10章 王都奇襲編 幕間③・・姉妹の旅立ち
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騎士団長ハイドに先導され国王が待つ謁見の間に入る沖田達を待っていたのは、石原と田岡そして真衣達で、その奥には、第1王女ミリアと第3王女のマリアの姿だった。
「あれ?国王は?」
「すぐに入られますので、石原殿の横でお待ちください」
ハイドの返しに不満を持ちつつも愚痴ることなく沖田は静かに指示に従い歩き、第2王女イリヤは姉のミリアと妹のマリアの隙間へと移動し、付いてきたアイナとリンは部屋の隅へと自動的に移動して並び国王を待つ。
「・・・・国王様が入られます!」
若い子近衛兵の声の後に奥から国王スパイルが姿を現し、王女達が立ち並ぶ横にある椅子の前に立つ。
「勇者沖田達よ、急な呼び出しすまなかったな」
「いえ・・特に夕食の時間まで用はなかったので問題ありません」
国王の問いに、沖田が代表して答える。
「そうか。ならば、さっそくガイセンパレードのことについて話そうと思う」
スパイル国王はそう言いながら椅子に座り、勇者凱旋パレードについて語り参謀の1人が細かな説明をする。
凱旋パレードの内容は、王城門前から出発し王都の大通りを使い1周し王城門へと戻る経路で、馬車3台に分譲し移動するという内容だった。
そして、ガイセンパレードが終わった日の夜に、王都に住む貴族達を集めパーティーを開くという。さらに貴族家の令嬢達が勇者に会いたいと希望していると国王が告げた。
その言葉に沖田は、思わず顔がニヤケそうになるギリギリのところで抑え素性がバレるのを回避する。
「・・ということで、話は以上だ。其方たちから何か聞きたいことはあるか?」
「えっと、そのパーティーには舞踏会・・じゃなくて、ダンスのようなことをするのでしょうか?」
沖田が、弾む心を抑え何気ない口調で口を開く。
「はっはっはっ。それは心配いらんぞ?顔見せが目的のパーティーでもある。ちょっとしたことはあるかもだろうが、基本的に貴族同士しかやらないであろう」
「わかりました・・他には何もありません」
「よかろう。では、終わりとする」
国王スパイルは椅子から立ち上がり奥へと消えて行き、王女3人も国王に続くように奥へと姿を消して行った頃に謁見の間の扉が開き沖田達がそれぞれのタイミングで出ていき、その場には騎士団長ハイド達が出て無人となった。
そして王都は、勇者凱旋パレードの準備が順調に行われ朝からお祭り騒ぎとなっている住民達は酒を飲み交わし始まるのを今か今かと待ちわびている。
もちろん、いくつもある大通りが交差する広場にたくさんの屋台が並び食欲をくすぐる香りが漂っていた。
グリュルル〜
朝から酒を飲み大通りで騒ぐ男達の騒音にかき消される空腹を知らせる音を誰も気づかないし気にしてはいない。
「・・お姉ちゃん、お腹すいたね」
「・・うん。でも、我慢しなくちゃ。コレは、ご主人さまのお金だから」
「そうだね。ご主人さまも、お腹すかせているかもだしね」
「ゴメンね・・今はコレで我慢して」
「ありがと、お姉ちゃん・・」
ゴクッ・・ゴクッ・・ゴクッ・・
誰にも声をかけられることもなく、酷く汚れた服を着ている獣人姉妹は人の邪魔をしないよう広場の隅で小さくなって座っていた。
黒髪の姉は、茶髪の妹が空腹を訴えたため水筒を手渡し水を飲ませ空腹を誤魔化させて飢えを凌ぐようにさせ、その妹の姿をオッドアイを持つ姉は優しく見ながら想いを心の中で呟く。
(・・・・早くご主人さまを見つけないと)
そう思いながら、自身のステータスの一番下にある項目に視線を落とし優しく触れながら僅かな希望を頼りに気持ちを奮い立たせ、隣にいる妹にも聞こえない声で呟いた。
隷属・・戦闘奴隷
「コレが私の全て。ここにご主人さまの名前がある限り、私は諦めない」
黒髪の姉が、そう決意していると周囲の住人達の歓声が一気に高まり姉妹は同時に顔を上げて、大通りを通過する馬車を立ち上がって見つめる。
「「「 勇者さま〜〜!! 勇者さまこっち見て〜〜!! 」」」
たくさんの女性の声が勇者を呼ぶ声が聞こえ、勇者が女性達に顔を向ける度に悲鳴のような喜びの声援が巻き起こる。
(あの勇者の・・アイツのどこがいいの?同じ黒髪でも、ご主人さまの方がステキなのに)
勇者を乗せた馬車が通過し、黒髪少年を乗せた2台目の馬車が通過して行くのを見送り3台目の馬車に視線を動かす黒髪の姉には、真衣達が手を振る姿が見えた。
「真衣さん、琴音さん、美音さん、愛菜さん・・みんな笑ってるけど悲しそう・・」
『真衣さん!ミリナとミオお姉ちゃんは、元気だよ!』
妹のミリナが念話で真衣さん達に呼び掛けた・・けど真衣達の反応はなかった。
真衣達を乗せた馬車は、そのまま通り過ぎて行く。
「お姉ちゃん、ダメだったね」
「うん・・やっぱり直接あって繋がりを取り戻さないとダメなのかもしれないね」
「・・寂しいね」
大通りを走り去った馬車を見送った後に姉のミオが妹のミリナの顔を見て優しい口調で告げる。
「・・ミリナ、行くよ」
「うん。ミオお姉ちゃん」
馬車を追いかけるように移動する住民達とは逆の方向へ歩き出した、猫人足のミオとミリナはこの日を最後に王都から姿を消したことを住民達はもちろん、真衣達も知るよしもなかった。
もう少し幕間を投稿させてください。




