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第2章 閑話

■それぞれの日常ガイ


「焦げパンと守る理由」


朝は早い。


ガイはいつも通り、誰より先に目を覚ましていた。


けれど今日は、すぐに外に出ない。


珍しく、キッチンの方に足が向いている。



扉を開けると、焦げた匂いがした。


「おはよ」


恋人がフライパンを持ったまま振り返る。


髪は少し乱れている。



「またやったのか」


「違うし。これは“香ばしさの極み”」


「それ毎回進化してるな」



彼女は得意げに皿へ盛る。


見た目は黒に近い茶色。



「これ、どこから食うんだ」


「中心」


「一番危ないとこじゃねぇか」



ガイは椅子に座る。


少しだけ間を置いて、一口食べる。



「……まずくはない」


「でしょ?」


「でも普通に焼け」



彼女は笑う。


その笑い方が軽くて、ガイは少しだけ息を抜く。



「今日も仕事?」


「ああ」


「危ないとこ?」


「まあな」



その言い方に、彼女は一瞬だけ黙る。


でもすぐにいつもの調子に戻る。



「じゃあ帰ってきたら報告ね」


「報告?」


「生存報告」



ガイは少しだけ視線を外す。


こういう言葉の方が、戦場より重い。



「……わかった」



彼女は満足そうにうなずく。



「じゃあ約束。ちゃんと帰ってくること」


「努力はする」


「努力じゃなくて義務」


「厳しいな」



それでも、そのやりとりはいつも通りだった。


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