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11章 王都逆襲編 幕間⑨・・・騎士アイナ

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 王国騎士団第1中隊長アイナ Side



 リンと別れた私は、ハルから貰ったマジックポーチから愛剣を取り出し腰に帯剣しながら、部下達の営舎の正面扉の前で1度立ち止まり心を整える。


(よし、私は必ず生き残るんだ・・)


 心を整えた私は、扉のノブを握りノックすることなく一挙に開放し気を抜いているであろう部下達に大声で下命した。


 バンッ!


「第1種非常呼集!・・第1中隊は、直ちに武器装具を整え、王城門前に集合せよ!」


 部屋で寛いでいた部下達は、イスやソファから転げ落ち私を見つめたまま固まっている。


「訓練では無い!直ちに武器装具を整え、王城門前に集合せよ!絶対に第2中隊共に遅れをとるな!!」


 二言目で、やっと部下達は動き始める。どうやら、ライバルである第2中隊には負けたくないようだ。


 大して準備もせずここに来た私には、このマジックポーチの存在のおかげでいつでも準備完了なのだ。そして中隊長としての地位を見せつけるため一足先に集合場所の王城門前へと向かう。


「・・さすがにリンは、まだ来て無いようだな」


 誰もいない王城門前の広場で1人夜風を浴びながら、部下達が集まるのを待つ。ふと、何かを感じて下着代わりに着ている生地が伸びる白いシャツの首元を掴み鼻先を覆うと、切なさが込み上げてきた・・。


(ハル・・何処にいるの?・・・・生きてるなら、早く元気な姿を見せて・・)


 あの日の再会からハルが着なくなった大きな白いシャツを貰い、私が着れるよう手直しして着ているこのシャツが手放せなくなっている。


 この白いシャツは、この世界には存在しない素材で、ハルの世界にしか無い貴重な物で魔王との戦いから帰還してからは、私は複数枚持っているシャツを毎日大事に着てハルに守られている安心感を求めている日々を過ごしていた。


「アイナさん、その白い生地のシャツは・・」


「り、リン・・これは、その・・なんだ。戦いに出る前の、ワタシ独自の祈りのようなものなんです」


「そうですね・・私は、羨ましいです。あの人が持っていた物は、何ひとつ私は持っていませんから」


 少し彼女は俯き、悲しそうな表情をしてしまう。


「リン、何も持っていないことなんてないのよ。貴方の心にハルの想いが刻まれているでしょ?」


 リンは俯いていた顔を上げて笑顔になってくれる。


「はい。このお腹にも、ちゃんと刻まれましたから」


 鎧を纏うリンは、下腹部中を優しい手つきでさすり幸せそうな表情を見せたことに私は驚いた。


「リリ・・リン!もしかして・・」


「違いますよ、アイナさん・・その、ハルさんとのシルシができたらいいなぁ〜って思っただけですよ」


「そ、そうよね・・ワタシだって欲しいもの・・でも、ライバルが多過ぎるのがお互い辛いところね」


「そうですね。この王国の王女様や元の世界の方達がいますからね〜」


 そんな会話をリンとして、幸せな気分になっていると王城から複数の鎧が擦れる音が耳に聞こえ、一気に現実へと戻されてしまう。


 そして、隊形をとった騎士達の前に1人の騎士が私の前に立つ。


「第1中隊長!・・1中隊集合完了!」


 第1中隊の副隊長ラジアスの報告を受け、私が指揮する中隊が揃う。


「第2中隊長!・・2中隊集合完了!」


「よし、本番でも僅差で負けたな・・戦果で覆すように!」


「はっ!!」


 第2中隊副隊長の騎士は、隣に立つリンに報告を終えた後に列中に移動した。


「アイナさん、我が第2中隊は準備完了です」


「承知した。それでは、ただいまの時刻をもって、第1中隊長の私が第2中隊の指揮を取る!」


 ザザッ・・ザッ


 第2中隊の騎士は私に正対し敬礼をする。それに対し答礼し、私は事後の行動を簡潔伝え移動を開始する。


 一定の速度で大通りを移動し北門を目指す。私の気配探知スキルの反応では、すでに戦闘は始まっていて北門の内側は乱戦状態に陥っている。


『リン、もうすでに戦闘が始まっているわ。それに、魔物達が街中へと侵入しているの』


『そうですね・・冒険者達もかなり減ってきています』


『えぇ、あの乱戦状態が非常にマズいわ。北門近くに着いたら、私の隊を一気に北門へと攻め込ませるから、支援魔法をお願いね・・リン』


『お任せください。ピンポイントに蹴散らせますので、友軍誤射なんて起こさせません。必ず、進路を確保します』


『ふふっ・・期待しているわ、リン』


 開戦からかなり遅れて北門が見える場所まで辿り着いた。この大きな組織だと準備から出撃まで時間がかかってしまう。そして私は、再びリンと念話を繋いだ。


『リン、そろそろ行動を開始する。詠唱の準備をお願い』


『アイナさん、もう詠唱は完了していますから、いつでも攻撃魔法を放てますよ』


『ありがとう・・さすが、リンね』


『は〜い。ハルさんに鍛え上げられた結果ですよ』


『もう、私だってその1人よ・・・・そろそろ動くから』


『はい、御武運を!』


 リンと念話を切った後に、私は抜刀しながら第1中隊へ命令を発したのだった・・・・。




もう少しだけ、幕間が続きます

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― 新着の感想 ―
[一言] アイナとリンはすごく頑張ってるな。本当に報われてほしい。沖田達が手をだそうものなら、俺がぶん殴ってやる!(笑)
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