表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/24

第一章『荒野の少年』③

 空気が凍る。


 アブソリュートの紅い瞳が、俺だけを見つめていた。


「何故、貴様の章は読めぬ。」


 意味が分からなかった。


 章が読めない?


 何を言ってる?


 人生の章は、誰もが持つものだ。


 読めないはずがない。


「……ユウ。」


 震えた声。


 振り返る。


 ミアだった。


 顔が青い。


 手にした《クロニクル》が激しく震えている。


「ミア?」


「おかしい……こんなの、記録にない……。」


 記録にない。


 その言葉に、初めて嫌な汗が流れた。


 ミアの未来視は外れない。


 小さい頃からずっとそうだった。


 転ぶ時も。


 怒られる時も。


 俺が無茶する時も。


 こいつはいつも知っていた。


 だから。


 知らない未来なんて、初めてだった。


「だったら作ればいいだろ。」


 ガイが前に出る。


 大盾を地面へ叩きつけた。


 轟音。


「未来がないなら、俺たちで作るだけだ。」


 豪快に笑う。


 この人は昔からそうだった。


 二つ年上。


 兄貴でも親でもない。


 でも、誰よりも背中が大きかった。


「まったく。」


 隣でレオンが剣を抜く。


 銀の刃が夕陽を反射した。


「面倒事を引き寄せる才能だけは、一流だな。」


「褒めてんのか?」


「馬鹿にしてる。」


「おい!」


「だが。」


 レオンが笑う。


 珍しく。


 本当に珍しく。


「退屈しないのは嫌いじゃない。」


 あぁ。


 そうだ。


 俺たちは無敵だった。


 仲間がいた。


 笑い合えた。


 だから。


 この時の俺たちは、まだ知らなかった。


 人生に終わりがあることを。


 別れの章があることを。


 そして。


 この戦いが。


 俺たちの第一章を終わらせる戦いになることを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ