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5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

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第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その四十二


 しなる強打が命中し、さすがの『ギルガレア』も弾き飛ばされていたぜ。


『ぐ、うううおおおッ!?』


 空中に飛ぶヤツに、竜騎士兄妹は射撃を合わせる。赤い目は、このタイミングでも反応しやがった。矢を打ちつけて叩き折り、弾丸は手のひらではたいて飛ばす。


「やるな!!」


「おっちゃん、退けないなら、勝負だよ!!」


『……むろん!!そのつもりだ!!』


 あのとてつもないプレッシャーが、怒涛のように襲い掛かる。凍てつくような殺気の密度に、戦士の肌が喜んでいたよ。武者震いを楽しみながら、オレとミアは笑った!!


『楽しむか、戦士たちよ!!猟兵たちよ!!』


「竜騎士でもあるからね!!」


「強いヤツと、全力で戦うのは、ストラウスの血を満たすものだ!!」


『罰の神を相手に、傲慢さが過ぎる!!』


 燃える烏の翼が広がって、神速の突撃が襲い掛かってきやがった。しかし、狙ったのはオレたちではない。ゼファーのあごにはさまれたままの『蝶』だ。


 ゼファーも首の動きだけで躱そうと試みるが、『ギルガレア』の羽ばたきが作り出した動きは、何とも変幻自在でね。読みにくさがある……ツタたちの動きを見せられた弊害が、オレたちにもあったわけだ。


 単調さに、目玉が慣れてしまっていたからこそ、『ギルガレア』の技巧を利かせた動きに幻惑される。


 完全な回避を狙っていたゼファーだが、『ギルガレア』の飛び方に迫られて……あご先に強烈な拳を打ち込まれてしまう。


『むぐう!?』


 ゼファーも首の動きで、あの強打の威力を削いではいるが……わずかに隙が生まれた。竜の反応速度を一瞬だけ上回り、『ギルガレア』の腕が『蝶』の体を抱き寄せた。


『……ふん!!』


「おっちゃん……『蝶』を、助けた!!」


 そのまま、即座に離れて行く。相変わらず、真っ直ぐな戦術を好む男だ。『蝶』を助け出したいという衝動のままに戦場へと現れたか。


「『ギルガレア』さま!!そいつを、助けると言うのなら!!『オルテガ』にいる同胞たちを犠牲にするということです!!それは、罪深いことでしょう!!」


 『蝶』を抱きかかえたまま、空の高みへと上昇していく神さまに、ルチアは最後の説得を試みる。


「貴方が、助けるべきは……ッ!!その、すでに死んでいる哀れな命でしょうか!?それとも、死者への願いのために巻き込まれていく、今を生きている命なのでしょうか!!」


『……問うな!!』


「くっ!!答えてください!!答えないのは、卑怯です!!」


『どちらをも、救いたい!!』


「そいつらを救うには、犠牲がいる!!私たちの同胞を、殺すというのですか!?」


『そんなことを、したいわけではない!!……どちらにも、最良の結末を与えたい……っ』


「ありません!!」


『時間を、くれ!!どうにか、この小世界を完成させれば―――』


「時間なんて、ないわ!!」


『……っ!?』


「私たちの故郷にも、帝国兵が近づいてる!!それだけじゃない……この『オルテガ』がるべき場所にも、帝国兵が近づいているんだ!!この大陸は、戦乱に焦がれている!!貴方が、そのやさしさから、その死んだ子供たちを救おうとしても……結果として、生者が死ぬ!!」


『……ヒトは、戦い過ぎだ……ッ。お前たちは、どうして、こうまで戦いつづける!!』


「ごめんなさい、『ギルガレア』さま!!ヒトって、とても不器用で、狂暴なんです!!強いヤツは、弱いヤツから奪おうとするし……弱いヤツは、強いヤツに勝てない戦でも挑む!!暴力的で、神さまのようには、やさしくなれない!!」


『だからこそ……ッ。創ってやろうと言うのだ!!与えてやりたいのだ!!無垢な魂たちに、孤独に迷える者たちに……この大陸に居場所がないと嘆きながら散った命に、報いられるのは……この『ギルガレア』だけだ!!』


「犠牲が要るというのなら……ッ!!私は、同胞のために、『敵』を倒す!!」


 ルチアが『ギルガレア』に目掛けて矢を放った。


 オレとミアも、その射撃に合わせるように攻める。


 『ギルガレア』は翼を大きく羽ばたかせながら、空中でくるくると回った。オレの矢が命中したのは、確立の結果に過ぎない。三つの射線の全てを躱すなんてことが、やれなかっただけだよ。


『ぬぐうっ!!』


「『ギルガレア』さま……ッ」


『負けん。この子たちのために……負けんっ』


「貴方は、私たちの神さまでしょうに!!」


『そうだ……そうであったが……ッ。今は、『蟲の教団』が捧げた祈りも、背負ってやりたい……ッ!!』


 やさしいヤツだ。


 しかし。


「お互いに、背負うものが違ってしまったな!!『ギルガレア』よ、これこそが、ヒトが戦いをやめない理由そのものだぞ!!戦って、決めねばならん!!勝者が獲得し、敗者が奪われる!!どちらにも『正義』があり、譲れないからこそ、鋼に頼る!!」


『……罪深い』


「その通り!!罪深いことをしてでも、互いに勝ち取りたい『未来』があるのだ!!お前が、お前の『未来』を求めるのならば、覚悟をしろ!!オレたちを殺して、奪う気概がいるぞ!!真なる戦士と戦うには、その決意が必要なのだ!!」




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