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8章 王国潜伏編 26話 再会・・①

アクセスありがとうございます。

早急な誤字指摘もありがとうございます。


「リン、ここがアイナの別邸か・・やっぱり貴族だったんだな」


「はい。アイナ様は、スクート公爵家の娘です。王国騎士団副団長の地位に就いた時に、このお屋敷を譲り受けたとアイナ様から聞きました」


 俺とリンは今、アイナの別邸前の門にいる。リル達は湖の畔へと遊びに行き保護者役としてマリアが同伴した。


「なぁ、どうやって屋敷の人間を呼ぶんだ?」


「・・そうですね、本来ならこの場所に人がいれば使用人が来るはずなのですが・・誰も来ませんね」


「「 ・・・・・・ 」」


 静かな時間が流れ、周囲の自然の音が心地良い。


「いやいや、このままじゃダメだろ!リン、出直すか?」


「そうですね、気配探知スキルで屋敷の様子を確認してみますね」


「そうだな、その手があった・・・・・・どう?」


 リンの気配探知スキルで屋敷の状況を確認してもらう。


「や・・屋敷には誰もいませんね。気配を感じられません」


「マジ?・・俺もやってみるよ」


 屋敷の1階から最上階までの部屋を隅々まで探したが、人族が1人も存在しない。


「リン、今日は留守みたいだね・・帰るか」


「・・しかし、あっ!騎士団の気配が近づいて来ます」


 俺はリンを抱き抱え隠密スキルを発動し門から離れ様子を伺うことにした。


「止まれー!周囲を囲み警戒せよ!」


 先頭にいるハイド騎士団長の命令で、騎士達が屋敷を包囲し始める。


「リン、アイツらなんか交戦的な感じじゃないか?」


「たしかに・・武器を携行していますし、何か変です」


 すると、馬車が止まっている方から大木を持った騎士達数人が重そうに歩きハイドの近くに来て指示を受け、門の前で構えた。


「おいおい、まさか・・本気か?」


 ドゴォーン!


 騎士達が大木を門に打ち付けたことにより、門扉が破壊されてしまった。


「リン、やっぱ騎士団は横暴だな」


「・・・・」


 目の前で起きた光景に、目を見開き口を開けているリンは唖然としている。


「突撃ぃー!!」


 ハイド騎士団長の号令で後続の騎士が屋敷の敷地へと入り、屋敷を包囲した。今は、外壁と屋敷を二重に取り囲んでいる状況になり、俺はこのまま現状を見守ることにする。


「アイナ=スクート!もう、交渉の余地は無い!国王の勅命により貴様を強制的に勇者様の戦力として取り扱う!直ちに姿を出さなければ、この屋敷は廃墟と化すだろう」


 すると、今まで気配の無かった屋敷から1人の存在を確認する。


「おい、居たのか・・」


 思わず俺は驚きの声を漏らすと、玄関ドアが開き武装した金髪美女が現れるが、なぜか古びた男物のシャツを着ているため立派な双丘が強調されている。


「アイナ様・・今もあの人と一緒なのですね・・」


「ん?・・どういうことだリン?」


「あっ・・すいません。なんでもないんです」


 なぜかチラチラと俺とアイナを見るリンが挙動不審だったが、気にするのを止めてアイナと騎士団の動きを見守る。


「ハイド騎士団長!何度も申し上げたはずです!私は、2度と王国の戦力とはならないと!!」


「黙れ!貴様個人の意思など聞いてはいない!既に国王様の命により決まっているのだ!」



 どうやら、何度もアイナに勇者の戦力に加わるようにと交渉に来ていたようだ。何度も断るアイナに対し、国王の勅命として強制的に連れて行こうとしたが、今回も拒否られているようだ。


「国王様の勅命でも関係ない!私は、既に1人の男のために尽くすと誓ったのだ!」


「アッハッハッハ!!まだ無様に死んでいった男に惚れているのか?貴様も女だったんだな!」


「黙れ!黙れ!それ以上の侮辱は許さん!!」


 アイナはハイド騎士団長の挑発に乗ってしまい、持っていた剣を抜刀し構えてしまった。それを見たハイドがニヤつく横顔を見て騎士に攻撃命令を出すかと思ったら事態は違っていた。


「アイナさん!剣を収めてください!!」


 なんと、騎士達の影から勇者沖田が姿を現した。


「なっ・・勇者オキタ殿!どうしてここに・・」


 沖田は、ゆっくりアイナに近づいて行き数メートル前で立ち止まる。


「アイナさん、あの頃のように僕に剣を教えてください。アイナさんに指導してもらえれば、僕はもっと強くなると思います」


「・・しかし、オキタ殿は・・」


 アイナの持つ両手剣の切っ先が地面へと下がり俯いた瞬間に、沖田がほくそ笑む表情が見えた。


「きゃっ!!」


 ドンッ!!


 アイナが見せた隙をついて、沖田が一気に間合いを詰め、アイナの剣を弾き飛ばし屋敷の壁にアイナを叩きつけ拘束し、オキタが短剣を彼女の胸元に突きつける。


「やめてくれ!私の命などくれてやる!でも・・でも、このシャツは傷つけないでくれ!」


「アイナさん、そんなにこの普通のシャツがお気に入りなんですか?」


「そ、そうだ・・だから・・」


「わかりました。それなら聞きましょう。アイナさんが俺の戦力に加わると契約してくれるのなら、このただのシャツを切り刻むことをしないことを誓いましょう。さぁ、どうしますか?」


「くっ・・卑怯な・・」


「なら、このよくわからない思い出のあるシャツとは永遠にお別れですね」


「や!やめてください・・・・かりました・・従います」


「なんですか?小さな声で聞こえませんでした。僕だけじゃなく、ハイド騎士団長や騎士達にも十分聞こえるように宣誓してくだささいよ!勇者様の従順なペットになると誓うと!」


 沖田の非道な言葉に、アイナの表情に絶望の色が見え、周囲のハイドや騎士達が大笑いしている。それを見た俺は、心の何かが切れたような感触を感じ呟く。


「沖田・・・・お前はやり過ぎた・・」


「ハル・・さん?」


 隣にいるリンの声は、俺には届いてなかった。リンを置いて俺は1人飛び出しアイナの元へと向かう。


「ぎゃぁ!」


 アイナの胸に突きつけているナイフを持つ手に解体用ナイフを突き刺し、手首を拘束しながら隠密スキルを解除し沖田に告げた。


「よう、沖田。俺の愛するアイナに何やってんだお前?死にたいのか?」


「ぐぅ・・てめぇ!・・また邪魔しやがって!」


「うわぁ!誰だ貴様は!なぜ、私の名前を知っている・・って、この香りは・・」


 ドゴッ!


「がはっ!!」


 沖田の鳩尾を蹴り込み飛ばすと、変な声を出しながら沖田が吹っ飛び背中から地面へ叩き付けられる。


「アイナ、久しぶりだな。迎えに来るのが遅くなって、ゴメンな」


 背後にいるアイナの方をゆっくり振り向き、彼女と視線が重なると時間が止まったかのようにアイナが固まっている。


「ん?おーいアイナ?俺だよ俺・・ハルだよ・・忘れちまったか?」


「・・・・・・」


 依然と反応しないアイナに、俺は彼女の頬にキスをしてみた。


「はっ!・・ハル!本当にハルなのか?」


 俺のキスが無かったかのような反応をするアイナを見ながら、俺は答える。


「もちろんさ・・このシャツ俺が着ていた普段着だろ?」


「ひゃっ!しょっしょんなことにゃいぞ!私のお気に入りシャツだ」


 顔を真っ赤にし否定するアイナにとどめを刺すように、俺はアイナのシャツを捲り裏生地のタグを見せる。


「ほら、コレはこの世界に存在しないだろ?だから、俺のシャツだったの。今はアイナのだけどな」


「・・うん」


 完璧に認めたアイナの表情は、副団長の顔付きではなく少女の顔付きになっている。


「ありがとな、大事に持っていてくれたんだ」


 俺は、この状況下にも関係なくアイナを抱き締めてしまう。


「ハル・・逢いたかった・・夢にまで見ていたんだぞ・・」


「いろいろあったんだ・・落ち着いたら話すよ」


「わかった」


 ここで俺は、アイナに聞きたいことを聞いた。


「アイナ、今日は迎えに来たんだ。今は、リル達と一緒に生活を共にしている。他にも一緒の人がいるんだけど、俺と一緒に暮さないか?」



「ハル・・私の答えは既に決まっている・・このシャツを着ているのが答えだ」


「アイナ、ありがとう」


 俺とアイナの感動の再開に浸っていると、背後から邪魔者の声がする。


「椎名っ!!・・・・僕のアイナさんから離れろ!」


 俺は溜息をつきながら振り向くと、沖田が聖剣を振りかざし睨みつけるように俺を見ていた。


「沖田、お前の思考回路どうなってんだよ・・」


 そう言いながらアイテムボックスから愛剣の片手剣を抜刀し構える。







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