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8章 王国潜伏編 7話 王城侵入・・・①

アクセスありがとうございます。





 リル達と別れ、暗い街道を走る俺は隠密スキルを発動し王都南門を目指す。そして、南門に近づいた俺は走るのをやめて歩き、音を出さないように門へと近づいて行く。


 この時間帯は、門が閉まる時間に近いだけあって駆け込む冒険者パーティーが多い。門が閉まってしまうと、野営確定のためみんな必死だ。


 その横を俺は、門兵の動きを観察しながらタイミングを合わせ門を通過し王都に侵入することを成功させる。そのまま大通りを歩き途中から人気のない裏路地で隠密スキルを解除し表通りに出る。


 たまたま通りに出た場所の近くに花屋があることに気付き、2人分の豪華な花束を買い再び裏路地に戻り隠密スキルを発動し家屋の屋根を利用し王城の正門を目指す。


「確か、こっちだったよな・・」


 王城の位置を確認しながら走っていると、見覚えのある広場が視界に入る。


「たしか、ここは・・・・」


 途中で思い出すのを強制的にやめて、近くなった王城を見上げ呟く。


「・・さぁ、王国イチのココの警備は万全か?」


 気配探知スキルを王城内に絞り精度を飛躍的に向上させた俺は、手に取るように場内の状況が把握できた。


 その中で、大きな部屋で大人数が一定の間隔で動かず、その周りを数人が忙しなく動いている。


「・・今はちょうど夕飯の時間か・・」


 そして、俺は屋根から降りて広場を歩き正門の前に1度止まり、そして歩き出し侵入を試みる。門を警備する兵士達は、俺の存在に気付かず姿勢を保ち前を見たままだ。


「そんな見た目だけじゃ、警備にならないよ・・」


 そう思いながら詰所で待機している兵士達に視線を向けると、彼らは居眠りをしている。


「はぁ・・危機感が微塵もないな・・」


 そのまま詰所の横にある通用門を通り城内に入ることに成功する。今の俺は、旅人のようにゆっくり歩き周りを見渡しながら王城の造りを観察する。


「さすが王国の王城だけあって、外部からの攻撃に防御しやすい造りになっているんだな・・まぁ、兵士達の士気は最悪だけどな・・」


 そう呟きながら歩いていると中庭に辿り着いたようだ。


「右は確か・・鍛錬場で、左に騎士の寮があったよな」


 あの時のことを思い出し、少し悲しい気持ちになり1人の名を口にする。


「・・トニー」


 唯一の幼馴染で俺を裏切った男の名を消すかのように頭を左右に振ってから歩き始め中庭を通り抜け城内に入り廊下を歩く。


 ときどきメイドや巡回する兵士とすれ違うがバレることはない。階段を上がり、大勢が食事をしている大部屋を目指し階段を上がり目的の階の廊下を歩くとその部屋の前でメイド達が忙しそうに料理を運んでいる。


 その慌ただしい様子を見ながら、裏方も大人数相手だと大変なんだなっと同情していた俺は、ふとラニアが1人で俺達の料理を毎日作ってくれていることに改めて感謝した。


「さて、どんな豪華な料理を食べているのかな?」


 大部屋のドアを行き来するメイド達のタイミングを合わせて俺は、大部屋に入る事ができ見渡すと食事をしている顔ぶれに驚いてしまった。


 部屋の上座に王族一同が横一列に座り上品に食事をしていて、下座側の大きなテーブルを囲うように黒髪黒目の集団が思い思いに食事をしている中にアイツを見つける。


(勇者と言っても素行はガキだな・・ってアイツの隣にいる2人は・・)


 見ただけでムカつく勇者の左右に座って、ゆっくり食べているのは琴音と美音だった。あまりの懐かしさに俺の視界は少し滲んでしまう。


(・・ここは1つ2人に挨拶するか・・)


 まずは、コップの水をちびちび飲んでいる美音に決める。ゆっくりと美音の左後ろに立ち耳元で、彼女だけがハッキリ聞こえるようにささやいた。


「ただいま美音。元気そうで安心したよ」


 んっブフーッ!! ゲホッ・・ゲホッ・・


 盛大に美音が口に含んだ水を撒き散らす。


「うわっ!汚いぞ美音!」


 美音は勇者の言葉を無視して、急に立ち上がり叫んだ。


 ガタッ


「にぃに!!」


「・・どうしたの美音?」


 行儀の良い美音が口に含んだ水を突然吹き出し、俺の名を呼びキョロキョロと周囲を見渡している行動に琴音が戸惑っている。


「お姉ちゃん!にぃにの声が・・ただいま!って・・にぃにの声がしたの!」


 なぜか、琴音より勇者の野郎が先に口を出す。


「はぁ?寝惚けた事言ってんだよ美音。アイツは、もういないんだよ」


「そんな事ないもん!にぃには・・生きているもん」


「美音!落ち着きなさい!今は・・食事中よ」


「うぅ・・だって聞こえたんだもん・・」


 琴音に叱られた美音は俯き食事をやめてしまった。


(やべ・・これは逆効果だったか?)


 美音の突然の行動に王族達は、食事をやめて見つめていたが静かになったことで食事を再開する。だが、ただ1人周囲を見渡す王族がいた・・それはマリアだったが彼女のスキル能力では俺を簡単に看破できない。


 美音を呼び捨てにする勇者にムカつきながらも、美音の狂言を回避させたくなり次なる目標の琴音の右後ろに近づき耳元で同じようにささやく。


「ただいま琴音。美音の言う事はホントだよ」


「おにぃ!!」


 ガタッ!


 美音と同じように立ち上がり同じ反応する姿を見て、やっぱ双子なんだなぁと感心した俺だったが上座の方で慌ただしく立ち上がる音がしたため視線を移動させる。


 その先にには、マリアが立ち上がり俺を見ていた。正確には、突然声を発した美音と琴音だが。


「お二人とも、そのにぃにとおにぃと呼ぶ方は誰のことですか?」


 その問いかけに姉の琴音が答えた。


「お食事中に失礼しました。急に兄の声がしましたので思わず呼んでしまいました。きっと空耳です」


「空耳ですか・・もしよろしければ、お兄さんのお名前を教えてもらえませんか?」


「・・・・はい。名前は、ハルと・・」


「ハルッ!!」


 マリアが琴音の口からハルと聞いて、思わず名を叫んだ。


「どうしたのマリア?そんな大声出して、下品ですわよ」


「すいません、取り乱してしまいました」


 マリアは、隣に座る少女に注意されていた。


「琴音さん、美音さんお兄さまの名前はいい名前ですね。きっとお2人の想いでお兄さんの声が聞こえたのでしょう」


「はい・・ありがとうございます」


 マリアは琴音と美音を見つめているが、明らかに俺がいるのではと感じ周囲を観察している目をしている。それを見て、俺はマリアにもイタズラをすることに決める。


 王族の周りには、メイドの人数が多くて近づいても常に周囲を警戒しないと接触しそうになる。そして、この部屋で誰よりも気付きやすいマリアの側へは少し慎重に近づき耳元に息を吹きかけながらささやいた。


「ふぅ、チートマリア」


「ハルッ!!」


 琴音達と同じように立ち上がるが、腕を振り回し見えない俺を掴まえようとしてきた。


「何事じゃマリア!」


 あの国王が立ち上がりマリアを凝視する。


「あぅ・・お父さま・・なんでもありませんわ・・あの子達の真似をしてみただけですわ」


「・・・・」


 マリアの行動に理解できない国王は、ドッシリと座り無言で食事を再開する。立ったままのマリアは一礼し勇者達に謝罪した。


「勇者様・・そして皆様、お騒がせして申し訳ありません・・」


 頭を上げて笑顔を見せるマリアを見る勇者達は、それぞれが頷き視線を料理に戻し食事を再開していく。そして、小さく溜息をついて、椅子に座ろうとするマリアに近づきもう1度ささやいた。


「右足のナイフ、今も付けてくれてるんだ」


 そう呟きながら、マリアの右足の内股に軽く右手で触れる。


 ビクンッと反応するマリアは、声こそ出さなかったが明らかに俺の存在を確信したようで、コクリと頷くだけで期待する反応はしてくれなかった。


(さすがに2回目は通じないか)


 マリアから離れる俺は、琴音の側に近寄り伝える。


「琴音、今夜寝静まる頃に部屋に行くから美音と待っていてくれな」


 琴音は1回頷き、何事もなかったように食事をしてくれたため隣にいる勇者に気づかれる事はなかった。


(残りは、あの2人だな・・)


 俺は、そう思いながらこの世界の幼馴染達がいる部屋へと歩き出し、アイテムボックスから花束を出す準備をしている俺の心は落ち着いていたのだった・・。









今回は、ハルから勇者達がいる王城へ行きました。

もちろん、メインは幼馴染に会うためですが・・

その前に脱線してしまい、幼馴染に会うのは次回になっちゃいます。


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