12章 王国離脱編 幕間⑤ 王国第1王女ミリア
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王国第1王女ミリア Side
ほんの数年前に召喚した勇者オキタ一行である召喚者達の送還の儀が無事に終わり、その勇者達の活動記録を後世に残すために整理するのを微力ながら手伝っています。
椅子に座り机に高く積まれた魔王討伐のため南の森や地下ダンジョン等で、共に行動し勇者達の成長の支えとなっていた騎士団長や要職の騎士達そして貴族連中と日頃の生活を支えていた使用人達、そして各都市に所在する冒険者ギルド長達からの報告書に1つ1つ目を通します。
もちろんですが、その報告書の中に私自身と妹のイリアとマリアが含まれています。
「それにしましても・・どの報告書も勇者本人だけを称賛する非常に偏った報告書になってますわね」
その中でも妹のイリアの報告という名称の独白に身震いがして、何度か途中で読むのを読めようとしましたが最後の最後のページを読んで心が痛みました。
(ほんとうは・・本当に勇者オキタ様と人生を共に歩んで生きたかった・・たとえ知らない別世界で一人ぼっちなることがわどごんっていてもです。でも、イリアは・・王女の1人として愛する勇者様より生まれ育った国を選んだ
ちっぽけな女なのです。・・でも、平民のあの女が勇者様の世界へと行ったことだけが悔しいです・・もう一度逢いたいです、オキタ様)
数ページの空白の紙をめくり、最後のページに丁寧に書いてあった妹の切ない想いに私は・・。
「・・イリア。貴方なら任せられるわ」
可愛い妹の2人より先に生まれただけの私には、この王国の将来を背負い発展させる気概は持っていないのです。それならば、自分の想いを犠牲にし王国の為にと志しているイリアに継承権1位を譲れば王国の為イリアの為、そして私自身の為になると固く決意しました。
それから数日が経ったある日に、王都を出ていたらしい中規模編成の騎士団が無事に帰還したと専属メイド聞き、さらに事前通告も無く帝国で召喚された勇者達と帝国騎士2人¥が同行しているようです。
そのおかげで公務の予定が入ってなかったてめ、街へと遊びに行くつもりでいた私はお父様と帝国勇者との謁見の場に参加する為呼ばれてしまいました。
「なんなのよ、まったく・・せっかく街でお買い物だったのに・・はぁ・・召喚者の傲慢さは共通なのかしら」
「ミリアお嬢様、心の本音がお口から漏れてますよ」
隣りを歩く、幼少期からの専属メイドのカリシアに指摘される。
「良いのよ、カリシア。ここには、清らかな私と汚れた貴方しかいないのだから」
「ふふっ・・このカリシアはもう、幼少のお嬢様から放たれた毒に染まってしまいました・・」
「そうよ・・だから私が今でも、清らかにいられるのよ?」
「そうですね、妹のマリア様が姉より一足先に大人の階段を上がってしまいましたが・・」
「んなぁっ!?」
「他意はありません」
「・・もぅ、良いわよ、私だって・・・・それよりも早く私室に戻って急いで着替えるわよ」
「仰せのままに」
私室に戻り、カリシアの手際の良いおかげで素早く着替えた私は謁見の間へ続く王族専用の近道を通りとある部屋に辿り着くと、お父様は既に待っていました。
「はぁ・・はぁ・・ごめんなさい、お待たせしましたお父様」
「うむ・・ミリアよ、急な呼び出しですまないな・・今日も綺麗だ」
「・・ありがとうございます、お父様」
(・・ぜんっぜん嬉しくもなんともないわ)
それから謁見の間で人の動く音や話し声が微かにします。きっと国王が入る前の作法とかの話をしているのでしょう。そして静かになった頃に近衛兵長が扉をゆっくり開けて先に入り扉を手にしたまま姿勢を正したところで、お父様を先頭で入り普段通り私も謁見の間へと足を踏み入れました。
一段高い壇上で、お父様から数歩離れた横に立ちます。
もちろん、いつもの微笑みを作り固めて・・・・。
目の前には、左から左に帝国騎士2人がいて黒髪の少年3人と少女が2人そして少し茶髪のような少女1人が片膝をついて首を垂れています。
・・・・・・
いつもの無駄な形式的な挨拶が終わり、立ち上がった召喚者達は私とあまり変わらない年頃か少し下の子のような幼い顔つきに見えます。
長々と話しを聞いていると、どうやら王国に召喚勇者達を連れてきた理由は帝国が召喚に成功し勇者の存在を公表し魔王討伐を共闘する為、王国の召喚勇者達と交流を深めさせるのが理由だそうです。
「そうか・・帝国勇者一行殿よ残念ながら王国が召喚した勇者様達は、魔王討伐を達成し元の世界へ無事に送還したのだ」
「そうですか・・王国へ来るのが遅かったよですね」
帝国騎士の男は、少しショックを受けているようです・・理由は、わかりませったのが。すると、頭の片隅にあった懸念がやはり起きました。
「国王様、ちょっと良いかな?」
「シュ、シュン様!他国の王に対して無礼です!謝罪を!!」
男騎士の後ろにいる女騎士が慌てていますが、もうその礼儀の無い言葉使いに免疫がついているお父様には問題無いのです。
「はっはっは・・もう召喚者の言葉使いに慣れておるから問題ないぞ騎士殿よ。勇者シュン殿、続けよ」
「お〜皇帝のジジイと違って、わかる王様だな。王国が召喚した勇者達が魔王を討伐して元の世界に還ったのに、どうして俺達6人が帝国で召喚されたんだ?」
・・たしかにその通りです。国が保管する文献には、魔王が誕生しない限り召喚の儀は成功しない為、勇者達がこの世界に召喚されることはないのです。
「うむ・・・勇者シュン殿達は、いつ召喚されたのだ?」
「え〜っと、いつだったっけ・・マリ?」
「はぁ・・国王様、私は剣聖の称号を持つマリと言います」
「女の剣聖か・・マリアとの御前試合がおもしろそうだな・・」
お父様の言葉に、騎士と召喚者の黒い瞳の視線が私に集まるもお父様が否定する。
「その子はミリアだ。第1王女として大事に育てたため、武に関しては素人に近いな・・おっと話しが逸れてしまったが、マリ殿続けよ」
「・・はい。私達は、1年前に召喚され、ステータスの成長に励んでいました」
「そうか、魔王は・・魔族は王国の南・・イシタ公国から侵略を開始し1度は撃退に成功したものの、突如魔王がこの王都に現れ王都が戦場と化したのだ」
「お・・王都が戦場にですか?」
剣聖のマリという少女の目が見開いて顔が青い気がします。
「そうだ・・何も予兆もなくな・・だが、運よく遠征の無い期間で勇者様一行が王都に滞在してくれていたおかげで王都消滅を防ぐことができたのだ・・そして魔王討伐しこのまま平和が続くとワシは思っていたが現実は違った・・」
「国王様・・いったい王都で何があったのですか?」
「魔族の逆襲だ・・ただのスタンピートではない。見渡す限りの土地に魔物が集結しそれが途切れる事なく襲撃してくるのだ。勇者一行のその何百倍の数の魔物がな」
・・・・・・
あのスタンピートで、私も死を覚悟し王城の地下へと逃げました。しかし終わってみれば人族が勝ったのです。
「そのため・・勇者シュン殿達が召喚された時期では、まだ魔王はこの世界に存在していたことになる」
お父様の言葉を聞いた帝国勇者一行は納得したかどうかわかりませんが、謁見の時間は終わり、今日は王国勇者達が使っていた部屋で泊まり、夕飯は晩餐会を開くことになったようです。
解散となり私は、ドレスから普段着へと着替えるため自室に戻ります。今から街に行ってもゆっくりと買い物ができそうな時間がなさそうなため、あてもなく城内を歩いていると、マリアが発狂するような声が聞こえたので、その部屋のドアに耳を当てて会話を盗み聞きます。
(アイナがハルと、西の都市で会ったですって?)
私は、反射的にドアをノックし部屋へと入りアイナにハルが帝国へ移住する事を問い質すと、はっきりと肯定されてしまいます。
でも、私なりにハルの足取りを探していた私は、商人ギルドから得た情報を伝えるとマリアが爆弾発言をしたのです。
「お姉、私はハルの元へ・・帝国へ行きます!」
マリアの瞳に一切の迷いが無い。そんな妹の瞳を見て、驚きながらも考え直すよう促しますが通じないようです。
だから、私も心に決めた固い決意をこの3人の前で宣言するのです。
「私も行くわ!ハルを追って帝国に!!」
そんな私の決意を信じられないような瞳で見上げる3人は固まっているので、とても失礼だと思いました。
それから私達の行動は早かったのです。私とマリアで宝物庫から売れそうな物を拝借しマリアのマジックポーチに収納し私用品も容量いっぱいまで入れます。
アイナとリンは、中隊長としての業務引継ぎの書類を3日で作成し終えたところで身篭ったと申告し除隊しました。
その2人の除隊式を涙ながら笑顔で見送った私とマリアはイリアと親しい関係者に別れの手紙を置いて、街への買い物と嘘をつき冒険者ギルド近くの裏道でアイナとリンの2人と合流し、フード付きコートを羽織り冒険者登録へと胸を弾ませてギルドへと足を踏み入れたのでした・・・・。




