、『プレイレス』の議員たちは彼を恐れるからね。

有能なだけに、怖がられもする……。




―――この戦争の片隅で、メイウェイは人材確保に動くしかなかった。

ソルジェが提供してくれる戦力だけでは、満足しないだろうしね。

襲撃された食糧庫へと、彼らは直ちに向かった。

火をつけられていたらしいが、すでに消し止められている……。




「大した被害にはならなかったな。それは、いいが……」

「証拠を、追えそうかな?……猟兵、ジャン・レッドウッド氏がいれば、容易そうだが」

「猟兵だけが、追跡の専門家じゃないさ。見つけられる。草に残った、わずかな足跡のおかげでな」

「さすがだ。頼りにするぞ、レイ・ロッドマン大尉」




「おう。任せておけ」




―――追跡の技巧は、どの種族もどの集団でも研ぎ澄まされてきたものだ。

足跡を追いかけて、レイ・ロッドマン大尉は走る。

メイウェイは彼を追いかけながらも、若い戦士たちに指示を出した。

警戒の戦術を試すつもりだよ、マイク・クーガー式のね……。




―――守備は本来、反応が優先されるものだが。

マイク・クーガー少佐の教本によれば、反応よりも連携を重視している。

守備や警戒の範囲を最初から想定することで、敵の逃げ場を減らしていくのさ。

襲撃からの経過時間と、規模によりその範囲は計算されるべきだ……。




―――マイク・クーガー少佐は、それを数学的に残していた。

かなり革新的であり、数学的な素養がなければ完全把握は難しいだろう。

だが、メイウェイは数学者ではない。

しかし、それでも軍事にまつわる天才性では少佐よりもかなり上だ……。




―――経験値と才能で、数式のなかに秘められた概念と哲学だけを抽出する。

それを成し遂げたメイウェイは、やはり大天才か。

レイ・ロッドマン大尉は、大いに喜んでいる。

自分の追跡能力と、メイウェイの見せた包囲網との連携……。




「戦場で、戦術がつながるときの快感ってものは、何物にも代えがたいものがあるよな。メイウェイ、楽しいだろ?」

「そうだな。敵の動きを、よりせばめられる。若い学生兵たちよ、君らもこの感覚は理解できるだろう」

「は、はい。なるほどってカンジです」

「さすがはメイウェイ将軍です、とてつもなく優秀ですね」




―――襲撃者の包囲網は、すぐさませばまっていく。

彼が想定していたよりも、四倍は早かっただろうね。

メイウェイとレイ・ロッドマン大尉と、ふたりに指揮される若い学生兵たち。

それらが作り出す能力が、ものの十五分も使わずに犯人を追い詰める……。




「この足跡だ。もうハッキリと痕跡が残っているな。オレじゃなくても、追いかけられる」

「新しい足跡だね。あの林に逃げ込んだか。すぐに、追いかけるとしよう」




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