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8章 王国潜伏編 32話 冒険者ギルド①

アクセスありがとうございます。


 琴音達全員と、この家で再会し平凡な日常を日々過ごす中で、リルとクウコがいない俺の心にポッカリと穴が開いたまま修復できないでいる。


 そんな日々を数十日経ったある日の明け方前に、この平和な時間を壊そうとする音が玄関先から乱暴に聞こえる。



 ドンドンドン! ドンドンドン!!


「屋敷の者はおるかー! 居るのならば、早く出てこい!我は、王国騎士団機動偵察隊だ!」


 我が家の静寂な時間を切り裂くように、男の声が響き渡る。俺は、その声を無視していたがラニアが反応しベッドから飛び起き寝室から出て行く。


 その後を追うようにリンが乱れた寝間着を整えながら歩き壁にかけてある愛剣を右手で掴み寝室から出て行った。


 俺は、この家の主人ではあるが王国の騎士に姿を見られるのは不味いため来客はラニアが必ず対応する。リンは、ラニアの護衛のため隠れて様子を伺うよう伝えている。


「こんな時間に王国騎士様が何用ですか?」


 不満に満ちたラニアの声に騎士が答える。


「王国の南側にあるイシタ公国で衝突があった!」


「・・衝突?戦争ですか?」


「それは、まだハッキリとはわからん。王都外に住む王国民は王都へ避難せよ!」


「そんな・・」


「この屋敷が最後だ!我らは直ちに王都へ帰還する」


 5人の騎士が足早に遠のいて行く。きっと早馬で行動しているのだろう。すると、普段家の中で聞かない足の速さで廊下と階段を駆ける音が響き寝室へ近づき強めにドアが開けられ2人が俺の傍にくる。


「ん?どうしたんだ・・ラニア・・リン」


「ハル・・あの、あのね・・」


「落ち着いて、ラニア・・リン、何があった?」


「はい、王国南側にあるイシタ公国で武力衝突があったようです。相手の事は教えてくれませんでしたので細部は不明です」


「・・そうか」


 さすが元騎士団副団長のリンは、冷静に騎士の話を把握している。すると右隣で寝ていたマリアが話を聞いていたようだ。


「ホントにイシタ公国で戦争なの?」


 マリアは起き上がりリンに詰め寄っている。


「マ、マリアさん・・落ち着いてください。まだ戦争とは決まっていません。きっと何者かがイシタ公国で反乱を起こした可能性が・・しかし、最悪の場合を想定し王国へと侵略する可能性があるため王都に避難するよう騎士が言ってました」


「なら、イシタ公国を攻撃した者は不明ということなの?」


「はい・・そうなります」


 マリアはリンから離れソファに座る。


「マリア、この場合王国はどう動くんだ?」


「えっと・・編成している騎士団を先遣隊と本隊そして後発隊に再編成するわ。それからイシタ公国までは遠距離だから野営時の夜警を冒険者にさせるため、冒険者ギルドへ強制的に召集すると思う」


「・・そういう流れか。なら、リスクがあるけど王都の冒険者ギルドへ行って情報を集めよう。それから併せて必要な物資の買い出しだな・・さぁ!みんな準備して!!」


 俺の合図にみんながベッドから降りて寝室から出て行き、各人に与えている部屋へと戻って行き準備を始める。だが、この寝室に俺以外に2人が残る。


「「ご主人さま・・」」


「ミオ、ミリナ・・こっちおいで」


 獣人シスターズの4人はこの寝室に自分達の荷物を置かせていたため、ミオとミリナはこの部屋にいる。


 ススッと寄って来た2人を抱き寄せ頭を撫でた後にケモミミを弄りながら口を開く。


「ミオ、ミリナ・・今は2人が頼りだ・・」


「「はい・・ご主人さま 」」


 いつの間にかミリナも俺をご主人さま呼びに定着しているが、気にせず話を続ける。


「2人だけには伝えるけど、内心・・信頼しているのは2人だけなんだ・・」


 すると俺の発言に驚いた2人は顔を上げ俺を見つめながらミオが口を開く。


「・・ご主人さま、ミオとミリナだけをですか?」


「あぁ、幼馴染に裏切られているから、人族を昔みたいに信頼できなくなったんだ。また裏切られるんじゃないかと思ってね」


「ミリナとミオお姉ちゃんを信じるのは獣人だから?」


「違うよ・・言葉に語弊があったね・・ミリナだから、ミオだから安心して信頼しているんだ」


「うん、わかったよ。ご主人さま」


「はい。ご主人さま」


「でも、みんなのこと嫌いなの?」


 右に座り身体を寄せているミリナが、茶色の瞳でジッと俺を見ている。


「ミリナ、みんなの事は嫌いじゃないよ・・大好きさ。ただ、2人のように安心して身を任せられないだけだよ」


「・・そう、なんだ」


「下に降りて、みんなと合流しよう」


「「  うん!! 」」


 寝室を出て下の階に降りていると大部屋から、みんながちょうど出てくる。


「みんな、準備は整ったみたいだね。ラニアは?」


「ラニアさんは馬車の準備に行ったわ」


 そう答えるマリアを先頭に下の階へと降りて家を出ると馬車の準備を終わらせたラニアが待っていた。


「ハルさん、馬車の準備終わりました。すぐに出れます」


「ありがとう、ラニア。みんなが乗ったら出発しよう」


「はいっ!」


 ラニアの元気な返事を聞いて、馬車の荷台にみんなを乗せた俺は最後に乗る。


(・・結構な大人数だから、狭くなってきたな)


 乗った時にそう感じた俺は、そろそろ馬車2台で行動すべきかどうか考えるきっかけにしたのだった。


「ラニア、出発してくれ!」


 御者台に座るラニアは頷き馬車を走らせる。王都の冒険者ギルド向けて・・。




 

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