9章 イシタ公国編 3話 移動と強化③
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真衣達4人の強化を終わらせ、テントから出るとアイナとアルシアの2人と視線が重なり互いの時間が止まっているような感覚の中、俺から2人に話しかけた。
「2人もスキル強化スル?」
「・・ハル、今夜は遠慮しようかな」
アルシアが少し恥ずかしそうな表情で言い視線をずらし、アイナも同じかと思っていたら違った。
「わ、私は頼もうと・・思う」
「えっ?アイナ・・シテもいいのか?」
「スル?・・まぁ、シテほしい・・かも。久しぶりに」
「久しぶりに?」
「・・・・」
黙り込むアイナの隣で、アルシアがアイナも断ると確信していたためなのか少し動揺しソワソワしている。
「と、とりあえずアイナで今夜は最後だね」
手招きをしてアイナをテントの中へ招き入れる。その背を見送るアルシアは、口を半開きのまま何も言うことはなかった。
アイナと2人きりのテントの中で、膝の上にアイナを座らせいつもの姿勢になりゆっくりと手を繋ぐ。
「アイナ、はじめるよ」
「・・まって。その、ハルの温もりを感じるけど・・顔が見えないのが不安・・」
アイナが顔を見上げ俺は見つめられ、デレ状態の表情が物凄く柔らかい彼女の表情を見つめながら繋いでいた手を離し、アイナの頭を優しく撫でながら伝える。
「そうだね。それなら向き合ってしよう」
「・・うん」
アイナ頷き立ち上がるとクルリと身体を回し座ると、吐息を感じる程の距離で見つめ合うことになり恥ずかしいのか目を逸らされてしまう。
「アイナ・・」
彼女の名前を口にすると、アイナは自身の足で俺の体をガッチリ挟み込み、密着度が増したところで魔力を干渉させるのをはじめた。
「んっ・・きてる」
ピクッと身体が反応するアイナの状況を確認しながら微量の魔力を流し続ける。
「そのまま受け入れて、全身に馴染ませてみて」
「んはぁっ・・」
少し身体を仰け反らしたアイナは、俺の首元に顔を押し付け呼吸が荒くなっていく。
「いい感じに魔力融合できたね・・そのまま俺の魔力変化を感じたら周囲の気配を意識して。俺は、気配探知スキルを発動してるから」
「・・頭の中に誰かを感じる」
「いいね・・その気配を誰なのか意識し続けて」
それから気配探知スキルのきっかけを掴むのに時間がかかったアイナだったが、今は戦闘で使える範囲までスキルが向上している。
「はぁ・・はぁ・・数人な平気だけど、集団だと頭がおかしくなりそう・・」
「そうだね。俺も初めの頃は吐き気に悩まされたけど、結局は慣れるしかないんだよね」
「そう・・慣れるしかないのね・・ふふっ」
言葉はデレ状態のアイナだけど、不敵な笑みを受けべている表情を見ながら元騎士団副団長の戦闘狂の一部分を垣間見た俺は、次のスキル習得へと続ける。
アイナの習得スピードは想像以上に速く、念話スキルと隠密スキルを真衣達に比べて短時間で取得してくれた。
「はぁ・・はぁ・・もう終わりか?」
「あぁ、終わりだよ。これから練習してスキルを向上させような」
「そうだな・・」
ゆっくりと立ち上がるアイナの足をソッと撫でるとカクンッと力なく座り込んでしまった。
「ひゃっ・・ハル、できれば今は触らないで欲しい・・な」
「どうして?」
「バカッ!・・知ってるくせに」
キッと睨み付けるような瞳で見ながらも、すぐに優しい瞳に戻すアイナは俺の肩を掴んで立ち上がるが、膝を震わせているため思うように歩けないらしい。
「大丈夫か?足が・・」
「べ、別に足腰に力が入らず膝が震えているわけじゃないぞ?少し痺れただけだ・・あんな姿勢になったことないだけだから心配は無用だ」
そう強がるアイナはぎこちない足取りでテントから出て行き、1人になった俺は汗ばんだ身体を生活魔法クリーンでスッキリさせていつも横になる場所へ移動し寝転がる。
「次は、魔法強化をしてあげないとな・・」
あれこれ考えているうちに、俺はいつの間にか眠ってしまっていた・・・・。




