11章 王都逆襲編 20話 囚われの身
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ミオ達に見送られながら冒険者ギルドから出て外で待っていた軽装の騎士に囲まれながら歩く、とすれ違う住民や冒険者達から視線を感じる。
(めっちゃ罪人扱いだよ・・)
声には出さす不満を募らせながら、少し前を歩く副団長の背を見ながら口を開いた。
「なぁ、副団長さんよ・・なんで冒険者同士のイザコザに街の衛兵じゃなくて、王都防衛のお前ら騎士団が関わるんだ?」
「・・・・」
俺の問い掛けに、副団長様は答えない。
「おーい、シカトなのか?」
「・・・・」
「俺ら冒険者を相手にするぐらいだから、相当暇なんだな?騎士団っていう組織は・・」
「きっ貴様ぁ!」
俺の後ろを歩く若い騎士が、感情的になり俺の背中に硬いものを強く押し付けてくる。
「いってぇな・・離せよ」
「黙れ!冒険者ごときが、王国騎士団をコケにするな!」
「タリウス君、冷静になりなさい・・」
「はっ!・・すいませんでした、スクート副団長・・」
スッと背中に突きつけられていた硬い感触がなくなり、痛みも消えていく。
「帝国冒険者殿、他国の騎士団を侮辱するのは立場を悪くするだけですよ?」
「そうか?騎士団ってのは、好きじゃないからな」
「あははは・・・・なかなかの自信家なのですね。そういえば、貴方のお名前を教えてもらえませんか?」
「あぁ、そうだったか・・ハルだ。帝国のソロ冒険者ハルだ」
「ハル・・・・。あの男と同じ名前」
「あの男と同じ名前?」
副団長の声が少し低い口調になったことに何かを感じた。きっとかこの俺の事でも思い出したのだろうか・・。
「・・そうですね。王都に来るのは初めてですか?」
「ん?・・まぁ、そうなるな。帝国から王都までは、いくつもの街を経由して路銀を稼ぎながらの長い生活になるからな」
「・・・・過去にこの王都で、大罪人として扱われた男の名前を貴方と同じハルと言いまして、複数の女性が騙せれ犠牲となった事件があったのです」
(おいおい・・複数の女性が犠牲って、そんなことしたのお前ら王国だからな・・)
「そ・・そうですか・・その男と同じ名前だからって俺も犯罪者扱いか?」
「罪が確定すればの、話しですよ・・貴方が真実を我々に話してくれれば問題ないはずですからね?」
「俺の話を信じるも信じないのも、お前らの裁量次第だろ?」
「まぁ、否定はしませんよ・・」
要職に就く人間が変わっても、騎士団のクソッタレ具合は変わらないなと思いながらいると脳内にクウコの声が優しく響く。
『ハル?・・聞こえるかな?』
『あぁ、ちゃんと聞こえるよクウコ』
『良かった・・』
『クウコ、今は騎士団の連中に絡まれて冒険者ギルドを出て王城方向に歩いているから、帰りが遅くなると思う』
『うん、わかったよ。でもね、心配だから・・リルとミオとミリナの4人で追いかけてるんだよ。ちゃんとハルの姿を見てるから』
『ありがとな・・ミオ達と合流してるなら、アルシアとシェルとも会ったんだね』
『そうだよ〜!リルが気配を感じて宿の近くで会ったんだ。そうそう、アメリアって子も居たんだ〜』
クウコと俺の会話に我慢できずに、リルが混ざってきた。
『リル、そしたら他のみんなはどこで待ってるのかな?』
『リル達が泊まる宿屋で、待っていてくれてるよ〜』
『わかったよ・・それなら早く帰らないとだね』
『うん。何かあったらすぐにリル達と駆けつけるからね』
『ありがとな、クウコ』
『ハル〜!リルも、がんばったよ?』
『リル、ありがとね』
『えへへ・・』
『それじゃ、またあとでな』
『『 うん 』』
クウコとリルと念話を切り、意識を周囲の騎士達に戻すと副団長越しに王城が見えて来た。
(このまま王城に連行なのか?)
そんなことを考えていると、広場を真っ直ぐ行くことなく右へと曲がり王城を左に見ながら街の通りを歩く。
(王城に連れて行くんじゃないのか?・・いったいどこに行くんだろう・・)
それから、しばらく通りを歩いているところで、俺は足を強制的に止めさせられる。
ガチャガチャ・・キィィ・・
暗くてよく見えないけど前の方で何か金属がぶつかり合う音と、しばらく使われていない扉が開かれる音が聞こえた。
その音を聞いた瞬間に俺の本能が加速度的に覚醒され、臨戦態勢を直ちに構えろと警鐘が鳴る。
「・・とりあえず、この先に進んでくれるよね?」
ここに来て、初めて副団長が振り返り俺を見る。
「無理だな・・ここから先は、無実な俺が行く場所じゃない」
「この先を知っているような、口振りだね・・帝国冒険者のくせに」
もうコイツは、俺の素性を確信していると判断したことが遅かった・・。
「ソロ冒険者の長年培ってきた直感を舐めるなよ?」
「もう、手遅れだと思うから諦めたら?この戦力差で無傷で逃げきれないよ」
副団長の余裕な態度が、薄気味悪い。
「騎士団が俺を抑え込めれると?」
「もちろん・・ほら、あそこを見て」
まだ抜剣をもしない騎士達は、俺を取り囲むだけで襲いかかろうとはしていない。それが1番の違和感だったけど、副団長が指差す方向に視線を向けてその理由がわかってしまった・・・・。
「・・・・ラニア?・・・・それにカラも・・なぜ、そこに2人がいるんだ?」
俺がいるこの場所は、王城の地下牢へと続く特別な入り口だ。過去の記憶が鮮明に蘇り心が掻き乱される。そして、副団長の男が指差す方向には、僅かな隙間から見えるその先に2人の立つ姿が・・・・。
「見えたみたいだね。あの2人は、女性召喚者様の身の回りの担当世話係だ。陰で君と同じ男の話を楽しそうにする様子が何度か目撃されていてね・・しばらく泳がせていたんだよ。そしたら、門兵から君が街に入ったと連絡を受けてね・・全てが計画通りさ」
俺は、隙間から見える2人の様子を確認するも遠すぎて目視では把握できない。
「この計画は、とある方の強い熱望だから君を確保させてもらったんだ。もちろん選択肢に拒否はないよ?まぁ、自分が大切なら逃げてもいいけど・・その時点で彼女達の処分は決まっているから安心して」
「・・・・」
「大丈夫、君の命をただ奪うだけじゃないよ」
「ふ・・ふざけんな・・クソ王国の犬がぁ・・」
「いいね、その顔・・キミのその顔が見たかったよ。これで団長に褒めてもらえる。さぁ、来てくれるよね?2人のためにも」
「・・・・わかった」
「おぉ!まさか1発OKが出るとは・・・・さぁ、こっちだよ囚人クン」
俺は怒りの感情に任せ騎士達を殲滅する事も考えたが、2人を失うリスクを避けるため諦める。そして、リルとクウコに念話を繋げた。
『リル、クウコ・・ラニアとカラを人質に取られて反撃できない・・だから、最優先で2人を救出してくれ!俺は王城地下の牢屋に連れて行かれるようだ・・』
『そんな、わかったよ・・すぐに2人を助け・・・・』
ガシャン!
扉を閉められた途端にクウコの念話が途切れ、それ以降2人と念話が不通になってしまった。
そして俺は、そのまま薄暗く湿った階段を歩き地下へと続く廊下を歩かされるのだった・・・・。




