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8章 王国潜伏編 24話 旅のはじまり③・・地方都市メチケルン

アクセスありがとうございます。



「もう朝か?・・」


 自然と目が覚めて上半身をゆっくり起こすと、傍で寝ているリル達獣人シスターズ以外の姿は無かった。


「みんな、もう起きてんだ・・」


 リル達を起こさない様に立ち上がりテントの外に出ると、外は明るく目の前でラニアを中心に朝食を作っている光景があった。


 マリアとアルシアが手際よくしているが、隣の真衣と愛菜の手付きがぎこちなく見ているこっちがドキドキするため、そっと近づく。


「おはよ・・手伝うよ」


「あっ。。おはようハル」


「センパイ、おはようございます」


 真衣と愛菜の手伝いをしていると、マリアから念話が届く。


『ハル・・ちょっといい?』


『・・わかった、今行く』


「真衣、愛菜がんばって」


「「 うん 」」


 2人は頷き続きを再開する姿を見ながらマリアの方へ行く。


「どうした、マリア?」


「急にゴメンね、ハル・・この村の私達が行く方向に多勢の気配を探知したの。それでリンと練習しながら探知して追跡していたら、どうやら王国騎士団のようなの」


「王国騎士団が?」


 俺の問いにリンが答える。


「はい。私には、アイナ様の別邸に向かっているように思いマリア様に伝えたのです」


「そうか・・わかった」


 それから朝食が出来上がったようでラニアに呼ばれテントの前へと3人で移動し、全員で朝食を食べ終えたところで皆に伝える。


「みんな、片付けたら出発するから支度が終わった人から馬車に乗ってくれ」


 今では野営の片付けの担当が固定された感じで、獣人シスターズとシェルそしてアルシアがテントの片付けを行いラニアとマリアそして真衣達が野営グッズの撤収と痕跡を消している。


 集積された荷物をアイテムボックスに収納しながら、馬車の準備が整うまでに気配探知スキルを発動し捜索範囲を広げ集団で移動する気配を捉えた。


「これか・・・50人はいるな、進む方向も俺達と似ている」


「ハルさん、出発の準備が整いました!」


 背後からラニアに声をかけられ振り向く。


「ありがとう、今行くから」


 俺が荷台に乗ると、御者台にいるラニアが頷き前を向いて馬車が走り始める。昨日入った門に近づくと、あの青年とは違う門衛が俺達に気付き手を上げ手招きをする。


「お前らが帝国の冒険者パーティーなんだな。ダンから話しは聞いているから、そのまま行ってくれ」


「ありがとうございます」


 止まりかけた馬車に門衛がラニアに話しかけ、そのまま通過するよう言ってくれたため馬車を止めることなく村を出る。


 村から離れ、街道を走り続けていると、琴音が俺に口を開く。


「おにぃ、今朝は急にどうしたの?」


「あぁ、ちゃんと伝えてなかったね・・実は、王国騎士団が気配探知で捉えて追跡していたらアイナの別邸がある方向に進んでいるかもしれないんだ」


「どうしてアイナさんの別邸に?」


 琴音の質問にどう答えようか迷っていると、リンが代わりに答えてくれた。


「琴音さん、もしかしたら戦力補強のためかもしれません。予想ですが、琴音さん達の召喚者様方が抜けてしまったことが一因だと・・」


「そうかな・・私達、そんなに戦力的な活動を勇者としてないんだけどね・・それより副団長のリンさんが抜けた方が影響が大きいと思うけどな」


「そ、そんなことはありませんよ琴音さん。私は、不甲斐無い副団長でした。勇者一行の男の言いなりとなり騎士団を動かしていただけでしたから・・」


そんなやりとりをしている2人を見ながら、ふと基本的な疑問が頭に浮かぶ。


「リン、そういえばこの先どれくらい移動にかかるんだ?」


「ここからだと正確にはわかりませんが、今向かっているメチケルンという街から半日の距離に別邸があるくらいしか。過去に通った道と違う経路なので・・」


「わかった。とりあえず活動に影響の無い物資があるから、このままのペースで行こう」


 気配探知スキルで騎士団の動向を探る俺は、俺達の位置からかなり離れた場所を移動しているため、アイナの別邸に向かっているなら騎士団が先に辿り着くのは確実だ。


 そう考えながら今後の行動を考えている昼を過ぎた辺りに騎士団の動きが止まり移動する様子が無い。疑問を持ちながら、御者台にいるリンの方へ移動する。


「リン、騎士団の動きが止まってから動く気配がないんだ・・」


「は、はい。時間的に大休止だと思います。なので、しばらくその場に留まるはずです」


「そうか、行動は計画的になんだな・・ん?あの街は?」


 ちょうど谷を抜けたところで、遠くに街並みが見え少し高い建物が見える。


「あっ!あれがメチケルンです。あの高い建物がメチケルンの象徴です。このままなら陽が沈む前にアイナ様の別邸に着けそうですよ」


「そっか・・ラニア、馬は持ち堪えそう?」


「ハルさん、このペースだと街で休ませないと厳しいかもです。人数が増えて重量が増えているので・・」


「無理は禁物だな・・過去に大事な馬を失ってしまったし。このまま街を目指そう」


「でも、このままだと騎士団が先に・・」


「リン、気持ちはわかるが今は馬を失う方が痛い。この先の行動は街で決めるから」


「・・はい」


 そのまま馬車をメチケルンを目標に走らせること数時間、街の入り口前にたどり着いた。


「ようこそ、地方都市メチケルンへ」


 友好的な若い門兵に話しかけられたラニアとリンは身分証を提示し確認され、荷台に他の門兵が俺達のギルドカードを確認し乗合馬車と勘違いされそのまま街に入ることができた。


 そのまま馬車を預かり所に預け、今夜の宿を急いで探す。さすがに、この人数を同じ宿に泊められる程の空き部屋がある宿屋がなかなか見つからない。


「次の宿屋でダメだったら、別々の宿屋に別れて泊まることになるから」


 そう伝えたたけど、皆は納得してくれる表情にならない。次の宿屋もきっと断られるだろうと入りながら受付にいる青髪の女性に聞いてみた。


「すいません、この人数を今夜泊まれる部屋ありますか?」


「はぁい、いらしゃいませ〜!みなさんが泊まれる部屋です・・・・ね」


 受付の女性は、俺達の人数を数えながら最後に言葉が途切れてしまう。


「さ・・さすがにみなさんご一緒の部屋はありませんね・・」


「ですよね〜。すいません、他へ行きますね」


「すいませ・・カラ?・・カラだよね?」


「えっ?」


「やっぱりカラだ!」


 受付の青髪の女性がカラを知っているように声をかけ、驚いたカラがジッとその女性を見て笑顔になり名前を呼ぶ。


「タミア?タミアなの?」


「そうよ・・久しぶりじゃないカラ。冒険者ギルドの受付嬢って聞いていたけど・・」


「ギルドは、もう退職したのよ。今はこの人のお嫁さん・・かな」


「えっ?もう婚姻したの?って他の女性達は?」


「カラさん、独り占めはダメですよ。私もその1人でもあるのですから」


 マリアがそっとカラの反対側に立ち、腕を絡ませてくる。


「き、綺麗な人・・ってまさか・・ウソでしょ?」


「ハルは、私のだよ〜」


 リル達も参加してきて収拾がつかなくなってきてしまった。


「まぁまぁ、みんな落ち着いて・・今は泊まる場所を確保するのが優先事項だから!」


「こ、これが・・ハーレムなの?初めて見たわ・・黒髪少年のハーレム」


 受付の女性に何か、不名誉な称号を言われたような気がしたが、みんなを落ち着かせることで手一杯だった俺は聞かなかったことにした。


「カラ、狭くなるけど2部屋使えば泊まれないこともないわよ」


「タミア、いいの?ハル、2部屋でよかったら泊まれるって」


「マジで?そうしよう、カラ」


「タミア、それでお願い」


「ありがとう、カラ。料金は・・この人数なら金貨2枚だけど大丈夫?」


「助かります、タミアさん。これ、受け取ってください」


 受付のタミアに金貨2枚を手渡し、代表で俺のギルドカードを提示してから部屋の鍵を2個受け取り皆で部屋へ移動するが、久しぶりに出会った友人と交流を深めるためカラだけ受付に残った。


「部屋割りは任せるよ、俺はこっちの部屋にいるから」


 この俺の一言が引き金となり、ハルとの同部屋戦争が廊下で勃発していたことを聞かされたのは翌日の朝にカラの口から聞いて気付いたのだった。








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