11章 王都逆襲編 幕間⑧・・・騎士アイナ
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王国騎士団第1中隊長アイナ Side
国王から告げられた言葉に、私は驚きを隠せなかった・・。
「そんな・・この戦力も戻っていないタイミングで、魔物の集団が王都に向かっているだなんて・・」
ハルから教わった気配探知スキルを発動し、王都北門の先を探る。
「・・こ、こんなにも?」
「アイナさん?・・どうしました?」
正確な位置まではわからないけど、私が知っているスタンピートの規模を遥かに上回る数の魔物が王都北側から迫っている気配を捉えてしまった。
「アイナさん?・・あの、アイナさん?」
「・・リン。今夜は、覚悟を決める必要があるようです」
私は、リンを見て告げた。
「えっ?それって、どういう意味ですか?」
「貴方も、ハルから教わった気配探知スキルで北側を探ってみなさい」
「は、はい」
リンは北側を向いて、スキルを使い状況を把握し信じられないようで震えた声を漏らします。
「そ、そんな・・こんな数を・・どうしろと?」
すると、あの勇者が黒髪少年達を引き連れて、このホールから出ようとしていますが、急に立ち止まり振り向き大きな声を発しました。
「・・何やってんだ?さっきの話し聞いていただろ?さっさと行くぞ!」
どうやら勇者は、壇上にいるドレス姿の真衣さん達4人が動く気配がなく、ただ勇者の方向を見ているだけで進展がなく時間が流れていくだけです。
「リン、私について来なさい」
「は、はい」
私はリンを連れて、壇上で動こうとしない真衣さん達の前へと移動する。
「あの、皆さん・・この王都に魔物が迫っています。どうか、王都の防衛をお願いします」
私の懇願する声に真衣さんが反応し顔を向け、私に抑揚の無い声でそっと呟きます。
「・・あの勇者にアイナさんとリンさんがついて行けば、十分な戦力だと思うし・・だから、私達の力は不要だと思うのだけど」
「ま、真衣・・さん?」
私は、真衣さんの感情の無い冷たい瞳の視線と言葉を浴びて、背筋が凍る感覚に襲われ名前を呼ぶことしかできなかった・・その真衣さん達の瞳は哀しみに染まっている。
そんな動けない私の背から、再びアイツの声がホールに響いた。
「おい!俺達は先に行くからな!・・お前らは、急いで装備を整えて北門に来い!」
そう言い残し、やっと私の見える範囲からアイツが居なくなり安堵していると、真衣さん達の表情は暗く固く口を閉ざしたままホールから出て行く背中を見送ることしかできなかった・・。
壇上に残された私は、背後から聞こえる何も知らない貴族達の無責任な発言が悔しくて、真衣さんが立っていた場所を見つめることしかできなかった。
(中隊長としての立場を捨てて、1発ここで・・でも、ハルの家を守るために私は・・)
「アイナさん、真衣さん達は・・・・」
「・・大丈夫です、リン。真衣さん達の想いはきっと・・私達と同じはずですから・・彼ではなくハルが居てくれたら・・・・。リン、私達も行きましょう。今の私達には、与えられた使命があります」
「はいっ」
私は踵を返し、壇上から降りてホールの出口へと歩く・・周りにいる貴族達と視線を合わせることなく・・周囲からは騎士のあるべき姿と見られているはず・・内心は、微塵もそんな気持ちなんか私は持っていない。
(この騎士団の使命なんて、どうだっていい・・ハルが見つかるまで、絶対に諦めない。あの奇跡をもう1度・・)
パーティー会場の大ホールから出た私は途中でリンと別れ、今の部下達が待機する営舎へと向かったのでした・・・・。




