11章 王都逆襲編 幕間⑦・・・勇者沖田
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勇者沖田 Side 続き
一挙に北門へと雪崩れ込んでくる魔物達を俺と剣崎で迎え撃つ。先陣を切って突っ込んでくるのは、動きが素速いウォーウルフの奴らだ。
コイツらは、防御力がほとんど無いに等しいから深く斬り捨ててやれば、あとは勝手に死んでくれる。
なにも考えず、襲いかかるウォーウルフ達を斬って斬って斬りまくる。もう何十何百斬り殺したか、数えるのを諦めた頃に、隣にいる剣崎が叫んだ。
「くそっ!斬り逃した!」
斬り捨てる動きを止めることなく、視線を一瞬だけ後ろに受けると、数匹のウォーウルが街中へと侵入して行く。
「剣崎、気にするな!後ろには、石原達がいる」
「あぁ、すまない・・はぁ・・はぁ・・それにしても、どんだけ集めているんだよ」
第1ウェーブ的なウォーウルフを斬り倒しているだけで、剣崎の疲労が半端ない・・この俺は、全て倒して第2ウェーブのコブリンも相手しているのに、剣崎が街中へと侵入させる魔物の数が増えている。
(剣崎も所詮は、下位ジョブの剣聖か・・勇者の俺の横に立つ価値も薄れてきたな・・)
開戦からどれだけ経ったのだろうか、剣崎の動きは鈍くなりコブリンさえも一撃で倒すことができなくなっていることに苛立つ俺がいる。
すると、街の方から頼もしい女の声が聞こえた。
「第1中隊!前方、北門まで戦線を押し上げ、勇者様を援護する!・・突っ込めー!!」
「・・あの女の口から勇者様と言われるなんて、久しぶりだな。うん・・帰ったら、ちゃんと褒めてやるか・・カラダで」
俺の独り言が聞こえたんか、剣崎が口を開く。
「沖田・・お前こんな時でも、またイヤらしい顔してんぞ?」
「そうか?・・まぁ、この戦いが終わったら、褒め倒す女があそこにいるからかな?」
「・・ホントにお前・・寝取るの好きだよな?・・背徳感とかないの?」
「俺の趣味さ。遊び相手なら、ちょうど良いだろ?この世界の女達のカラダは、最高だからな?」
「あぁ〜たしかに間違いないな。元の世界の女と比べたら、最高に育っているからな」
「だろ?年頃の俺には、やめられないのさ・・勇者特権も持ってるし」
「はぁ・・羨ましいぜまったく。イケメンで、勇者様のお前が・・」
そんなやりとりを剣崎としながら、迫るコブリンを倒し終わった頃にもう1人の女の声が聞こえ、テンションが上がる。
「第2中隊!第1中隊の前進の支援を継続しつつ前進する!・・攻撃魔法放てっ!・・前へ!」
1人目より少し幼い声を耳にしながら、俺は聖剣での物理攻撃から魔法攻撃へと切り替え身体的な体力を温存し、フォレストベア達を風魔法ウインドカッターを連発し絶命させていく。
「なぁ、もしかしてあの子もか?」
気の抜けた剣崎の声が聞こえる。
「当然だろ?」
俺は、この戦いで精神が昂っているせいなのか顔がニヤけてしまう。
「なんだよソレ・・ハーレムじゃなくて、お前のは寝取りハーレムだな?」
「やっぱり、そうなる?」
互いに笑っていると、突然精神を崩壊させるような唸り声が空から聞こえ思わず膝を地につけてしまった。
グルォォォォーー!!!!
「な、なんだ今の声?」
夜空を見上げ声の正体を探していると、フォレストベア達がいる場所に何かが降り立つ姿が一瞬見えた・・。
ズドォォォォーーーー!!
「「 うわぁっ!! 」」
轟音と砂埃に襲われ身構えていると、辺り一帯に血生臭さが立ち込める。
「くっせぇ・・なにが来たんだ?・・・・はぁ?」
グルォォォォ!!
俺が正体を目にしたと同時に、デカイ顔が地面ギリギリまで下げ威嚇してきやがった。まさにソイツは、ラスボスのような存在感を放つ赤いドラゴンの姿だった・・
「なぁ、剣崎・・アレ倒さないとマズいよな?」
「あ、あぁ・・飯食って素直に家に帰ってくれる顔つきじゃないよな・・」
赤いドラゴンが現れ威嚇の後は、急に静寂になったこの場所は自分の胸の鼓動が聞こえるくらい静かだった。その状況を壊したのは、門より街の中にいた若い男の逃げ出す声。
「剣崎、やっぱ行くしかないよな?」
「はぁ・・行くしか選択肢はないだろ?お前は、勇者で、俺は剣聖だから・・」
「だよな・・」
「・・だな」
俺は立ち上がり、両足に力を込め聖剣を握り直し気合を入れあの赤いドラゴンに突っ込むことを決める。
「行くぞ、剣崎!」
「おうよっ!」
「「 うおぉぉぉぉ!! 」」
「この街は、この勇者が絶対に守り抜いて見せる!」
剣崎との連携技で、赤いドラゴンの首を狙いつけ聖剣を振りかざし一気に斬り下ろす。聖剣の刃がドラゴン首を捉える数秒前に異変が起こった。
ブォンッ!
ドラゴンの首周りの空気が急に振動し、糸のような細い光線がドラゴン首に吸い込まれていく。その光線を追従するかのように聖剣が勝手に動き手応えが全く無いまま振り抜き地面に着地する。
「な、なんだ今の?」
そう思いながら、ドラゴンからの反撃から逃れるため後退し、間合いをとった瞬間・・・・。
ドラゴンの頭が体から離れ地面に転がり落ち、遅れて巨大な体が地面に平伏した後に背後から大きな歓声が巻き起こった。
「・・さすが勇者だな。歓声に応えてやれよ」
「え?・・あ、あぁ。剣崎も一緒にだぞ」
地面に切っ先を向けていた聖剣を高く掲げ、俺は盛り上がる歓喜に応えた。
俺が、一撃であの赤いドラゴンを倒したことで、疲労の蓄積で下がっていた士気は最高潮に盛り上がり残り僅かとなった魔物達をあっといううまに殲滅し、アリスに粉砕された北門を冒険者の魔法士達に応急処置で塞ぎ終わった頃に再び轟音が鳴り響く。
ドガァァーーン!!
耳が痛くなるほどの轟音に、無意識に地面に伏せると遅れて空気が大きく揺れ全身が揺れる。
ドンッ!
「焦った・・なんだよ今の・・」
剣崎と顔を見合わせた後に、周囲を見渡すと家屋の向こうに見える王城から黒煙が上がっていたのだった・・・・。




