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8章 王国潜伏編 20話 庭でリンと・・そしてマリア

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 さすがにリンの痛がる声を聞いていた真衣達は、痛みの恐怖心のせいでリンと対峙するだけで攻めようとしない。俺達に囲まれたリンは視線を激しく動かし、不利な状況から勝ち抜く道を探し警戒している。


 膠着状態を打破するため、俺からリンに飛び込んで行くと、リンの全身が微かに光に包まれ身体強化スキルを使ったことがわかった。


 リンの反応速度が格段に高まり、先程とは見違える動きになった。その動きに合わせるように俺も斬撃速度も上げていく。すると負けじとリンの速度も上がっていった。


「リン・・能力を隠していたな・・」


 そう呟き、敢えて少しずつリンの動きに遅れていくようにして、追撃を諦めた俺をチラ見するリンの口元が笑うところが見えた。


 俺を振り切ったと思っているリンは、対応が遅れている真衣達に一気に襲いかかる。


「せぃやぁー!」


 前衛職では無い美音を標的にして一気に詰め寄るリンに、俗に言う魔法剣士職の琴音が美音を庇うように飛び出しながら、火魔法ファイヤーショットを放つ。


 同時に4発のファイヤーショットがリンに襲いかかる。それに対抗するかのように、リンが急停止し風魔法ウインドシールドで防ぎきる。


「あ〜もう少し時間差でファイヤーショットを放てばなぁ〜」


 そう呟きながら、リンと真衣達の戦闘を少し離れて見守る。


 リンが琴音のファイヤーショットを防いだため動きが止まり、それを狙っていたかのように愛菜が1人突っ込んで行くが、タイミングが遅く体勢をを立て直したリンに上段斬りを受け止められてしまい有効打撃を与えれず打ち合いが始まる。


 リンと愛菜が打ち合うタイミングを見ながら真衣達が加勢しようとしても、なかなかタイミングが取れないため動きが止まっている。



「はぁ・・アレじゃダメだな」


 そう呟いていると、左腕にそっと体を寄せてくるマリアが呟く。


「あの子達、うまく連携が取れてないみたいね・・」


「そうだね、これまで互いの動きをちゃんと見てない証拠さ・・そうだ!マリアも参戦してきなよ」


「えっわたしが?・・私が入ると瞬殺・・じゃなくてみんなの鍛錬にならないんじゃ・・」


 謙虚に見えるマリアも、たまに容赦ないことを言う。とりあえず、マリアに新たな木剣を手渡す。


「マリア、リンを行動不能にさせた後に、一度距離を取って真衣達を倒して来い!」


「もう、どうなっても知らないんだからね・・」


 そう言いながらも、嬉しそうな表情を見せるマリアの足取りは軽く、一気にリンと愛菜の元へ駆け抜けて行く。


「やっぱ、チートプリンセスだな・・素早さが以前より速いじゃないか・・」


 速すぎて少し後ろ姿がブレて見えるマリアが、打ち合っている2人の木剣をあっさり弾き2人の体を仰け反らせる。


 マリアの突然の介入に一瞬驚いたリンと愛菜だが、マリアの獲物を捉えるあの視線を見たリンが素早く反応し、マリアの下から喉元を狙う初撃をギリギリのところで受けるが、手を抜かないマリアの力に押し負けて後方へ吹っ飛び地面を派手に転がり柵に体をぶつけてなんとか止まった。


 吹っ飛ぶリンを倒したとわかったマリアは、最後までリンを見ることなく一度庭の隅に移動し、一呼吸置いてから次なる標的を愛菜に決め襲いかかる。


「はやっ!」


 愛菜の悲鳴のような言葉を気にもしないマリアが、そのまま愛菜に水平斬りを与えようと迫りながら構えた時に、美音が射速の速い火魔法ファイヤーアローを連発でぶっ放す。


 ドドドドドッ!!


 美音の容赦無いファイヤーアローが、マリアの手前に着弾し地面が陥没して行く。


「あぁ・・家が壊れる・・」


 俺の呟きを気にせず、美音はファイヤーアローを撃ちまくるがマリアは脅威のあるものだけ木剣で弾き、それ以外は体を捻りながら躱し愛菜に近接する。


「そ・・そんな、嘘でしょ?」


 ファイヤーアローを木剣で防ぎ飛ばす技を見せるマリアに、真衣達の表情を青くさせる。俺は、マリアの強さを見て嬉しくなり心がウズウズしてくる。


 すると、自分達とマリアの強さの違いを見せつけられた4人は悪足掻きするように同時攻撃を仕掛けて行く。


「あちゃ〜」


 真衣達の同時攻撃を見てニヤつくマリアの顔を見た俺は、真衣達の敗北を確信し頭を抱えてしまう。そして、無駄打ちをせずにマリアの華麗な剣技を見て我慢できず飛び出す。


 自分の足元に倒れている4人を眺めていたマリアだったが、迫る俺の気配に気付いたようで一気に後方へ飛び下がる。


 それを見越していた俺は、最高速に速度を上げたまま着地したばかりのマリアの腹に1発横切りをくらわせると。防御していたマリアの木剣がなかったかのように押し切り、横腹に木剣が食い込んでマリアが左に吹っ飛ぶ。


「あ゛ぁ・・」


 左に吹っ飛んだマリアだったが、打撃を受けると同時に治癒魔法を行使しダメージを半減させていたため、難なく着地し身構えている。


「なかなかやるじゃん・・マリア」


 俺の問い掛けにマリアは、ニヤリと笑うだけだった。


 他人に彼女達を傷つけられたら、俺は間違いなく瞬殺するだろう。でも、鍛錬として俺自身が彼女達の成長のためと思い傷付けることに微塵も嫌悪感は無い・・つくづく自分勝手な野郎だと思う。


「・・・・行くぞマリア!」


 さらに速度を上げた俺は、マリアに連撃をくらわしていく。もちろん当てる直前にかげんして顔には当てない。


 それを理解しているマリアは、怖がることなく応戦し、隙あらば攻撃して数発当ててくる。


 ヒュッ!


「うわぁっ!」


 右頬スレスレに空気を切り裂く音がする。


「あっぶねっ!・・スローイングナイフ投げやがったな!!」


 俺の焦る声に反応した事に喜んだのか、マリアの目が笑っている。


 ヒュッ!


「うぉっ」


 確実に俺の死角から投げて命中させるきのスローイングナイフが喉元を狙って飛んでくる。


「くそっ!」


 不覚にもマリアに押され気味になった俺は、彼女に見せていない技を発動させる。


 互いに木剣を撃ち合いながら、俺は木剣を握っている人差し指を軽く弾き、指先から風魔法ウインドカッターを放つ。


 手元から放たれたウインドカッターが、マリアの腕や肩に次々命中し服が裂けていく。突然の痛みと破れていく服に驚き、俺から一旦距離を取るマリアが警戒心をあらわにする。


「なにをしたの?」


「・・・・・・」


 お返しに無言のまま俺はニヤついた。


「負けないっ!」


 本気になったマリアが隠密スキルを発動し目の前から一瞬姿を消す。


「「 消えた!! 」」


 それを見たリンと真衣達が驚き声を上げる。


(マリア・・そのスキルを伝授したの俺だってこと忘れたのか?)


 そう思いながら俺は、ゆっくりと構えつつ姿を消したマリアの居場所を捉える。


 ヒュッ!


 俺の右足を狙うマリアのスローイングナイフを、右足を最小限に動かし躱すと同じ方向から姿を眩ましたマリアが斬りかかってくる。


「単純だな・・」


 そう呟き、俺の首元を狙うマリアの木剣を左手で彼女の手を掴み勢いを殺したと同時に右足で横腹を蹴り飛ばし吹き飛ぶ彼女の木剣を中心に地面に叩きつける。


 ズドンッ!!


「ぎゃっ!」


 俺に手を捕まれ倒れ込んだ彼女の腕を背中に回し関節技を決めたところで模擬戦を終わらせた。



「鬼畜の所行だわ・・」


「ぐはっ・・」


 背後にいる真衣が呟く言葉が、俺の心に大ダメージを与える。俺は、マリアの手を解放し振り向きながら真衣達に言い訳をする。


「実戦にやり直しは無いからな。負けたらそこで死ぬか、真衣達なら男の慰め者になって捨てられる・・だから、やり直しができる鍛錬でギリギリまで追い込む。これが唯一の生き延びる術なんだ」


「でも、・・あれじゃマリアさんが・・・・えっ?」


 真衣が派手に倒されたマリアの身を案ずるが、途中で目を見開き固まっている。


「私がどうかしましたか?真衣さん」


 全身の服はボロボロだけど、ケロッとしているマリアが俺の横に立つ。


「な・・なんで普通に動けているんですか?」


 マリアに叩きのめされたリンが、立っているだけがやっとの状況を見ている真衣は普通にしているマリアを見て混乱している。


「ハル・・」


 すると、横にいるマリアが俺を見上げニコっと笑い、説明してあげたら?っとうオーラを出してきた。


「・・そりゃ、俺がマリアを直々に鍛えたからな、実力はS級ランク冒険者以上だぞ」


 そう告げると、真衣達がもっと詳しくと詰め寄ってきたため仕方なく簡単に説明した。


「マリアは、前衛職を鍛えた後に後衛職も同じように鍛えたんだよ」


「・・おにぃ?それはどういう事なの?」


 俺の説明に、いまいち理解できない琴音が聞いているとマリアが答えた。


「ハル・・もっと噛み砕いて言いますと、相手を攻撃しながら受けた傷を治癒魔法で回復しながら戦闘が継続できるのです。もちろん、周囲にいるパーティーメンバーの回復を同時並行可能ですよ」



「・・・・めちゃくちゃな、ガチチートじゃん!!」


 愛菜が叫ぶように呟く。


「違うぞ愛菜、チートプリンセス・マリアだ!」


「「「「「 ・・・・・ 」」」」」


「でも、さっき姿が消えたように見えたような・・」


 冷静さを取り戻した真衣が、1つの疑問を口にしていた。


「あぁ、たしかにマリアは姿を消したよ。なぁ、マリア?」


「はい・・・・」


 ニッコリと笑うマリアは、真衣達の前から姿を消す。


「「「「「  消えた!!!!! 」」」」」


「きゃっ!」


 愛菜が突然悲鳴を上げたため、真衣達が愛菜を見ると、そこにはマリアが隠密スキルを解除しスローイングナイフを愛菜の首元に突き付けている姿があった。



「まぁ、こんな感じにアサシン活動もできるプリンセスなんだよ」


「もう、訳がわからない世界だわ・・」


 真衣がそう呟き地面に座り込むと、マリアは愛菜を解放し俺の横に戻って来る。


「おにぃ・・」


「にぃに・・」


「「 私もマリアさんみたいに強くなりたい 」」


 琴音と美音が俺にくっつき強くなりたい言い寄る姿が妹ながら可愛く見えてしまい了承してしまった。


「琴音、美音・・かなり辛い鍛錬になるけど、途中で投げ出さず頑張れるか?」


「「 うん!!おにぃ(にぃに)のために頑張る!! 」」


 俺は2人の頭を撫でながら強くしてあげると伝えていると、真衣と愛菜も強くなりたいと願い出てきた。少し悩んだ振りをして、俺は真衣と愛菜の希望も受け入れ了承する。


「もう、初めから決まっていたんでしょ?」


 マリアが俺の耳元で呟き、俺は苦笑いしてしまう。


「さぁ、もう陽が沈む時間が近づいて来るから、みんなで汗を流しに風呂に行こう」


「「「「「「  はぁ〜〜い!!!!!! 」」」」」」


 俺の言葉に違和感をもたない真衣達が、俺と一緒に風呂へ向かって行く姿を見ながら俺は、ドキドキしながら歩いて行くのだった・・・・。



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