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7章 王国マリア編 20話 最終地の王都へ・・①

今日もアクセスありがとうございます。



「寝れない・・」



 都市ニシバルでの防衛戦から勇者との小規模な衝突した日の夜だ。久しぶりの交戦だったため魂が昂っている。上半身を起こし、モゾモゾと毛布の中で動いている3人を見たとき薄暗い中でマリアのうなじを視線が捉える。


「あぁ、ムリだ」


 理性から本能へと主導権を握られた俺は、3人の寝顔を見て一気に加速する。


 どれくらいの時間が経ったのだろうか。ふと我に返る。


「疲れた・・」


 テントの隅の方で丸まっている毛布を拾い3人にかけてテントから出た俺は、消えかけた焚き火に新たに薪を放り投げ火力を増し始めた焚き火を経ったまま眺めた後にテントへ戻った。


 改めてテントに入ると、汗臭いしことに気付き生活魔法クリーンで浄化を試みる。


「クンクン・・はぁ、しばらくていれしてなかったから、完璧には消えないか・・」


 呟きながら大きめの毛布をアイテムボックスから取り出し、HP回復ポーションを飲んで3人から少し離れた場所で横になり眠りについた。



(・・暑い・・暑いな・・なんでこんなに暑いんだ?)



 あまりの暑さに目を覚ました俺は毛布が異常に盛り上がっていることに、またシェルが潜り込んで来たのだろうと思いながら毛布をめくると理解できない状況が視界に飛び込んで来た。



「はぇ?・・ななっなんで?どういうこと?」


 毛布の中には、あの4人の獣人少女がぐっすりと寝ていたのだ。


「・・・・・・」


 4人それぞれのケモミミが触れる毛布に反応して、ピコッピコッと動く姿を見て思わずカワイイと呟いてしまった。



「・・って違う違う。いつまにどうしてここに?」


「んっ・・・・」


 左胸辺りに頭を置いていた銀髪少女が目を覚まし、パチパチッと瞬きをしながら俺と視線が重なると口を開く。


「お腹すいたよぉ」


「あぁ、飯にしようか」


「うん」


 少女の言葉に対して自然と出た言葉に驚きながらも冷静さを保ち銀髪少女の頭を撫でている。


 モゾモゾと動く銀髪少女が毛布から出る時に、軽く俺に口付けをして立ち上がり枕元で背伸びをしている。もちろん全裸のため全てが丸見えだが、それよりも痩せ細り所々骨格が目立つ体型が気になり十分な栄養が摂れてないことに心配する。


「寒くないか?」


「ん・・へいき」


「そっか・・」


 毛布からゆっくり出ようとしていると金髪少女の目がパチっと開き、金色の瞳と見つめ合うこと数秒。


「おはよ、ハルゥ」


 猫が甘えるような感じで首筋に顔をスリスリ擦りつけながら抱きついてきた。この子も銀髪少女と同じように痩せ細っている。そして力尽きたのか絡ませていた腕がプルプル震えた後に手を離し座り込んでいる。


 やっと立ち上がることが出来た俺はテントを出て焚き火の前に置いてあるイスに座り、彼女達に何を食べさせるか考えていると銀髪少女を先頭にテントから4人が出てきてイスに座る。



「アレが食べたい」


 金髪少女の子が呟く。


「アレって?・・あぁ、アレね」


 きっと肉串だろう。彼女らに食べさせたのは、ソレしか無いからだ。アイテムボックスから肉串を出して焚き火で焼いていく。


 ジュゥ〜


 朝から香ばしい香りが広がりクンクン匂いを嗅いでいる獣人少女達の口が半開きになり、美少女レベルがマイナスに振り切った顔をしている。


「庶民の食べ物だから、勇者達と行動する方が美味しいもの食べれるんじゃないか?」


 唯一ハッと我に返った黒髪オッドアイの猫人少女が慌ててヨダレを腕で拭きながら俺を見て答える。


「すっすいません、ご主人さま」


「いや、ご主人さまじゃないけど・・」


「勇者一行とは討伐で共に行動するのみでして、寝食を共にすることはありません。長旅の討伐でも全てを別にしています」


 黒髪猫人少女の言う勇者と寝食を別にするメリットは一つもないため理解し難い。


「でも、勇者と一緒の方が待遇が良いと思うんだけど?」


「はい、その選択に間違い無いです・・普通なら迷わずそれを選びます。ですが、私達にはご主人さまの存在があったので全てを断りました」


「・・ご主人様の存在?」


「はい・・それが、貴方様です」


「この俺が?・・まぁ、とりあえず先に食べてくれ」


 焼けた肉串を4人に手渡し次の肉串を焼き始めるが、なぜか食べずに俺を見ている。


「遠慮せず、食べな」


 この言葉を皮切りに4人が食べ始める姿を眺めながら、彼女達の名前を思い出してみた。


「銀髪がリルで金髪がクウコ。そんで黒髪がミオで茶髪がミリナだったかな・・」


 そう呟いていると、名前を口にした瞬間にその子のケモミミがピコッと反応する。それに気付いた俺は、もう1度名前を呼ぶ。


「リル、クウコ・・ミオ、ミリナ」


 食べることに夢中で俺の方を見ないが、ケモミミだけは素直に反応してくれる姿がとても可愛いのだ。


「おっと、マリア達がいるのにこんな感情を抱いちゃダメだな・・」


 何本目かを焼き終わりお腹が満たされた4人はイスに座ったまま眠り始めたため、汚れた口を濡らしたタオルで綺麗に拭いているとマリア達がテントから出てきたようだ。


「ハル、その子達は?」


「おはようみんな。マリア、朝起きたらテントに潜り込んでいたんだよ」


「そうなんだね・・でも、どうしてここがわかったんだろう?」


 たしかにマリアの疑問は理解できる。なぜここに俺がいることが分かったんだろうか。そう考えているとマリアの後ろにいたシェルが口を開く。


「ハル、そこの銀髪の子を見て何か思わぬか?」


「銀髪の?リルのことか?」


「リル?そう名付けられたのか。そう、そのリルを見て何か気づかぬか?」


 俺は、シェルとリルを見比べる・・。


「おぉ!そういうことか!」


 眠そうなアルシアが急に声を上げる。


「どういうことなんだアルシア?」


「ハル、銀髪と銀目が答えだ。どう見てもシェルと同じじゃないか」


 アルシアの指摘にシェルとリルを交互に見比べると、髪質や雰囲気も似ていると理解する。


「リルはシェルの子供・・人妻だったんだなシェル。連れ回してゴメン」


 シェルは、俺の発した人妻を強く否定し詳細を説明する。


「うぅ〜む。親子といえば親子なのか?実は、その子を疑似的に身篭ったのは女神ナトリア様からの願い出あったからな。もちろん、経験はハルが最初よ・・ふふっ」


「シェル・・そこまで暴露しなくても・・まぁ、とりあえず飯作るから待ってて」


 昨日の夕飯の残りが入った鍋を火にかけて、肉串の肉を足して肉野菜スープを作りマリア達に食べさせ、寝ている4人のイスを残し他の撤収を終えた俺たちは出発の支度を整え4人を起こす。


「おーい。俺たちは出発するけど・・」


「「「「  んっんぅ〜〜  」」」」


 4人がそれぞれ起き背伸びをして、銀髪のリルが俺を見て笑顔になり隣に立つシェルを見ると目を細める。


「貴様は・・イタイイタイ・・イタイよ」


 寝起きに魔力を練り始めた銀髪のシェルの顔を鷲掴みにして、魔力を飛散させ大人しくさせた後に優しい口調で告げた。


「リル、ダメだよ。シェルは敵じゃないから」


「うん・・わかった。ゴメンなさい」


「凄い・・あのリルちゃんが素直に言うことを聞くなんて・・」


「ミオお姉ちゃん、わたし初めて見たよ」


 黒髪のミオと茶髪のミリナが何か呟いているが気にせず、手を離しリルに話しかける。


「俺たちは、今から王都にいくけどリル達はどうする?」


「・・嫌だけど、今日はアイツのところに帰る。またお腹すいたら来るね」


「そっか。気をつけて帰れよ」


 銀髪のリルと金髪のクウコが手を振り駆けて行く。


 タタタ・・シュッ!

 

 2人が並んで数歩駆けて行った直後に姿を見失う。


「はやっ!!」


「あっ待って!リルちゃん、クウコちゃん!!」


 遅れて黒髪のミオと茶髪のミリナが2人の後を追って姿を消して行く。


「あんな子供なのに目で追えなかったわ・・さすが獣人の身体能力は凄いわね」


 マリアが4人の走り去る姿を見て呟いていた。


「さぁ、俺達も行こう」


 残っていた野外イスを片付けて、俺達は馬車を王都に向け走り出す。







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