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5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

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第三話    『愛する者に不滅の薔薇を』    その五十八


 猟兵四人と400才の年寄り一人。大人気ないかもしれないが、あっちの方が、よっぽどオトナで賢くもある。武装した若い異教徒を相手に、おかしな態度を取り続ければどうなるかなど、とっくの昔に思い知っているだろうからな。


 正直なところ……。


「やれやれ。分かり合えないとは、悲しいことだ。しかし、降りかかる火の粉を払わなければなるまい―――」


「―――よく聞け、クソジジイ。こうなることを望んでいたのは、貴様の方でもあるだろうよ。オレたちをやり過ごしたくさせる程度の話術を、作れないほど、耄碌しちゃいないだろうが」


「ふむ。知的な態度ではないが、よく勘が利く男のようだ。野生動物的というか、多くの戦場を生き抜いた男は、そんな目を獲得するらしい」


「我々を、殺したいのだろう?素直になれよ。その殺意を、自前のものだと思いたくなかった。邪教の坊主は潔癖症だな。見破られているぞ、悪人は、賢くても知性を使い切れん。邪悪な者は、誰しもが底の浅さを持っているよ」


「……無礼者め。そういう不理解が、この世界を悪化させるのだ!!罰の蟲に、喰われるがいい!!」


 煽ってみるものだな。感情的になると、世慣れしていない僧侶らしくボロを出す。よどんで腐ったプールが水音を立てた。よどみの奥から、『寄生虫』が現れる。『寄生虫』と……白骨の組み合わせだな。肉も臓腑も見当たらないが、白骨に虫けらが融合していやがるぜ。


 おぞましい姿だが。


 わざわざ、号令を放ってくれたので、奇襲にもならん。気配を読まさなかったとしても、これでは無意味だ。猟兵に、戦いの手のうちを明かすものじゃない。


『ギギギギギギイ!!』


『ギャギギギイイ!!』


 我々の背後から飛び掛かって来やがった四体を迎え撃つ。


「ウフフ!遅いです!!」


「行くよ!!」


 レイチェルが『諸刃の戦輪』で二体を刻み、ミアの『風』を帯びたピュア・ミスリル・クローの斬撃が『スケルトン・パラサイト/白骨に寄生した蟲』の一体を裂きながらの『風』の爆裂で粉砕する。


 残りの一体は竜太刀の餌食だ。縦に真っ二つ、相変わらず背骨に寄生の根幹がある。それごと裂いてやれば、即死させられたよ。こいつらとの戦い方は、確立しつつあるのさ。


「なんと……ッ!?」


「み、みんな、速いっ。ぼ、ボク、その、えーと……お、おじいさん、覚悟ですっ!!」


 手持ち無沙汰となったジャンが、大将首を狙いに走る。五代目大神官ゾーンとやらは、落ち着いていた。ジャンを甘く見ているのかもしれん。ありがたいことだ。油断してくれているのならば、楽に勝てる。


「う、うおおおおおおおおおおおおお!?」


「『呪われた血』ごときが、増長するでないぞ!!くらえええええええいい!!」


 ヤツの下半身がうごめいた。絡み合っていた無数の薔薇のツタが解かれ、突撃中のジャンに目掛けて飛び掛かっていく。


「う、うわあ!?なんですか、これ!?う……ぐ!?」


 無数のツタにジャンは絡みつかれていた。こちらも援護に向かいたいが、プールのよどみからは次から次に『スケルトン・パラサイト/白骨に寄生した蟲』どもが這い上がってくる。


 最前線に躍り出て、竜太刀の斬撃で白骨の『寄生虫』の融合したバケモノの排除に励んでいた。ああ、もちろん。心配なんて、しちゃいないよ。ジャンは負けない。


「このまま、まずは一人、絞め殺して終わりだ。生贄の血を、流したまえよ!『呪われた血』の青年―――ぐ、ぐはあああああ!?」


 五代目大神官ゾーンとやらが、威厳ある赤い椅子ごと浮かび上がっていた。ヤツの背中からもツタが生えてしまっていたのか、400年のあいだに別の原因で癒着してしまっていたのかは知らないし、興味もないがね。ジャンの怪力に引きずられたツタは、ヤツを椅子ごと持ち上げて、猛烈な勢いで壁へと叩きつけてしまっていた。


 ドゴオオオオオオオオオオオオオンンッッッ!!!


「ぎゅが、ひいい!?」


 瞬時に赤い椅子は、その威厳ごと粉砕されてしまっていたよ。赤い壁にも深い亀裂が入っていた。大神官ゾーンとやらも、しこたまその400才の肉体を打ちつけられてしまったわけだ。


「な、なんじゃ……これは……『呪われた血』だとしても、こ、こんな……っ」


「ああ、う、動きにくかった……ッ」


 我が身に巻き付いていた薔薇のツタを、まるで蜘蛛の巣でも取っているかのように外す。実にあっさりとした動作でな。おそらく、普通の戦士では、そうたやすく外せるようなものじゃないのだろうが……うちのジャン・レッドウッドは普通ではない。


「腕力だけなら、人類最強なんだよ!!うちの、ジャンはな!!」


「馬鹿な……ッ」


「そ、その!!じ、人類最強の腕力かは、分かりませんがっ!!お、おじいさん!!あなたは敵なので、殺しますね!!」


 丁寧な殺人宣告を浴びて、大神官ゾーンは戸惑いながらも恐怖を覚えたのだろう。


 薔薇のツタを身の回りに引き寄せて、守りを固めようとした。


「な、なんです、これ!?」


「はあ、はあ。負けんぞ。武術も、私は得意なのだ。う、うぐう、ゴホゴホ……ッ」


 ジジイの口から、『寄生虫』がボトボトとこぼれていた。ジャンの攻撃に、その身が押しつぶされて、内部の虫けらどもも死んだのだろう。赤い汁をぶちまけながら、砕けた虫けらどもが嘔吐に混じり、床へと落ちた。


「……こ、この屈辱を……忘れんぞ……っ。『呪われた血』め……っ。この薔薇の鞭を受けて、挽き肉になるがいい!!動物混じりめがああああああああああッッッ!!!」




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