8章 王国潜伏編 21話 4人の想いと繋がり
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新たな動きの前の日常です。
自然な流れでマリア達と3階の脱衣所に入り、風呂に入る準備をする。
「みんな、お風呂できたよ〜」
そう言いながら俺は服を脱ぎ始めると、隣りに来たマリアも服を脱ぎはじめる。
「あの・・マリアさん!」
背後にいる真衣がマリアに声をかける。
「どうしました?」
「どうしてハルと一緒に脱いでいるんですか?」
「えっ?・・何か変ですか?」
俺は2人のやりとりを気にせず、脱いだ服を籠に入れて浴室のドアを開けようとしたら止められれる。
「ハル!なんで普通に入ろうとしてるの?これじゃ、混浴じゃない」
「ん?別に普通だろ?なぁ、マリア?」
マリアは俺を見て頷いた後に、真衣達を見て告げる。
「真衣さん、何を恥ずかしがるのですか?ハルとは、濃密な関係なので裸を見られるのも普通ですよ。この場に他の殿方がいれば別ですが」
マリアはそう言いながら俺に寄り添ってくる。
「ねぇ?ハル・・」
「だよな、マリア」
俺は、マリアの手を握りそのまま風呂場に入って行くと、後ろから琴音と美音の声が聞こえる。
「待って、おにぃ〜!」
「にぃに、美音達もすぐ入るから〜」
「早く来いよ〜」
チラッと振り向きながら伝えると、2人は急いで服を脱ぎ俺の後ろをついて来てそのまま風呂場に置いてある小さめの椅子に座り、頭と身体を洗いはじめる。
その様子を見ていると、遅れて真衣と愛菜が身体にタオルを巻いて入り、琴音達の隣に座り同じように洗いはじめる。
俺は、マリアを座らせ後ろに立つ。
「マリア、お腹大丈夫か?」
「うん、ハルに教えてもらった治癒魔法とタイミングが良かったから平気だよ」
「なら良かった・・また強くなったな?」
「ううん・・まだまだハルに近づけないよ」
「簡単には追いつかせないさ・・久しぶりにマリアの髪洗ってあげるよ」
「・・うん」
優しくお湯をかけて頭を丁寧に洗う、こないだ洗ったのはいつだろうと考えながらマリアの髪を見つめる。
「綺麗な金髪だな、マリア」
「そうかな?クウコちゃんの髪には負けるわ」
見上げるマリアが、そう呟く。
「ん〜マリアは品のある艶やかな金色で、クウコは少し白っぽいからまた別だと思うけどな」
「ありがと、ハル」
笑顔になるマリアの長い髪を洗い終えると、交代で俺の髪を洗ってあげると良い強制的に椅子に座らせられ頭からお湯をかけられる。
「ハルの黒髪って不思議ね・・」
「そうか?」
「この世界では、召喚者様のみが許される黒髪・・」
「まぁ、勇者と一緒だけどな・・あっマリア?」
不意にマリアが後ろから優しく抱きついてくる。
「ハルは、あの人とは違うわ」
「・・だと良いな」
そう言いながら顔をあげるとマリアが下を向き軽くキスをしてくれた。
「そろそろ入ろ・・ハル」
「あぁ」
俺は立ち上がり、浴槽の方を向くと先に入っている4人と目が合う。
「おにぃ・・」
「にぃに・・」
ずっと見つめられる俺は急に恥ずかしくなり、急いで真衣達から離れた場所から浴槽に入ると後から入って来たマリアに両肩を掴まれ真衣達の方へ移動させられてしまう。
「ハル、そんな離れちゃダメ・・せっかく一緒に入ってるんだから。ねぇ、真衣さん」
「・・・・はい。そ、そうでしゅね」
「真衣先輩が、かんだ・・」
しばらく、ゆっくりとした時間が流れ、疲れが抜けていると、マリアに後ろから抱き締められたまま肩まで浸かっていることを思い出す。
「あっゴメン、マリア」
身体をマリアに預けていた俺は、起き上がろうとした時に彼女の腕が俺を抱き留める。
「ハル、今はこのままで・・お願い」
「えっ・・あ、うん」
すると、マリアの長い髪がお湯に浸かりユラユラ揺れているのを見ている琴音が口を開く。
「あの、マリアさんは髪が濡れないように髪を纏めないんですか?」
琴音が長い髪を下ろしたままのマリアに聞くと、マリアは笑顔で答える。
「琴音さん、この髪はこのままで良いんですよ。ハルの好みでもありますから。なので、リルちゃん達のように髪の長い子はみんなこうしてハルと湯浴みを楽しんでいます」
「そうなんですね」
マリアの言葉を聞いた琴音が、俺を見た後に纏めていた髪をほどきマリアの真似をする。
「おにぃ、どうかな?」
「あっ!お姉ちゃんズルい!」
琴音が不意に髪を下ろしたことに美音も負けじと髪を下ろす。
「・・2人とも、なかなかの美人だな」
そう伝え満足そうな顔になる2人を眺めていると、背中を預けているマリアがギュッと身体を寄せて笑っている。
それから長く入っていた風呂を出た俺達は、昼飯を食べるために食堂へ向かう途中に2階の大部屋でくつろいでいるカラとナトリアそしてシェルに声をかけて食堂に呼ぶ。
俺は、みんなの飯の支度をするためキッチに入ると置き手紙があり、それには昼飯の置いている場所が書いてあった。
「ラニア・・さすがだな」
そう呟き食堂へ集まるみんなの昼飯を配膳し終えて、王都へ買い出しに出かけて行ったラニ達を除いた留守番組が全員揃い一緒に昼食を摂る。
皆で楽しく食事をしていると、いつもクウコが座る席にナトリアが座り食べている横顔を見て、ふとあることに気付いた。
「なぁ、ナトリア?」
「んぐ・・どうしたんじゃ?」
「お前さ、神界?に戻らなくて大丈夫なのか?」
「まぁ、そうなんじゃが・・戻りたくても戻れないんじゃ・・」
「・・そっか、大変だな」
俺は敢えて戻れない理由を聞かずに話を終わらすことにする。
「ぬぁ!・・妾に出ていけと言わんのか?」
「そんな必要ないだろ?ここに居たくないのなら別だけどさ・・」
「ハルよ・・そんな優しい言葉、妾は初めて聞いたぞ!」
1人で勝手に喜んでいるナトリアはガツガツ飯を食いながら、しばらく世話になると言っていたのを俺は適当に返事をしてやった。
「あぅ・・この前触れも無く雑に扱われるのも・・なかなかいいものじゃ」
喜び自分の世界に浸っているナトアリアを放置して、食べ終えた俺達は午前中の疲れを癒すため大部屋でゴロゴロ過ごし、陽が沈む頃にラニア達が沢山の荷物を乗せて戻って来たのを玄関先で出迎える。
「おかえりラニア。無事で良かったよ」
「ただいまハル。リルちゃん達がいたから不安はなかったし、たくさん買い揃えて来たよ」
「ありがとう、大変だったね」
ラニアを軽くハグすると、荷台からリル達が飛び降り突っ込んでくる。
「ただいま!」
「おかえりリル、ちゃんと買い物できたんだね」
そう言って頭を撫でてやると、そのまま家に入って行き他の3人も同じように頭を撫でてやるとリルの後を追いかけるように家へ入って行く姿を見送った後にラニアを見る。
「ラニア、王都で何か変化なかったか?」
「うん、変化かどうかわからないけど騎士の姿をよく見かけたの」
「そうか、ありがとう。じゃぁ、荷物の整理しようか」
荷台に積んであるたくさんの荷物の中で、野営に使うパーティー用の大型テントなどの野外用品を自分のアイテムボックスに収納し、食材や調理具をラニアのマジックポーチに収納させ、各人レベルで必要な小物をそれぞれに手渡した。
「ハル、いつ見ても凄い収納力ね・・」
ラニアが、何気なく入れ続ける様子をジッと眺めながら呟く。
「だよね。際限なく入るんじゃないかと思っているよ」
買い揃えた荷物の収納を終えて、ラニアと家に入り二階の廊下で別れ俺は3階の寝室へと向かいベッドで横になり天井を見つめる。
「明日から、久しぶりに馬車の旅が始まるな・・」
しばらくこの家を無人にしてしまうため、王都へ行ったラニアに信頼できる商人ギルドに維持管理の依頼をしてもらった。
それにしてもかなりの大所帯での旅になるため、馬車2台でに分乗を伝えたら誰もが不満の顔になってしまったため、諦めた俺は今の馬車で行くことに決めた。
これからテント生活になり、今以上に皆と近い距離で寝ることで一夜で全員はないよなと考えていると寝室のドアが開き琴音と美音が入って来た。
「おにぃ・・」
「にぃに・・」
「おぅ、どうした?」
2人は黙ったままベッドで横になる俺の隣に座る。
「明日から旅が始まるんだよね?」
「そうだよ琴音。馬車に乗ってみんなと旅行だ。地方へ討伐の時もしてたから平気だろ?まぁ、いろいろ不便になるけど」
「うん。そうだけどさ」
「にぃに、それならテントに泊まるの?」
「あぁ、基本的にテントだよ。宿屋は状況次第だね」
琴音が心配そうに聞いている。
「そっか・・今夜を逃したら、しばらくテント暮らしなんだ・・」
2人が布団に潜り込んで、左右から俺の身体に寄り添ってくる。
「おにぃ、あのね・・一緒に寝よ」
「にぃに、お願い。初めては家がいいから」
2人の言葉で、全てを理解した。
「おいで琴音、美音・・一緒にな・・」
そのままギュッと抱きしめて、3人で一緒の甘い時間を過ごし満足した2人は小さな寝息を立てて寝ている。その2人の可愛い寝顔を見ていると、再びドアがゆっくり開き2人の顔が覗いている。
「ハル・・」
「センパイ・・」
顔を覗かせていたのは、真衣と愛菜だった。そのまま2人を呼んで寝室に招き入れる。
「ホントに寝てるんだね・・しかも兄妹で・・」
真衣が琴音と美音を見ながら呟く。後半はかなり小さな声で。
「2人がこの時間に来るなんて珍しいね」
「センパイ、明日から旅なんですよね?」
「あぁ、長い旅になるかもな」
愛菜が恥ずかしそうに聞いてくるが、次の言葉が出てこないようだ。すると、代わりに真衣が告げてくる。
「ハル、今夜は一緒に寝て欲しいの。琴音と美音みたいに一緒に寝たい・・」
「センパイ、4人で決めたんです」
「決めた?4人で?」
「そうよ。この異世界で生きて行くには、ハルの傍にいることが幸せだと。もちろん、元の世界に戻れたとしてもね」
「真衣・・愛菜」
「それに、センパイ!マリアさんから聞いたんです。センパイと繋がって魔力を混ぜ合わせると格段に成長するって」
物凄い期待感で愛菜が俺を見つめる。
「それは、たしかにそうだけど・・」
俺が少し悩んでいると、真衣と愛菜が真剣な表情で告げる。
「ハル・・元の世界で突然ハルを失って凄く悲しかった・・もう2度と逢えないんだと思って、それを認めたくなくて部活に打ち込むしかなかった。でも、ある日の部活中に声がしたの。いつか必ずハルに逢えるようにするって」
「それで、召喚されることを知っているような仕草を琴音に見せたのか?」
「うん・・根拠はなかったけど、あの言葉を信じるしか、私の生きる手段が無かった。そして、やっと逢えた・・嬉しかった・・だから今日までわたしは、その・・純血を守ってきたの」
「真衣・・」
「センパイ!私も真衣さんという彼女がいることを知ってたのに、あの日告白しました。センパイの少し困った顔を今でも忘れられません。だから謝りたくて、でも好きが止まらなくて・・返事が聞けないまま逢えなくなって・・でも、いつか必ず逢えると思って、大好きなハル先輩に捧げたくて純血を守ってきました」
「愛菜・・ゴメンな、俺が優柔不断だったから」
「センパイ、謝らないでください。今もこうして傍で同じ時間を過ごせているのが、とても幸せなんです。これからも一緒に居てください」
「ありがとう。真衣、愛菜・・こんな俺だけど一緒に居てくれ」
真衣と愛菜をゆっくり抱き締め、そのまま一緒に布団の中に招き入れた後に2人の体温を感じながら一緒の時間を過ごす。琴音と美音と過ごす時間とは、また違った甘い時間をゆっくり時間をかけて身体と心で共有した。
目を開けると、右に琴音と美音が、左に真衣と愛菜がこちらを向いて寝ている。そのまま4人に生活魔法クリーンをかけて全てを綺麗にさせながら呟く。
「とうとう、一緒に住む子に手を出してしまったな・・あっ!ナトリアは女神だからあり得ないな。
明日から、アイナの別邸へ向けて出発する。経路はリンに任せることにして、道中に横で寝ている琴音達のチート化計画を考える。
なかなか良い案が浮かばない。理想は一気に済ませたい・・けど、俺の身体が持たないため焦らず公平にやる必要が現実は難しい・・そう悩んでいると他の部屋にいたみんなが入って来た。
「終わった?」
先頭のマリアが聞いてくる。
「ん?・・あぁ、無事に終わったよ」
獣人シスターズは、部屋の匂いを嗅ぎながらベッドに上がり俺にくっついてくる。相変わらず、リンは部屋のドアの横に立ち微動だにしない。
マリアとカラはソファに座り、ナトリアはベッドの壁際に座り俺をジト目でスケコマシと小さく呟いている。
みんなと遅れて部屋に入って来たラニアは、俺に水の入った大きなコップを手渡してくれる。
「ハル、喉渇いたでしょ?飲まないとダメよ」
「ありがとう、ラニア。助かるよ」
ラニアからコップを受け取り、乾いた喉を潤すように一気に飲み干す途中に少し口から溢してしまうが気にせずコップをラニアに返すと、溢した水をリル達がペロペロ舐めている。
「お前ら、くすぐったいよ」
何も言わないリル達は、満足したのかそのまま布団に潜り込む。
そして、俺は1人距離を取っている人物を巻き込むように声を出す。
「みんな!明日から旅の始まりだ!けど、その前に・・リン!!」
「はっ!」
「お前は、いつまでそこにいるんだ?」
「しかし、私は・・」
人質の身として、一線を引いているリンにマリアが声をかける。
「リン・・あなたも、もう私達と同じです」
「・・だってよ、リン」
「はい・・」
リンは、マリアの元へ移動する。
「これで全員揃ったね。明日から俺の我がままで旅を始める。まずは、アイナと合流だ。彼女は共に来るか来ないかどちらを選んでも、俺は彼女の意志を尊重する。本音は共に来て欲しい。でも、アイナが別の道を選ぶならそれに従う」
俺の話に、みんなは静かに聞いている。
「・・だから、みんなも彼女が別の道を選んでも尊重して欲しいんだ」
俺と目を合わすリンが何かいいたそうな表情をしているが、言葉を飲み込んだようだ。
そして、みんなに言いたい事を伝えた俺は、みんなと1つ大きなベッドで同じ夜を過ごし眠りについた・・。




