12章 王国離脱編 4話 飲み込む言葉とツンデレ幼女
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カラ達3人をアルシアやシェルが寝ている大型テントへと寝かせ、馬車の荷台に張ったテントにいるリル達のところへ戻ろうとした時にアルシアに呼び止められ、テントの前で黙ったままアルシアと向き合う。
火照った体を冷やしてくれる冷たい夜風が気持ちいい・・もう、寒さを迎える時期が近づいているのだろうか。それにしても呼び止めたアルシアは、俺を見上げているだけだったから何気ない質問をする。
「アルシア、眠れないのか?」
「それは、えっと・・だな・・まぁ、そうともいう感じだ」
「そっか・・まぁ立ったままもアレだし・・な?」
そう言いながらテントから離れ焚き火の方へ足を進めると、アルシアも背後からついてくる。そして足を止めて俺は振り向くと、月明かりに照らされたアルシアの長い黒髪が綺麗だなと見つめていると彼女が少し俯き急にモジモジしはじめる。
「・・・・そ、そんなに見つめられたら恥ずかしいではないか」
「ごめんごめん・・ついアルシアの黒髪は俺の髪と違って綺麗な黒髪だなと思って・・」
普段のアルシアは、いつもポニーテールにして同じ髪型だけど寝る時は、その髪を下ろし長い髪が腰の辺りまで伸びているため、昼間と違う雰囲気を纏っている。
アルシアは嬉しそうな表情になり自分の髪を触りながら告げる。
「女の髪は命と言っても過言ではないからな?だから、わたしは幼き頃からこの髪を大事にしているのだぞ?」
「やっぱ、そうだよね〜」
そう言いながら俺はアルシアの自慢の髪を撫でていると、不意に下から見上げるように覗き込む彼女と視線が重なる。
「ハル?そんなにわたしの髪が好きなのか?」
「好きだよ?アルシアの黒髪・・」
俺の告白に前屈みになるアルシアの寝巻きのサイズが大きいのか胸が大きいせいなのか、あの時に負った胸の傷跡が見えて俺の視線は釘付けになり撫でていた手も止まる。
「・・ハル?どうしたのだ?」
「・・・・あっごめん、この胸の傷・・」
アルシアはサッと隠すように右手で傷跡を隠す。
「見えたのか?あははっ・・胸にこんな傷跡がある女はダ・・」
「アルシア!」
自虐しようとするアルシアの言葉を遮り強く抱き締める。俺の言葉で覆う。
「おれが・・俺があのとき、そばでキミを守っていれば・・この傷を残すことなんて・・」
「ハル・・もういいんだぞ・・」
アルシアの優しい言葉と当時に頭を撫でられてしまい、吐き出していた言葉を止められてしまう。
「もう済んだことだし、助けられた命だ・・今となっては私の勲章だと思っているのだ。それに・・ちゃんと責任は取ってもらっているし」
「・・責任?」
「なんと?自覚してないのか?もう、わたしは、ハルに嫁いでいるようなものだぞ?」
月明かりに照らされている、目の前にあるアルシアの笑顔がとても綺麗だ。
「確かにそうだな・・。そういえば、アルシア・・俺に何か話したいことがあったんじゃないか?」
アルシアは俺からソッと離れ見上げる。
「それは・・」
「妾もその話に同席しようかの〜」
いつのまにか、テントから顔だけを出すシェルは長い銀髪が地面に触れそうになっている。
「シェル・・お前も起きてたのか?」
ヒョコッとテントから出てくるシェルは全裸だ。
「おまっ・・人化したばっかだな?」
どこも隠さず堂々と歩く銀髪の残念美女にアイテムボックスに収納している俺のシャツを取り出し強引に着させると、サイズ的に彼女の下の方がうまく隠れいい感じになった。
「クンクン・・ハルの匂いがするのぉ」
「そりゃ、俺のシャツだから当然だ」
「ふふっ・・間違いないのじゃ・・それにしてもアルシアよ、いったいハルに何を伝えようとしたのじゃ?」
「えっと・・なんでもない。ただ、ハルと2人で一緒に夜風に当たりたかっただけ・・」
そう言いながらアルシアは逃げるようにテントへと入り姿を消してしまった・・。
「あ〜行っちゃったじゃないかよ、シェル・・」
「ん〜そんなに気にすることないのじゃ」
それかあ2人きりになったシェルは、俺にベッタリとくっつき迫ってくるため誘うように抱き上げリル達が寝ているテントへと連れ込む。
傍で寝ているリル達を起こさないようシェルに戯れようとするも、急に大人しくなったシェルに俺は不完全燃焼になりそのまま寝ることになり意識を眠りへと手放した。
「むごぉ!」
吐き出すように出た言葉と同時に意識が覚醒し目を開けると、白く細長い足が俺の鳩尾へと深く食い込んでいて自然と上半身が起こされる。
「この、ヘンタイ・・」
冷淡な言葉と無感情な瞳が俺を見下ろしている幼女アリスの姿があった・・。
「・・ア、アリス?」
「起きてテントにいないと思って探せば、この狭いところでこんな子達と一緒に寝ているだなんて・・」
どうやら朝からアリスの機嫌が悪い・・理由はよくわからないから取り敢えず謝ることにした。
「・・ごめん、アリス」
「ふん・・次は誘いなさいよね・・」
「ぐぉっ!!」
アリスはそうはいという捨てながら、俺の鳩尾を踏んでいた右足をさらに踏み込み離れる荷台から降りて外からさっきと違う口調のアリスの声がする。
「・・もう朝ごはんできるんだからね・・早くその子達を連れて来てよね・・いい?」
「・・わ、わかったよ、アリス」
そのままアリスが馬車から離れていく足音が聞こえ、俺は周囲で寝ているリル達を起こし外へ出て皆と合流するのだった・・。




