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5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

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第三話    『愛する者に不滅の薔薇を』    その九十一


 記憶はいつだって一緒だ。呪いでもあるし、愛でもある。海より深くて、空よりも愛おしい。風みたいに、誘ってくれる。


「ウフフ。生産的に、参りましょう」


「君の夫の言葉は、いつだって的確だ」


「芸術って、そうなのですよ」


「右から攻めよう。マトモそうな帝国兵は、そっちに固まっているカンジ!」


「おう!」


 ストラウスの兄妹そろって、矢と弾丸を放つ!!


 アタマや肩、腹から虫けらが飛び出して、みじめなことになっている帝国兵どもに射撃を浴びせた。狙ったのは同じ。身から飛び出している虫けらそのものだ!


『ギイイ!?』


『ぎゃがう!?』


 有効である。虫けらが撃たれると、帝国兵どもは動かぬ死体へと戻った。


 そして、虫けらに支配されていない方の帝国兵どもが、オレたちに気づく。


「竜だ!!」


「竜騎士、ソルジェ・ストラウス!?」


「え、援護してくれるというのか!?」


 ……敵じゃある。敵ではあるが、より生産的なことを成さねばならん。


「援護してやる!!立て直しやがれ!!あそこの丘に後退して、虫けらどもの群れを引き延ばせ!!死体を食うのに夢中なヤツもいる!!そいつらは無視しろ!!敵を、分散させてやるんだ!!」


「わ、分かった!!」


「そうするほかに、ないか!!」


 よく訓練はされている『オルテガ』の帝国兵どもだからな。指示を与えれば、その反応は素早いものがある。オレたちによる上空からの援護もあり、作ってやった隙を上手に頼った。虫けらどもに追われながらも駆け抜けて、丘へと終結していく。


「それでいい!!目の前の敵に、集中して倒して行け!!戦友であっても、ためらってやるな!!その姿かたちとなることを、望んでもいなければ……まして!貴様らを喰い殺そうなどと、したいはずもない!!それこそが、真実だ!!」


「お、おう!!」


「生き残る……生き残ってやるぞ……ッ」


「ああああああああああああああああ!!」


『ギギギギギイイイイ!!』


『ギャガガガアアアア!!』


 帝国兵どもは隊伍を完成させた。オレたちが、してやるべきことはハッキリしたぜ。


「では、参ります」


「オレもだ!」


 以心伝心。言葉は要らない。ゼファーの背から飛び降りて、そのまま敵の援護のために、敵の敵を襲った。丘へと向かう虫けら混じりども。その群れに左側から攻め立てていく!!


『ぎゃがうう!?』


『ぎいいいい!!』


 竜太刀と『諸刃の戦輪』が、有効となる。死体から飛び出している虫けらそのものを斬ることで、こいつらはすぐに死ぬからな。虫けらの硬く長い腕や脚は、たしかに武器ともなるだろう。しかし、本体そのものが飛び出しているという点では、弱点そのものだ!


「上空から、右を援護してあげるから!!帝国兵!!襲い掛かって来る前の敵だけに集中して!!そうすれば、もうひと踏ん張り!!敵の数は、多くない!!お兄ちゃんと、レイチェルが片づけてくれる!!」


「あ、ああ!!」


「目の前に、目の前にだけ、集中するぞ!!」


 ミアの言う通りだ。『伸ばされた』ことで、虫けら混じりは分散し、こちらが包囲した形となった。50のうちの半分が虫けら混じりでしかない。レイチェルと競うように斬っていけば、ミアの予想の通りに全てが終わる。


 死体を貪っていた虫けら混じりが状況に気がついて、動き始めるがね。そのときには、数で圧倒することもやれる。


「丘を登れ!!虫けらどもの突撃を、少しでも弱めてから斬りかかればいい!!」


「了解だ!!」


「あと、もう少し!!」


『ぎゃがあううううううううううう!!』


『ぎゃぎぎぎい――――ぎゅがああううう!!?』


「ゼファー、踏み潰しちゃえ!!」


『うん!!ざこども、つぶれちゃえ!!』


 こちらに突撃しようとしていた虫けら混じりの群れを、着陸したゼファーの着地からの突撃が踏み潰してくれる。ミアの良い判断だ。こちらへ向かう敵の数と勢いが、大きく減る。本能か計算かまでは判別不能じゃあるものの、状況判断は可能なわけだからな。


 有効で目立つ戦術で、群れを貫かれてしまえば、虫けらどもも反応してしまう。それが、その時間が、防戦をしているときには貴重なものとなるのだ!!


「強打を使え!!この波を、乗り越えれば、生き残れるぞ!!」


「了解だ!!」


「しのげええええ!!」


 過度には助けん。こちらが傷を負うような展開は避ける。無理はしないが、それでも間に合う。帝国兵どもは生き残ろうと必死になり、鋼を振り……魔術も使った。『風』の魔術を。


 それは、一種の特徴だった。


 ……戦いは、こうして終わる。虫けら混じりの死体は、ちゃんとくたばれた。


 生き残れたのは十数名。無傷な者はいない。それだけの数で、敵対する意志も湧きもしないようだ。オレたちが近づいて行くと、鞘に剣を収め、槍を地面に突き立てる。


「……援護に、感謝する。抵抗は、しない」


「正しい判断だ。殺すために助けてわけじゃない。欲しいものがあるからだ」


「だ、だろうな」


「情報を寄越せ。素直に、知っていることの全てを吐くんだ」




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