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8章 王国潜伏編 23話 旅のはじまり②

アクセスありがとうございます。



 「どこから来た?・・・・ここに何の用だ?」



 陽が傾き村の家や門衛の影が伸びた時間帯に、俺達の馬車は遠く見えていた村の前に辿り着き門衛の青年とラニアが会話をしている。


「王都からの旅の途中です。今夜1晩泊めさせてください」


「・・この村に大人数を泊める宿屋は無いぞ・・」


「しかし・・このままでは・・」


 やはりこの村に泊まる宿が存在しない、そしてラニアが戸惑う声を聞いたところで、俺は荷台から降りて門衛の青年の前に出る。


「止まれ!・・お前はなんだ?」


「どうも、このパーティリーダの者です。帝国から王都経由でここに来ました。これが、帝国ギルドカードです」


 胸元からギルドカードを出して、青年に提示する。


「むぅ・・確かに帝国のギルドカードと書いてあるな・・そんな遠くから本当にきたのか?」


「はい、そうですよ・・マリア!アルシア!こっち来て」


「「 はぁい!! 」」


 荷台から軽やかに2人が降りてきて、俺の横に並び立ち胸元から帝国発行の冒険者ギルドを取り出し青年に提示する。


「ホ、ホントのようだな・・人数も多いし、もう入っていいぞ!何も無い村だけどな」


「ありがとう、1晩世話になるよ」


「そうだ、左のあそこで野営してくれな」


 門衛のい青年が指差す方向には適度に広い場所があった。


「ありがとう!」


 そう言いながら馬車の前を歩き、俺は気配探知スキルを発動し村の状況を把握しながら目的の広場へと向かう。


 指定された広場に着いた俺達は、暗くなる前に素早く設営を終わらせ自分達の活動スペースを確保し夕食はラニアが中心となって琴音や真衣達が楽しそうに手伝っている。


 もちろん獣人シスターズは、村中を走り去り村を探検しているようで姿が見えない。とりあえずすることが無い俺は野外イスに座り、俺と一緒ですることのないリンを見つけ隣りに座らせる。


「リン、君のスキルは身体強化と他に何があるの?」


「はい。他には鑑定スキルと気配探知スキルの察知スキルが少し使える程度です」


「そっか・・なら、この時間でスキル強化しような」


「・・はい?」


 俺はリンに膝の上に座るように言うと、戸惑っていたが近くにいたマリアがリンに問題無いと伝えるとリンがゆっくりと俺の上に座る。


「それじゃ、俺に任せて・・」


 そっと後ろからリンの両手を握り、俺の魔力を彼女へゆっくり流しはじめた。


「んぁっ・・コレは、この感覚はなんですか?」


「俺とリンの魔力の相性を確認しているところだよ・・そのまま俺の魔力を受け入れてみて」


「・・んっ・・濃いぃ・・」


 たまに身体を捻るリンが俺から落ちないようにしながら少しづつ混ぜ合わせる魔力量を増やしていき、リンに拒絶反応が無いことを確認し次の段階へと移行する。


「リン、今から俺が発動したスキルを共有させるから頭に入る違和感を受け入れてくれる?」


「い・・違和感?何それ?・・怖い・・」


 リンは少し怖がっていたが、マリアの一言で落ち着き受け入れてくれる。


「行くよ・・リン」


「はい・・」


 俺は少しづつ気配探知スキルの情報をリンと共有していく。


「・・リン、何か変化あったかな?」


「・・頭の中にマリア様のような存在がいる場所がなんとなくわかります。あと、ラニアさん達の感じもなんとなく掴めますね」


「そっか、なかなかのセンスだね。このまま範囲を広げていこう」


 そのまま気配探知スキルの捜索範囲を広げていき、リンの限界が近づいたところで終わることにした。


 気配探知スキルを習得できたリンに、常に目の見える範囲を発動させスキルを向上するようにと伝えたが、疲れ切ったリンはイスに座ったまま頷くだけで動こうとしなかった。


「マリア、ちょっといい?」


「なぁに?」


 リンを介抱していたマリアを呼び、いつもの膝の上に座らせ身体を密着させる。


「私も何かするの?」


「あぁ、あのナイフ出してくれる?」


「うん、いいよ」


 マリアは太ももにあるスローイングナイフを1本取り出してくれる。


「それじゃ、始めよう」


 何度かマリアと魔力融合をしているため、マリアと俺はすぐに魔力の波長が同調する。


「・・ハル、最初より何か敏感に感じるよ」


「マリアも感じるんだね。これなら・・いろいろイケるね。指先からナイフに魔力を流そうか・・」



「ん・・わかった」


 マリアの握るスローイングナイフに魔力が伝わり、僅かに振動する。


「ハ、ハル・・ビリビリチリ〜ンしてる!ナイフが・・ビリビリ・・」


 変哲も無いナイフが突然振動することに驚きの声をあげるマリアを落ち着かせるよう、ゆっくり声をかけた。


「そのまま我慢して・・ナイフの先まで十分に魔力を流して・・」


「・・こ、こう?」


 マリアの繊細な魔力操作で、スローイングナイフ全体に魔力が流れていく。


「よし、マリアそのまま右横の柵にナイフを水平斬りをするように手首を返してごらん」


「うん、やってみるね」


 前を見ていたマリアは、1度俺を見てから右横の柵を見た。


 

 シュッ!



 マリアが手首を使いスローイングナイフを水平に斬る動作をすると、風魔法ウインドカッターが切っ先から放たれ柵の一部がスパッと切断され魔法は遠くへ消えていく。


「うそっ!!」


 突然放たれたウインドカッターに驚くマリアが、視線の先にあった柵が切断されたことが理解できず、ゆっくり俺の方を見る。


「完璧だねマリア。これで攻撃の幅が広がったね」


「ど・・どうゆうことなの?説明してよ・・ハル!」


「ん〜そうだね、簡単に言えば武器を振ることでウインドカッターが放てることができるようになったよ。だから練習すれば、威力と射程を任意に決めて放てるよ・・こんな感じにね」


 俺はマリアのスカートに手を忍ばせ、太ももにあるスローイングナイフを引き抜きマリアの前でナイフを軽く振り範囲を狭め威力を上げ射程を伸ばしたウインドカッターを放つ。


 

 ビシュッ!!



 俺から放たれたウインドカッターが、一人分の幅の地面を深く抉りながら突き進み柵を豪快に破壊する。


「あっ・・やり過ぎた・・」


「バカッ!」


 村の外柵を壊してしまったため、マリアとの鍛錬を終わらせ気付かれる前に急いで直しに行く。


「ねぇ、直りそう?」


「あぁ、なんとかね」


 急いで柵を直す俺を隠すようにマリアが背後に立っている。


「こんなもんかな、戻ろう」


 立ち上がりマリアの手を握り急いでテントへと戻る。その後は、俺達のいる場所の前の道を村人達が通り過ぎて行くが、特に気にする様子は無かった。


 それからしばらくして陽が沈みきる前に遊びに行っていたリルの声が聞こえ、獣人シスターズの姿が見えてきた。



「ハル〜〜!! 戻ったよ〜!」


「おかえり、結構楽しんでたみたいだな・・」


 全身泥だらけのリル達に生活魔法クリーンをかけて綺麗にしてやると嬉しそうにテントへ入って行く姿を見送ると大きなテントが視界に入る。


「でっかくなったな・・」


 人数が増えて1つのテントでは入りきれないため2つのテントを繋げ大きなテントを見上げ、ミオと2人でいた時より遥かに大きくなってしまったと感じ見つめていると陽が沈み街に比べ暗くなる村を見渡しながら焚き火をみんなで囲む。


「さぁ、食べよう」


 ラニア達が作ってくれた夕飯を皆で食べ終え、片付けた後はみんなテントにん入るのを見送り、1人焚き火の前のイスに座る。


「あいつ・・元気しているかな・・」


 これから会いに行くアイナのことを思い出し呟く。心の片隅にはリサのことが強く残っていて不安な部分もある。


「あの・・」


 不意に背後から話しかけられ振り向くとリンが傍に立っている。


「リン・・どうした?」


「その・・教えてもらったスキルが、どうしてもうまく使えなくて・・」


 申し訳なさそうな感じで、リンが遠慮がちに話しかける。


「そっか、ならココに座ってもう1回練習してみよう」


「・・・・はい」


 リンは、ゆっくり近づき俺の膝の上に座る。


「それじゃ、はじめるよ」


「・・お願いします」


 リンの手を握り俺は魔力をゆっくり融合させ、マリアよりゆっくりと時間をかけて・・。


「あっ・・きた」


「準備できたみたいだね・・いくよ」


「・・きて、ください」


「まずは、魔力を周囲に広げて見て・・誰かを探すような感じで・・」


「この傍にいるのは・・」


「それは俺だね・・なら、そのまま広げてみよう」


 彼女の持つ魔力に変化が出て捜索範囲が広がっていく。そのまま俺の誘導に上手く反応できるようになり、この村をカバーできるほどの感知能力になるまで成長していく。


「こ・・これは、かなり頭の中がグチャグチャで気持ち悪いですね・・」


「そうだね。この違和感が慣れてきたら、反応した存在が誰だかわかるようになるよ」


 それから数回一緒に気配探知スキルの練習をしたリンは、使い方のコツを掴んだようで俺から立ち上がる。


「これからは、1人で練習してみます」


「そっか、また行き詰まったら聞きに来ていいから」


「はい。また聞きに来ます」


 そう言ってリンはテントへと戻り、俺はまた1人で焚き火から爆ぜる音を聴きながらゆっくりと過ごし手を加えなかった焚き火が熱を失い消えていく。


「・・そろそろ寝るかな」


 暖が取れなくなり、空気が冷たくなったのを感じた俺はテントの中へと入ると脇に誰がいる。


「おぉ・・起きてたの?」


 中に入るとすぐ横に座っていたリンが見上げ俺と視線が重なる。


「はい。中で警戒をするのも大事ですから・・」


「大丈夫だよ・・俺らパーティーに夜警は不要だから」


「しかし・・もしものことがあります」


「よからぬことを考えた奴が来たら、リル達が反応するし・・な?」


 リンの肩を2回軽く叩き、寝るように催促する。


「・・はい」


 納得してくれたリンは、寝ているマリアの横へ移動し寝転がる。そして、テントの奥にポッカリと空いている場所が俺の寝る場所だ。


 テント入り口近くには、ラニアが寝ていてその周りを琴音や真衣達が寝ている。そして俺が寝る場所を囲うように獣人シスターズが仲良く寝息を立てて寝ている。


「最近、この配置が固定されてきたな・・」


 そう言いながら、置いてある毛布を広げながら寝転ぶ俺を待っていたかのようにリル達がモゾモゾ寄って来て包囲される。


「仕方ないな・・おいで」


 そう呟きながら毛布をめくると、待っていましたかのようにリルとクウコが笑顔で潜り込みいつもの様に俺を左右から密着し、ミオとミリナは足元から潜り込み俺の腹辺りに頭を置いて動かなくなる。


「・・・・こんなんじゃ、寝れねーよ・・」


 4人から返事は無く、ただグリグリと顔を擦り付けるだけで終わった。


「・・・・まぁ、いっか」


 

 そのまま諦め目を閉じて眠りにつき、そのまま朝を迎えるのだった・・・・。






 



 

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