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11章 王都逆襲編 23話  再会と次への旅立ち

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 俺の腕の中に黒髪黒目の幼女が、自分のことをアリスと名乗る。その言葉を理解できない俺は、無言のまま自称アリスを抱き抱えたまま部屋を出て廊下を歩く。


「どこ行くの?」


「・・静かにして、もう意味がわかんないや」


 そう吐き捨てた俺は、王城を出て街の通りを歩き頭の中を整理しながら横を歩く2人に聞いた。


「リル、クウコ?」


「「 なぁに?? 」」


「この子は、何者なの?」


「「 アリスだよ 」」


「はぃ?・・マジで?」


 リルとクウコは、コクリと頷き見上げながら歩いていると背後から、俺と同じ気持ちの声が聞こえる。


「あの、ご主人さま・・この子供は、本当にアリスなのですか?」


 ミオは警戒心を含ませた口調で聞いていると、腕の中で大人しく抱かれていたアリスがモゾモゾ動き俺を見上げていた姿勢から、後ろにいるミオを覗き込むような姿勢となり呟いた。


「・・だから、さっきから言ってるじゃない。私は、アリスって」


「そう言われても・・子供・・しか見えない」


 確かに幼女の容姿であるこの子は、あのアリスの面影は残っていると俺は思う・・リルとクウコもアリスだと認めていることだし。


「まぁ、とりあえずアリス本人だっということにしよう」


 そして、この黒髪黒目の幼女をアリスだと認めることにした俺は、王都の南側にある宿屋街を目指し歩く途中の視界に入る街並みは、まだ復興作業を進める人達と普段の生活を取り戻しつつある人達が混在している。


 そんな街並みを見ながら歩き目的の宿屋街の通りで、アリスの頭がガクンガクンと異様に揺れていることに気付いた時に、クウコの冷たい口調の声が耳に入る。


「ねぇ・・いつまでハルに抱っこされている気なの?」


 アリスの頭が異様に揺れている原因は、クウコがアリスの首根っこを掴み俺の歩調に合わせ揺らしていた。


「あぅ・・はなしてよ・・あた、あたまが・・」


 コキッ!


「くふぅ・・」


 乾いた音が胸元から聞こえ、アリスの身体がビクンとした後に動かなくなってしまう。


「あっ・・」


 小さく漏らすクウコの声で、俺は反射的に治癒魔法ハイヒールをアリスの首にかけてダメージを無かったことにする。


「クウコ!」


「ご・・ゴメンなさい!」


 クウコの小さく反省する声に俺は反応することなく、そのまま目的地の宿屋へ入ると1階の共有スペースにアルシア達とラニアとカラの姿があり、シェルが先に俺に気付き笑顔になる。


「無事に帰ってきたのじゃな」


「シェル、ただいま・・カラとラニアも無事だったんだね」


 長い銀髪をラニアに触らせているシェルは、ラニアの手を掴み俺が帰ってきたことを教えるとカラとラニアが俺を見つめ言葉を失っている。


「ただいま、カラ・・ラニア」


 動きがない2人を見ながら、腕の中で寝ているアリスを近くの長椅子に寝かすとガタッと大きな音がして俺の名を呼ぶ声がする。


「ハルッ!」


 カラは椅子から立ち上がり俺に一直線に飛び込んで来て、優しく抱きとめながら優しく頭を撫でる。


「カラ、また心配かけさせちゃったね・・」


「ううん・・生きててよかったよ、ハル」


「ゴメンね・・」


 カラを抱き締めながら、王城で再会した幼馴染のリサが勇者達と異世界へと旅立ったことを伝えようか悩んだ俺は、伝えるのは今じゃないと思い胸の奥にしまい込む。


「ハルさん・・お帰りなさい・・」


 シェルの後ろに立っていたラニアは、遠慮気味に近付き抱きついているカラの後ろに立ち涙目で見上げている。


「ただいま、ラニア・・おいで」


 見上げたままスッと近寄るラニアを左腕で抱き寄せる。


「ハルさん・・」


 ラニアの小さな声を聴きながらいると、シェルの前に座るアルシアが長椅子に寝かせているアリスを不思議そうに見つめてから俺を見て呟く。


「ハル・・そのだな・・あのハルと同じ黒髪の幼女は、もしかして・・なのか?」


「アルシア?・・そんな期待する関係じゃないぞ?」


「アリスだよ!魔王配下の!」


 突然のリルの暴露にアルシアとシェルは慌ただしく身構えたため、テーブルとイスが強引に動かされ床と擦れる音を鳴り響かせたためアリスが目を覚まし起き上がる。


「んっ・・・・ここは?」


「俺達が泊まっている宿屋だよ・・」


 ゆっくりと見渡していたアリスは、俺の声を聞いて俺を見つけると長椅子から降りてトコトコ歩き俺の足に抱き付き見上げると口を開く。


「・・お腹すいたの」


 まるっきし警戒感のない口調で俺に伝えるアリスは周囲の視線なんか全然気にしてもいないようで、俺は少し溜息をついて要望に応えることにする。


「もう、しょうがないな・・」


 抱き寄せていたカラとラニアを解放し、全員を1つのテーブルに囲むように座らせてアイテムボックスに収納していた食べ物と飲み物を適当に並べ食事にすることにした。


「とりあえず、飯ににしよう」


 テーブルに高く積み上げた肉串タワーを獣人シスターズが獲物を捉えたような瞳に変わり俺の合図を待っている。そして、他の子たちへの食事の配膳が終わった後に俺は、みんなを見渡しあの家の食堂で食べていたように口を開く。


「いただきまーす」


「「 いただきまーす 」」


「いた?・・まーす」


 アリスを除いたみんなは、いつものように手を合わせてから食べ始め、唯一この流れを知らないアリスは戸惑いながらも真似をしながら必死に手を伸ばして食事を始める。


 一心不乱に肉串タワーを制覇しようとする獣人シスターズを眺めながら硬めのパンを食べていると不意に太もも辺りを掴まれ俺は視線をしたに向ける。


「よいしょっと・・」


「ん?」


 俺の太ももを掴んで必死によじ登るアリスを俺は持ち上げて膝の上に座らせると、頭を真上に上げて俺を見上げ視線が重なる。


「ありがと・・」


「どうした?ここで食べるのか?」


「うん。イスだとテーブルが高いから届かないの」


「そっか・・ならしょうがないな」


 アリスは、リルとクウコの初めて出会った頃に近い背丈だから宿屋の大人用では食べづらかったようだ。



 チラッ・・チラチラッ・・


 肉串タワーを無慈悲に崩していく獣人シスターズのリルとクウコは、俺の膝の上に座りパンを食べるアリスを見て一瞬驚き固まるも、目の前の減りゆく肉串の誘惑に負けて今は食事を優先させている。


(あぁ・・またあの2人の口周りはタレまみれだな・・)


 それから、皆の食事が落ち着き始めた頃に正面に座るシェルが俺を見て聞いてきた。


「ハルよ・・これからどうするのじゃ?」


「そうだね、もう王国には住めないから帝国に移住しようと思っているよ。それに、アルシアとシェルを帝国に帰らせてないしね」


「帝国か・・また長い旅になるのぉ〜ラニアよ」


 なぜか、シェルはラニアの方を見て問いかける。


「あぅ・・シェルさん・・・・あの、ハルさん帝国に行くなら馬車が必要ですよね?」


「そうだね、まぁ乗合馬車を使って行こうかと思っているよラニア」


「乗合馬車・・ですかぁ」


 なんだかラニアが俯き落ち込んでしまい、それを見たシェルがラニアの肩に右手を添えて告げる。


「ハルよ、この大人数で乗合馬車は無理があると思わないか?」


「まぁね〜でもな、俺は馬車を持っていないんだよね・・だから必然的に乗合馬車になるんだよ」


 すると、落ち込んんでいたラニアが顔を上げて瞳が輝きだす。


「あ、あります!・・馬車ならありますよハルさん!」


「えぇ?・・あるの?」


「ハル、ラニアさんなら馬車持っているじゃないの」


 カラの指摘に俺はラニアが馬車を持っていたことを思い出す。


「おぉ!・・そうだった!ラニア、お願いできる?」


「はい!ハルさんのためですから!」


「あ、ありがとうラニア」


 それから今後の行動が決まり獣人シスターズを護衛にラニアとアメリアで商店への買い出しを任せた俺は、とりあえずすることがないため宿屋で帰りを待つことにした。


「戻りましたぁ〜」


 夕方になった頃にアメリアと獣人シスターズが宿屋に戻ってきたけど、ラニアとミリナの姿が無い。


「アメリア・・ラニアとミリナはどうした?」


「はい、2人は預けている馬車を引き取りに行っています」


「そっか・・ありがと」


 何かが合った訳ではなく、ただ馬車を引き取りに行ったということを聞き安堵していると、ミリナから念話が届く。


『ご主人さま、馬車の準備ができたそうです』


『ありがとうミリナ・・ラニアに西門前で合流するよう伝えてくれるかな?』


『はい、ラニアそう伝えますね』


『よろしくな・・でも、周囲の警戒を怠らないようになミリナ』


『はい!もちろんです』


 ミリナと念話を終わらせた俺は、皆に馬車の準備ができたから支度を済ませるよう伝え宿屋を出て西門へと全員で向かったのだった・・・・。


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