12章 王国離脱編 5話 都市ニシバル①
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アリスからの襲撃?で起こされた俺は、ぐっすり寝ているリル達を起こし外に出ながら起きなかった理由をリルに聞いた。
どうやら、一度は起きたもののアリスから害意を感じなかったからそのまま二度寝を選んだらしい。
「なんだよそれ・・気付いたなら止めてくれてもいいじゃん」
「にひひ〜」
リルは上目遣いで笑いながら俺の左手を握り誤魔化す。
「はぁ・・いいけどさ」
諦め溜息をつきながら空を見上げると、今日もよく晴れていて旅にはちょうど良い天気だった。
「・・おこってる?」
「ん?・・おこってないよ、リル」
そう言いながら右手で頭を撫でてやると、リルの瞳が少し潤んでいるように見えたけど今回は気にせずそのままに歩きカラ達がいる焚き火跡のところへと移動し適当なイスに座る。
両側にはいつも通りリルとクウコが座るも話しかけてこないため、目を閉じて気にしている存在の居場所を探すと思ったほど俺達の方へ近付いてはいなかった。
(・・夕方の出発だったから、暗闇での移動を避けたんだろうな)
脳内でイメージ化された地図上に反応する集団のいちを確認終えてから目を開けると、ラニアの他にもう1人メイドが忙しそうに配膳をしている。
「おぉ?あれって、もしかして・・」
「アメリアよ、ハル」
クウコの隣に座っているカラが教えてくれる。
アメリアは、ラニアと同じデザインのメイド服を着ているけど、スカートの丈は膝下の長さになっている。
「似合ってるな・・」
そう呟きながら、クウコ越しにカラを見ると顔を逸らされてしまった。
「わ、私が着れるサイズがなかっただけなのよ・・」
顔を逸らしたままのカラは頬を紅く染めている。その頬を揶揄うようにクウコが指で突っつく。
「ちょっ・・クウコちゃん?ダメよっ・・」
「カラは、顔に出し過ぎだよね〜」
「・・・・」
クウコのツッコミにカラは返す言葉もなく沈黙を貫き、俺はそれ以上何も言えなくなってしまう。
「はい、これで全部揃いましたよ〜!」
ラニアの爽やかな声が聞こえ、メイド服を纏う2人がイスに座りみんなが俺をみる。そしてなぜか、アリスも俺を見ている。
「・・ラニアとアメリア、いつも朝ごはんを作ってくれてありがとう」
ラニアとアメリアは、俺の言葉に応えるようお辞儀をする。
「それじゃ、いただきまーす」
「「 いただきまーす 」」
これを合図に俺達の食事が始まる。俺が食事中に基本的に喋らないため、周りのみんなも雑談をしない習慣になってしまった。もちろん、酒場とか飯屋とかで情報交換する時は別だけど。
実は、俺が食事中に喋らない理由は隠している。隣で食べているリル達4人の獣人シスターズのケモ耳がピコピコ動いている様子に癒されているから。
(やっぱり猫と一緒だよな〜あの耳の動きは・・)
4人を見ていると、俺の視線に気付いたのかシスターズが手を止めて俺を見る。
「「「「 ・・・・ 」」」」
「なんでもないよ」
俺は笑顔で首を振り視線を逸らすと、コクっと頷いて止めていた食事をはじめたのを見た後にアリスの方へ視線を向けると、ラニアの隣でゆっくり食べているようだ。
食事を済ませると、テントを撤収する組と食器などを手入れする組に別れ出発の準備を進める。アリスは、俺やリル達に近付かずラニアやカラ達と一緒にいて手伝っていることが多い。
「そろそろ出発しますよ〜!」
御者台に乗るアメリアの声が聞こえる。もちろん馬の手綱を持っているのはラニアで御者の技術を学ぶらしい。
ガサガサッ!
テントを片付け終えた後に、森へと遊びに出ていたリルとクウコが茂みから姿を現し荷台へと飛び乗る・・のを捕まえる。
「ちょっと待ったぁ〜!ちゃんと綺麗にしてからな?」
「「 んぅ〜!! 」」
俺に捕まえられたリルとクウコはジタバタするも、本気で嫌がっているわけではなくされるがままに捕まっている。
泥だらけになったリルとクウコに生活魔法クリーンをかけて全身を綺麗にした後に、そのまま荷台へと乗せて俺も乗り込み御者台の2人に伝える。
「全員乗ったから、いいよ〜!」
馬車はゆっくりと動き出し、開けた場所から街道へと戻り速度を上げて走り続け順調な旅が続いた。
それから2晩野営し、魔物や山賊の類いに襲撃されることなく王国の西の都市ニシバルの街並みが見えてきたと、御者台にいるアメリアの声で目が覚めて俺は、荷台からアメリアの横へと移動する。
「街が見えてきたって?」
「はいっ・・ニシバルが見えてきました」
風になびく髪をかき分けながらアメリアが告げる。
「・・もう少しだね。このまま頼むなラニア、アメリア」
「「 はいっ 」」
俺は2人の肩を軽く叩き荷台へと戻ろとした時に、アメリアが俺を呼び止めた。
「ハルさん、あのっ・・」
「どうした?」
「1つだけ気になることがありまして・・」
アメリアは見上げているため、俺はしゃがみ目の高さを合わせる。
「何かあった?」
「その・・どうして、この旅には魔物や山賊の襲撃がないのでしょうか?」
俺達のパーティーと共に初めて行動するアメリアの質問で、俺達の当たり前が当たり前じゃなかったことを思い出す。
「・・あぁ、それのことか・・・・あの子らの影響だよ」
そう伝え荷台の幌の上で戯れているリルとクウコに指を差す。
「リルちゃんとクウコちゃんがですか?」
「そうだよアメリア。あの2人は、この中で一番強いからな。俺は勝てる要素が見当たらないぐらいに・・ほら、あの2人が踊るような感じで手を振っているだろ?」
「はい。楽しそうに踊ってますね〜」
「あの手の動きで遠くにいる魔物達を殲滅しているんだ・・だから一度も襲撃を受けることなく旅が続けられるんだよ」
視線をリルとクウコに向けているアメリアは、2人の容姿から想像出来ない程の強さに驚いているようだった。
「・・そう、なんですね・・」
こうしてアメリアとやりとりをしている間に、都市ニシバルの門に近づいて行くのだった。
「ハルさん、どうしますか?」
「この街なら短期で泊まるだけだから、このままで行こう」
「わかりました・・でも、アリスちゃんはどうしましょうか?」
「アリスは、カラと2人で隠密スキルで隠れてもらうよ」
「わかりました、このまま列に並びますね」
「あぁ・・」
荷台に戻った俺は、身分証の無いアリスを隠すため慣れているカラと共に隠密スキルで身を隠してもらうことを告げる。
アリスは一瞬だけ不服そうな表情になるも、身分証がないため表情を戻し文句を言おうとするも諦めたようだ。
ラニアは、列を作り始めている検査待ちの馬車の列に並び俺達の順番がやってきた。
「メイド自らが御者ってのは、珍しいな?」
検査をする門兵が、ラニアとアメリアに声をかける。
「主さまのご意向ですから」
「そうか・・身分証を提示してくれ・・それと後ろは?」
「荷物と使用人達・・それと護衛です」
数人の門兵が荷台の後ろへと回り俺達に鋭い視線を向けていると、最後尾に座っている俺に声をかけてきた。
「そこの男、身分証を・・」
素直に帝国の冒険者ギルドカードを見せる。
「おぉ、帝国の冒険者なのか?」
「はい。王都からの帰りの途中で護衛依頼をたまたま見つけまして・・」
「そうか・・っで他の女と子供は?」
「屋敷の関係者だと聞いてますけど・・詳しくは国が違う身分なので」
「・・それもそうか・・よし」
どうやら無事に門兵達の点検を終わったようで、馬車がゆっくりと動き待ちの中へと入ることができたのだった・・・・。




