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5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

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第三話    『愛する者に不滅の薔薇を』    その百一


『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!』


 『ギルガレア』が重傷を負った巨体で左右の鎌を構える。逃げようとしなかったのは、実に正しい。こちらも背後から敵の群れが迫っている状況だ。『攻撃』に全てを注いでいる。そんなオレたちからは、逃げられるはずもないからな!!


 右を走るレイチェルが、さらに加速した。『ギルガレア』の鎌が反応をする―――いや、反応を強いられた。この動きを主導しているのは、レイチェルだ。鎌の斬撃が振り下ろされるが、レイチェルは跳躍でそれを飛び越えてみせる。


『そんな、あっさりと!?』


 レイチェルからすれば、朝飯前と言ったところだ。オレも、負けてはおられん!!


「おらああああああああああああああッッッ!!!」


『『ギルガレア』、ヤツが本命だ!!』


『ギャガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!』


 鎌が横薙ぎに迫り、竜太刀のフルスイングでそれに応じる!!


 刃と刃が衝突して、音と火花が生まれた。とんでもない重さを全身に感じるが、ヤツには衝突のダメージがある!オレとアーレスを、受け止め切れるはずもない!!


 競り合う巨大な鎌に向け、腕と背中と脚の力を込めて……頭突きするような前のめりも捧げて力を組み上げていく!!


 竜太刀が、勝っていた。


 甲高い破壊の音を響かせながら、『ギルガレア』の大鎌をかち割ってやったぞ!!


『馬鹿な!?それでも、ヒトなのか―――』


「―――それほど、そちらが弱ってもいるのですよ!」


 宙に舞ったレイチェルが狙ったのは、エスリン・リヒトホーフェンの面影だ。戦輪を投げつける気ではなく、直接、襲い掛かる気だぜ。


「貴方を、解放して差し上げましょう。逝くべきところに、逝きなさいな」


『私は、多くの者たちが捧げた祈りを、守るのだ!!』


 『諸刃の戦輪』が振り下ろされ、エスリン・リヒトホーフェンの面影は自らの腕を変異させた鎌で受け止めた。ヒトの姿を捨てても、自分の本意に逆らってでも、彼女は『蟲の教団』に参加した者たちの祈りに応えたいようだ。


『虐げられた者たちだ!死と痛みを恐れた者たちだ!永遠を望み、その渇望に裏切られた者たちだ!!それを、その願いを……祈りを、守ってあげる!!何が、悪いかああああああああああッッッ!!!』


 『ギルガレア』の頭部から、エスリン・リヒトホーフェンの面影が飛び出していた。レイチェルと共に、空中へと飛ぶ。


 殺意に煌めく目が、オレをにらみつけていた。


『『ギルガレア』、お前は、その男を仕留めろ!!この女は、私が倒す!!』


「いいですわ。お相手、して差し上げます」


『ぐう!?』


 レイチェルがエスリンの顔面に蹴りを入れた。その反動で、間合いを取りながら宙返りする。宙返りしながらも『諸刃の戦輪』を投げつけて、エスリンはそれを鎌の交差で受け止めた。


 二人は同時に地上へと降りると、その次の瞬間には互いを目掛けて突撃し合う。


 激しい接近戦が始まり、つい見惚れてしまいそうになるが……オレも、仕事をしなければならん!


『ギギギギギイイイイイイイイイイイイイイイッッッ!!!』


 片腕となった『ギルガレア』が、巨体を這いずらせながらも残った腕で攻めて来やがる。


 油断は出来ん巨大さであるし、長く時間をかけるべきではない。ここは敵地。地下に何がいることやら分かったものじゃない。


 回避しながらも、こちらの攻撃を入れなくてはならん。ゆえに、弱点を突かせてもらうのだよ!失われたヤツの右腕の方へと駆け込みながら、左の大鎌の追撃を避けつつ、大地を掴むヤツの脚を二本、続けざまに切断してやった!!


 空での戦闘に、地上への墜落のダメージ……それらがある脚は、もはや脆さを露呈していたからね。修復が追いつかなくなりつつあるようだし、動かれても困る。


 巨大な『カマキリ』が脚を奪われて、大地へと倒れ込む。腹が、見えたな。何とも狙いたくなるがら空きの腹が。闘争本能のままに、踏み込もうとして―――。


『回って、轢き殺せ!!』


 彼女の声が聞こえたものだから、横に跳ぶ。レイチェルとの死闘の最中でも、視野は広く知的な判断力を使うとはな、見事だよ、エスリン・リヒトホーフェンの面影よ。


 『ギルガレア』もよく反応した。ヤツは自らの巨体そのものを武器へと変える。脚を使って素早く動けないのならば、大地を転がることで、オレを巻き込めばいいというわけだ。


 風車のような巨体で、それをやれば。当然ながら圧巻の威力と、馬鹿デカい攻撃範囲となる。必死で回避に集中するほか、こちらもなくなったよ。ステップを刻み、それでも避け切れそうにないから跳躍を使って、地面に前転までして土まみれだ。


 そうすることで、ようやく、回避に成功していたぜ。


「やりやがる!」


 大人になって泥まみれというのは、屈辱的でもある。しかし、闘争というものは戦士を満たす。強い敵というものは、歓喜でもあった。


 反射的に、飛び掛かって行く。『ギルガレア』は不完全ながらも起き上がろうとしているからな。それをさせるわけにはいかん。竜太刀を構え、そのまま野蛮に突きを仕掛けた!!




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