9章 イシタ公国編 5話 王国地方都市フリュー②
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「ハルさん、お待たせしました」
「ありがとう、ラニア」
宿屋の部屋の床に携行していた大きな地図を広げ、地図の向きと実際の位置を合わせておいてくれるラニアの配慮に感謝しつつ話しを続ける。
「ラニア、受付の彼女が言っていた隣街はどれ?」
「はい。彼女が言っていた街は、モコンの街・・ここです。他に街は存在しないので間違いないと思います」
ラニアは、この部屋にいる全員に見えるように今いる街を指差してから隣町を指差す。ただ1人だけ視線が地図ではなく屈む彼女の胸元から見える谷間に吸い込まれてしまう。
(もう・・少し。もう少しなんだけど・・見えそうで見ないのが良い)
そんな邪念と闘っていると、隣りに立つアイナの声で現実に戻る。
「ラニア、ここからモコンの街までの移動期間はどれくらいだ?」
「そうですね、天候もよく馬車であれば3日ぐらいの距離だと思います」
「3日・・・・その街の先に勇者が・・・・」
「アイナ、何か気になるの?」
考え込むアイナを見て、俺はアイナに問いかけた。
「・・まぁ、少しだけ。ラニア、王国と公国の国境は?」
「国境は、この太い線が国境を現す線になります」
「国境からかなり近い場所に街があるのだな・・」
リンがラニアの補足をするように口を開く。
「王国と公国は深い繋がりがありますから、昔から敵対視していません。そのため国境近くにでも、普通の街が存在しているのだと聞いたことがあります」
その言葉を聞いた俺は呟く。
「それなら通常の防衛戦力も期待できないな・・だから勇者と冒険者を派遣したのか」
それからラニアに地図を片付けさせ、また夕食後に話をすることにして解散することに決める。
「とりあえず、長旅で疲れているから今日は休もう。俺は隣りの部屋で寝るから部屋割りはアイナに任せる」
そう伝え、俺は部屋を出て隣の部屋に入ると、今夜のことを想定しベッドをくっつけて添い寝ができる状態にして壁側に寝転がる。
(やっぱり真ん中より、端っこの方が落ち着くよな・・)
壁の方を向いていると、早速この部屋に入ってくる存在に気付くが、このまま寝ているフリをして相手の動きを待つ。
「寝たのか?」
寝ている相手に寝た?と聞いてくる声の主は、シェルだった。そのまま俺の背中にピタッとくっつき動かなくなり寝息をたてるシェルの顔を見るため寝返りをうつと、パッチリ目を開けているシェルと目が合う。
「なんじゃ・・起きてるではないか」
「・・なんで全裸なんだよ」
「ひさしくシテない」
「・・他のみんながいるだろ?」
「大丈夫・・後で来るから」
「「 ・・・・・・ 」」
黙り込みシェルと見つめ合った俺は、そのままシェルを受け入れて最後までシテしまう。するとタイミングを図ったかのように次から次へと部屋に入る女性人を受け入れてしまう俺は、自分の貞操のなさを痛感する。
「このままじゃ、変な称号が贈呈されそうだな・・」
この部屋のベッドに並んで寝る彼女達を見ながら、部屋の隅にある1人掛け用ソファに座りアイテムボックスから水筒を出し水を飲み喉を潤した後に、まとめて生活魔法クリーンで皆を綺麗した。
「てか、俺の寝る場所が無いじゃん」
そう愚痴を呟いていると、部屋のドアがノックされた。
コンコン・・コンコン
ガチャッ
「はい?」
俺は立ち上がり部屋のドアを開けると、受付にいた彼女が廊下に立っていた。
「・・あの・・」
「どうしました?」
「いつも皆さんとシテるのですか?」
「えっ?・・き、聞こえてました?」
真っ赤な顔をする彼女は下を向いたまま頷き口を開く。
「・・はい。次から次へと違う女性の喘ぎ声が・・でも、安心してください!まだ他のお客様は戻っていないので、聞いたのは私だけですから・・」
そう告げた彼女は、逃げるように廊下を走り階段を降りて姿を消した。
「やべ・・久しぶりだったから調子に乗り過ぎてた・・」
取り残された俺は、ゆっくりとドアを閉めてソファに座り天井を見上げる。そのままゆっくりとした時間が流れ、窓から差し込む夕陽を浴びていると、ムクムクと皆が起き始め最初に動き出したのはラニアだった。
「す、すいません。すぐに夕飯の支度を・・」
「ラニア」
「はい」
「今は、宿屋だから必要無いよ」
「あっ・・そうでした」
いつもの仕事がないラニアは、何をしたら良いかわからずソワソワしている。そこへ助け船が来たかのように部屋のドアがノックされた。
コンコン
「はい!」
ノックにラニアが反応しドアを開けに行く。
ガチャッ
「うひゃ」
「どうかされましたか?」
俺が出てくると思っていた受付の彼女は、艶々のラニアが出て来たことに驚き固まっている。
「あぅ・・あの、凄かったですか?じゃなくて、夕飯の時間なのでしたの食堂へ・・どうぞ」
「ぬぁっ・・わ、わかりました。下の食堂へ行きますね」
ちょうど全員が起きて、フラついた足取りで食堂へと向かっている。そして最後に部屋を出てドアを閉めると、まだ残っていた受付の彼女が俺を見て口を開く。
「あの人数を1人で・・それほどの持ち主なんでしょうか?」
「いやいや、ちょっと視線が怖いんですけど・・」
「大丈夫です・・私にもおこぼれを・・」
「あなたには、憧れの勇者様がいるでしょ?」
何かに取り憑かれたような気配で迫りくる彼女に恐怖を感じ逃げようとしたが、すでに下半身をガッチリと掴まれてしまっていた。
「くっ・・なんて馬鹿力なんだ・・あぅ・・ダメ」
何かの膜に包まれた感覚の後に、たった1人の女性に抵抗出来ずされるがままになってしまった。そのまま短く濃厚な時間を経験し廊下に座り込んだ俺は、彼女のオシリあたりから黒く細長い尻尾が見え隠れする様子を目で追っている。
「・・本当に凄いのね。虜になっちゃった。だから、もう1回ね」
座り込んでいる俺を艶やかな表情で見下ろしている彼女が、再び俺の上に乗り視界が一瞬ブラックアウトして気付いた時には、何事もなかったかのように俺の前で立っている。
「・・いったい君は何者なんだ?」
「ふふっ・・知りたい?でも、今は教えないよ。もう、このお腹の中は貴方のモノでいっぱい満たされてるから。けど、名前はリリスよ」
そのままリリスに起こされた俺は、一緒に階段を降りて皆が待つ食堂へと向かう。
「あっ・・溢れちゃう」
「何が?」
「なんでもないわ」
階段を降りる途中に何かが溢れると言っていたが、きっと料理のことだろうと思い気にせず階段を降りて食堂に辿り着いた。
「それでは、皆さんの夕食を運びますので、そのままお待ちください」
リリスは、俺とは何もなかったかのような振る舞いで調理場へと入って行った。
「おにぃ、ここに座って」
琴音に呼ばれた俺は、琴音と美音の間に空いている席に座り、リリスが運んでくる料理を待つ時間に雑談をすることになった。
(リリス。あの子はいったい何者なんだろうか・・)
正体不明の宿屋の彼女からは害意を微塵も感じることは無かった。ただ、普通の人族ではないと本能的に感じていた・・・・。




