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5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

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第三話    『愛する者に不滅の薔薇を』    その五十一


「リングマスター、今のも『寄生虫』ですね」


「ああ。『寄生虫』だ。しかも、少しばかり、今までよりも『実用的』かもしれん」


「わずかな時間で、襲い掛かって来ましたものね」


「積極性がある。『裏切り』……帝国兵が降伏した瞬間に、出て来やがった。すぐに攻撃能力の高い状態になった。こいつは、面倒になるかもしれんぞ」


「……ですが。今は」


「……ああ。そうだな。城門を開けるぞ!!ここから『オルテガ』のなかに入れ!!『オルテガ』の西部を、完全に掌握する!!その後、東に向かって帝国軍を追い込んでやるぞ!!」


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


「城門を開け!!戦士たちを、招き入れるんだ!!」


 重量のある分厚い鋼の扉が開かれて行き、交通を邪魔していたバリケードもすみやかに排除される。外から『ルファード』軍の戦士たちが、次々に『オルテガ』入りを果たした。


 戦士たちを部隊分けすると、オレは指示を飛ばした。『寄生虫』のことは気になるが、今は『オルテガ』西部の掌握し切ってしまうことに集中する。


「第一部隊は、そのまま北上だ!!第二部隊は、城塞を伝うように駆け抜けろ!!第三部隊を、ゆっくりと東に向けて押し出すように進んで行け!!無理をせず、地道に拠点を確保していくのだ!!動け!!」


 了承の雄叫びが返り、戦士たちは素早く目的達成のために狭い街路を走り抜けた。それぞれの部隊には、『オルテガ』市民を同行させている。道を迷うことは、これでない。市民の自発的な抵抗も、あちこちで帝国軍施設への放火という形で起きていた。


 いまだに帝国軍が支配力を保っている街の東側でも、それは起きている。


「勝ちますわね」


「それは、決まっていたことだ。オレは、二度と戦には負けん。問題は……やはり」


「行動の種類を、変えるべきですわね」


「ん……そう、か。帝国兵どもの排除は、このまま戦士たちに任せておけば完了しそうだ。オレたちが狙うべきは、リヒトホーフェン……」


「やはり、将を討ち取った方が早いですわ。リヒトホーフェンという男が、『寄生虫』を操っているのでしょう」


「他に、それを成し遂げられそうな者もいないからな」


「戦況に余裕が生まれた今こそ、敵の核心を討ち取るべきではないでしょうか」


 迷いの無い自信だった。それが、頼りになる。


「ゼファー!!来てくれ!!合流するぞ!!」


 ―――らじゃー!!


 上空からの支援も、西側は必要ではない。こちらの戦力は十二分になりつつある。こうして、ゼファーも敵の弓を警戒することもなく、すみやかに着陸することが可能なほどには、敵は希薄となっているのだ。


『ちゃーくち!!』


「お兄ちゃん、レイチェル!こっちだよ!」


「おう!すぐに行くぞ!」


「ウフフ。二人とも、無事で何より」


『もちろん、ぶじだよ!ぼくも、みあも、とっても、つよーいからね!』


「そうそう!あとね、敵は、本当に動きが悪いんだ。何の作戦も、リヒトホーフェンは与えていないみたい。西側は、もう崩壊しちゃってる。東側は、まだまだ抵抗が強いカンジだけど……『普通』なら、逃げ始める頃合い」


「『普通』ならな」


「うん。『寄生虫』のせいで、変になっているかもしれない。そういう帝国兵は、きっと、逃げないかもしれないね」


「おぞましいことですね。兵士の心をも、操ってしまう『寄生虫』など。姿かたちを変異させるだけでなく、心まで歪めてしまう……これほどの罪も、なかなかありません」


「罰するとしよう。リヒトホーフェンを、見つけるぞ。ゼファー!飛んでくれ!!」


『らじゃー!!』


 城塞を蹴り、『オルテガ』の夜空へとゼファーは待った。剣戟の音と、応酬する怒号。燃える家屋に、走り回る戦士と帝国兵の足音。戦場は混沌としていたものの、こちらが状況をコントロールしている。


『どこにいくの?』


「まずは、ジャンをピックアップしよう。『狼男』の嗅覚を借りたい。ジャンは、あそこか!」


 南東の城塞を、ジャンは攻めていた。『巨狼』の姿となり、城塞の上にいる帝国兵どもを片っ端からなぎ倒している。最高の活躍だな。


「ジャン!!こっちに来い!!合流しろ!!」


『い、イエス・サー・ストラウス!!』


 城塞をそのままジャンは西に向かって走り抜けていくからな。オレたちも上空から援護射撃に励んだよ。矢と弾丸を浴びせ、敵を減らし……少なくなった敵を『巨狼』の突破が掃除していく。城塞の上にまで『巨狼』を近づけさせたら、ああなるわけだ。


 ジャンは、良い戦い方を覚えてくれたよ。今後の戦いにも期待が持てるが、まずは、合流すべきだな。


 安全な西側にまで駆け抜けたジャンは変身を解くと、城塞の高さまで低くホバリングするゼファーに向かって飛んでくれた。思ったより飛距離が足りなかったが、ゼファーの伸ばしてくれたしっぽの先にはたどり着く。


 しっぽをよじ登って来たジャンは、汗だくの顔で、敬礼をした。


「た、ただいま、到着しましたっ!!」


「ああ。すみやかな合流、ありがたいことだ。それでは、リヒトホーフェンの捜索を開始するぞ。お前の鼻と、オレたち魔眼の出番だ」


「い、イエス・サー・ストラウス!!」




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