13章 帝国活動編 7話 都市フカヒーニと会いたい存在
アクセスありがとうございます。
夜が明けて朝がやってくる。その気配に身体が反応して目を開ける俺は、ゆっくりと意識を覚醒させた後に上半身を起こす。
「・・珍しいな」
左右には、シェルとアルシアが寝ていた。
まだ小さな寝息を立てている2人の頭を撫でた後に、俺は立ち上がるとまだ寝ているラニアとアメリアの姿があった。
「いつも早い2人がまだ寝てるなんてな・・」
昨日の鍛錬の疲れが残っているのか、いつも朝早く起きる2人がまだ寝ていたことに驚きつつ俺は音を出さないように外へと出る。
どうやら夜のうちに雨が降っていたようで、水たまりがテントの周囲にいくつか出来ていた。
「・・あっイス出したままだったな・・」
いつも片付けず放置している野外イスが雨で濡れたままだったことに気付き、生活魔法ブロアーで乾かし座れるように乾かし座り静かな朝の時間を過ごしていると、街道の進行方向である北の方から気配を捉えた。
一定の速度で近づく気配からして、冒険者パーティーだろうと思いつつ警戒していると予想通りだった・・。
「こんな場所で野営してたのか?」
「あぁ、そうだよ」
御者の青髪男が馬車を止めて、俺に声をかけてきた。
「もしかしたら、この先の森の道を通って来たとか?」
荷台から3人が顔を覗かせ俺を見ている。男2人に女1人が・・・・。
「・・まぁね。特に何もなかったけど」
「本当にか?」
「あぁ・・」
青髪の男は、少し驚いた顔になり後ろを振り向いて仲間達と顔を合わせているようだ。
「そうか・・俺達はギルドの依頼で森の調査に行くところなんだ」
「へぇ〜・・何かあったのか?」
「・・・・済まないが、ギルド調査依頼を他のパーティーに教えることが出来ないんだ」
「ギルドからの特命依頼か・・わかったよ、これ以上は詮索しない。気をつけてな」
「ありがとう・・何か知ってそうだけど、俺もこれ以上はキミに聞かないでおこう・・」
互いの詮索を止めることを告げた時に、ラニアとアメリアがテントから出てきてその姿を青髪の男の視線が釘付けになった。
「「 おはようございます 」」
「おはよう、調子はどう?」
あえて2人の名前を呼ばなかったことで、ラニアとアメリアは勘付いたようでメイドとしての対応に切り替わった。
「はい。特に問題はございません」
ラニアだけが喋り、アメリアはラニアの動作に合わせ一礼2人は俺から離れて行く。
「・・君は、貴族様なのかな?」
「ただの平民冒険者だけど?」
「使用人・・いや、メイドを2人も雇っているなんて平民冒険者では、ありえないよ」
「雇っては・・まぁ、そんな感じかな?あはははは・・」
「・・・・リーダー?そろそろ行かないとだよ〜?」
荷台の方から女冒険者の声が聞こえ、御者の男が後ろを向いて答え俺を見る。
「ごめんごめん・・出発するよ〜・・悪いねキミ、長居しちゃって」
「いや、別に・・」
俺は片手を上げて応えると、男冒険者も手を上げて馬に鞭を軽く打ち走らせた。
・・・・・・
馬車は俺達が走って来た街道を走りこの先の森へと向かうらしい。
その森で終始監視され続けていたことを伝えなかったことが、この先であのような結果になるとはこの時の俺は知らなかったのだった・・・・。
再び静けさを取り戻した頃に皆が起きたようでテントから出て姿を見せ、隠れていたラニアとアメリアも鍋を持って出て来ていつもの朝食の時間となり、食後に撤収して次の街へと目指した。
あの1本木で野営している時に出会った冒険者と別れてから3日が経った昼に、目指していた次の街が見えて来たのだった。
「みなさん、次の街のフカヒーニが見えてきましたよ〜!」
御者を務めるアメリアの声で、半分寝ていた俺は目が覚めて行く先を見ると、王国とは少し違った感じの街並みが見えていた。
「あっ!・・・・また冒険者パーティーの馬車だ・・」
幌の上にいるミリナの声が聞こえ、少し遅れてから向こうから馬車の姿が見えた。
「これで7台めですね、ご主人さま」
「そうだね、ミオ。何か大きな討伐依頼でもあったのかもしれないな・・街に入ったらギルドで確かめてみよう」
「はい・・」
「お〜い、ミリナ?・・門兵に見つかる前に降りて来て」
「は〜い」
ミリナはクルッと1回転して荷台へと戻って来てくれた。
「リル達4人は、隠密スキルを発動しておいてね」
帝国は獣人族とかの亜人に対し嫌悪感が王国より酷い。特に門兵に見つかると色々と面倒なことになるため獣人シスターズは姿を消してもらう。
街へと入るための門へと続く馬車の列に並び順番を長く待ち、やっと俺達の番になった。
「商人の馬車か?・・身分証を出せ」
御者のラニアとアメリアはギルドカードを門兵に提示する。
「はぁ?・・お前ら、その格好で冒険者なのか?」
「はい。このメイド服が、私達の戦闘服なのですよ門兵さん」
「・・・・変わった冒険者だな。イボスとルイスは、荷台にいる連中を点検しろ!」
「「 はいっ 」」
後ろから2人の門兵が中を覗き、1人が槍を構えもう1人が中に入って来て身分証を出せと告げる。その指示に従い笑顔でギルドカードを提示していると、門兵が俺を睨みつけながら口を開く。
「・・男は、お前1人か・・パーティーリーダーか?」
「はい、そうですけど・・」
「その、黒髪と黒目は?」
「・・勇者様に憧れて・・」
「ふん・・バカな奴だな?召喚者の勇者様だからこそ認められている、黒髪黒目だ。お前のような平民がマネをしても・・・・」
門兵の男は、最後まで言葉を発することなく顔を青くし震えている。
「門兵さん?・・どうかしましたか?」
「い、いや・・なんでもないじょ・・」
ゆっくりと門兵の男は、震える手になんとか力を入れて荷台から降りることが出来たものの、地面に足をつけたと同時に動けなくなったようだ。
「お、おい!イボス、お前どうしたんだ?」
「・・なんでも・・急に腹が痛くなっちまったから、トイレまで運んでくれ。中の奴らは問題ない」
「そ、そうか・・カイン!こっちは問題ないが、イボスが昼飯に当たったらしいからトイレに連れて行く!」
「わかった・・あれは、たしかに食い過ぎだ・・愛妻弁当を残したくない気持ちは、わからんでもないがな〜」
2人が詰所へと姿を消した後に、カインという門兵がアメリアから銀貨5枚を受け取り通行の許可を出す。
「ようこそ、都市フカヒーニへ!ゆっくり楽しんでくれや」
「はい。ありがとうございます門兵さん」
門を抜けて街に入りるとすぐ近くに宿屋が立ち並んでいたため、馬車を預けた後に空いている宿屋を決めることにした。
通りの隅に集まったところで、改めて亜人は冷遇されていることを伝え、宿の部屋以外では正体をバレないように注意して行動するように獣人シスターズに徹底したけど、彼女達がちゃんと守るかどうかは不安しかない。
「はぁ〜大丈夫かな・・」
最初の2件は団体を受け入れる部屋が無いため断られてしまい、3件目は他の冒険者パーティーと相部屋となるため諦めて今は4件目の受付の前に立っている。
「あの〜部屋空いてますか?」
受付の女性は、俺の後ろに立つ彼女らに視線を向けて人数を数えている。
「そうですね・・1部屋に纏めると2人分足りませんが、簡易ベッドでもよろしければ対応できますけどいかがでしょう?」
「簡易ベッドですか・・」
俺は振り向きカラ達を見るも、笑顔でいるため全員賛成のようだ。
「わかりました。それでお願いします」
「ありがとうございます。それでは、1泊金貨10枚です。もちろん連泊も可能ですよ?」
受付の彼女は、営業スマイル全開で俺を見ているものの瞳の奥からは、1泊が限界だろ?兄ちゃんよ?と黒い感情がヒシヒシと伝わってくる。
この街に長く滞在する理由が無かったけど、彼女の挑発に負けたく無い俺はアイテムボックスに収納している金貨を両手で掴みカウンターに叩きつけるように置いて積み上げた。
ドンッ
「お姉さん、これで泊まれるだけよろしく頼むよ・・」
突然大量の金貨をカウンターに積み上げられた光景に、受付の彼女の瞳が点になり小刻みに震え焦点があっていない。
「・・・・・・」
「お姉さん?」
「はぅぁ!」
意識を取り戻した彼女は、ブレていた視線を俺に向ける。
「か・・数えても?」
「どうぞ・・」
ゆっくりと手を伸ばして、1枚づつ金貨を数え始める。
「・・88、89、90みゃい・・・・90枚!」
(90枚か・・100枚は掴めたと思ったけどなぁ〜」
「・・9泊だね、世話になるよ」
「ぴゃい!」
落ち着きを取り戻してくれたところで、部屋の鍵を受け取り階段脇の見つけにくい廊下を歩き部屋まで案内された。珍しくこの宿の大部屋は1階に配置しているようだ。
「部屋は、こちらです」
「案内ありがとう」
すり抜けるように彼女は廊下を歩き業務へと戻って行き、俺は部屋のドアの鍵を解除してドアを開けると窓がない部屋だった。
「1階だから、窓は無しか」
予想はしたけど、実際部屋に窓がないと残念な気分になる。部屋が別れるよりはマシかと納得させた俺は、部屋の奥のベッドへと横たわるいつもの行動をやめて、真ん中のベッドで横たわることにした。
「珍しいわね、ハルが端っこのベッドにしないなんて」
「まぁね、カラは?」
「私は、ハルの隣りにする」
左側のベッドに腰掛けるカラは、俺をジッと見つめる。
「どうした?」
「・・なんでもないわ。今日は、これからどうするの?」
「そうだね、街を出る冒険者のことが気になるから冒険者ギルドに行こうかと考えていたけど、明日にしようかな〜」
「ふふっ・・たまにはいいんじゃない?」
「・・そうだね。今日は、そうしよう」
この街に入るまでは、宿を決めた後に冒険者ギルドへと行く予定だった俺はカラの顔を見て急遽止めることにした。
出かけることがなくなったため、この大部屋で過ごすことになった。そして、部屋のドアがノックされラニアが対応すると、簡易ベッドを2人分運んで来たと宿の関係者の男だったため廊下に置くよう伝え男達が去った後に簡易ベッドを部屋に運び空いているスペースに設置すると、リルとクウコがベッドからベッドへと飛び始めて部屋が騒がしくなっていく・・・・。
この窓の無い閉じ込められ、朝か昼か夜なのかわからない部屋で俺達は、このフカヒーニを滞在することとなった。
「これから、どうしようかな〜」
天井を眺めながら誰にも聞こえない大きさで呟いていると、ベッドが僅かに沈みこみ右に誰かが横になったため顔を向けると、銀髪銀目のシェルの顔が目の前にあった。
「シェル?」
「・・なぁハルよ・・迎えに行かないのか?」
「迎えに?」
「そうじゃ、もう忘れたのか?」
「忘れてないさ・・エルナだろ?」
「そうかそうか・・それなら安心したのじゃ」
シェルは瞳を細め笑っている。
「・・何年ぶりなのかな〜いろんな出来事があって忘れたよ」
「人族にとってはな・・エルフ族にとっては、たいした時間では無いのじゃ」
「やっぱ、エルフ族はそうなんだな〜時間感覚が違いすぎるよ・・・・久しぶりっていうとエルナに怒られそうだな」
「あやつが怒るはずがなかろう・・ハルにあんなに好意を向けておったのじゃ・・怒るとしたら、アルシアの事じゃろうな」
「どうして?」
シェルが言うアルシアがエルナに怒られる理由が、俺にはわからない。
「アルシアはずっとハルの傍におって、契りもシテおるのじゃ。それを考えると、ずっと会えずにいるエルナの感情を考えると、不満をアルシアにぶつけるのは当然なのじゃ」
ニヤリと笑うシェルの顔を見て、コイツはエルナとの再会が修羅場になるのを期待しているのだろうとわかり、シェルの腰に手を回し尻尾の付け根を弄る。
「んぁ・・その手を離すのじゃ・・」
「シェル・・お前、俺ら3人の修羅場を期待しているだろ?」
少しだけシェルの目が反応したのがわかり、俺は容赦なく全身の性感帯を弄り倒し意識を手放させてやり、ピンと全身を反らし固まったままのシェルを隣りのベッドへ放置しやり切った俺の心は満たされたのだった・・・・。




