7章 王国マリア編 19話 防衛戦の後で・・・・②
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「ただいま!」
勇者が連れ添う獣人達と別れ、マリア達が待つ場所の近くで隠密スキルを解除するとシェルが抱き付いてきた。
「遅いぞ、ハル!」
「すまない。いろいろあってな・・とりあえず、この街から出て王都へ行こう」
シェルがギュッと抱き締めた後に離れアルシアと共に場所を引き取りに行くのを見送り、マリアと2人きりになる。
「・・ハル」
「マリア・・」
「・・わたしの知らない女の香りがします」
「なっ・・・・」
「私達がハルを見失った時間に何があったの?」
女の間は鋭い・・このまま誤魔化すのは、後々危険だと感じた俺は、素直に弁明という謝罪をした。特に勇者と共に行動する獣人シスターズとの繋がりに不信感を抱いている表情をするマリアだったが渋々理解してくれたようだ。
「 と・り・あ・ず 」
「はい」
「足を折って座りなさい」
「はい」
腕を組み仁王立ちするマリア王女様の前で正座で座り俯き説教タイムを待つ。
「・・・・」
静かな時間が流れ、なかなか始まらない説教タイムに耐えきれなくなった俺が顔をあげると、目の前にマリアの顔があった。
「マリ・・」
マリアの名を口にする途中で彼女の唇で口を塞がれてしまうこと数秒、そっと唇を離した彼女がゆっくり告げる。
「ハルを・・貴方を見失った時間は、どれだけ不安だったかわかる?私だけじゃないの。アルシアもシェルも不安で仕方なかったんだよ。貴方を喪うかもしれないという恐怖が私達の心を蝕んでくるのよ」
「マリア・・」
スッと立ち上がり1歩離れたマリアは、俺を優しい目で見つめてくれる。
「ハル、アルシアとシェルが来たよ」
マリアが差し伸べた右手を握り立ち上がった俺は、そのまま抱き寄せる。
「私ばかりはダメよ・・アルシアとシェルにシテあげてね」
「そうだね」
そう呟きマリアと2人でアルシアとシェルが乗る馬車と合流し、そのまま都市ニシバルを立ち王都へ向かい街道をのんびり走る馬車の荷台から景色を眺めていると、シェルがそばに寄ってきた。
「どうした、シェル?」
「ハル、この独特の香りは・・」
シェルが俺の全身をクンクン匂いを嗅いでいる。
「あぁ、あの獣人の子達の香りかもな」
シェルはもっと確かめるかのように大胆に匂いを嗅ぐ。特に首筋をしつこく嗅いでいる。
「シェル・・息がくすぐったいよ」
「す、すまぬ。ついな・・」
俺は密着している柔らかい身体のシェルをそのまま抱き締め、仕返しにシェルの首筋を嗅いでみる。
「んっ・・んぁ・・ダメだぞハル。こんな場所で、まだ明るい時かぁ・・ん」
「御者台の2人は気付かないさ」
イタズラ心が働いた俺は、抱き締められ身体を委ねているシェルの双丘を優しく刺激し、腰を僅かに動かし耐えているシェルの下の双丘も刺激し続けていると、彼女の目がトロンとしスイッチが入りそうになったため手を止めた。
「はぁ・・はぁ・・カラダをこんな状態にして、おあずけだなんて鬼畜ではないか・・」
「この先をスルには明るい時間なんだろ?続きは夜な?」
「んふぅ・・いろんなとこが濡れたままだから、なんとかしてくれないか?」
シェルの要望に応え、生活魔法クリーンで身体をスッキリさせてあげた。
「くぅ・・気晴らしに御者をするかのぉ・・アルシア!交代じゃ交代!」
少し紅く恍惚の表情をしたシェルが俺を見た後に立ち上がり御者台へ移動し強引にアルシアと御者を変わる。突然の交代に驚いているアルシアが荷台に来て隣に座る。
「ハル、シェルが急に変わるなんて珍しいぞ。しかも、全身からメスの匂いが漏れていたし」
「あははは。ちょっと俺の首筋をしつこく嗅いでくるから、ちょっとだけイタズラしたらシェルが一瞬で夜のスイッチが入っちゃってさ。だから、続きは夜にって行ったら気晴らしに御者するって」
アルシアは苦笑いしながら御者台の2人の背を見ていると、ふと口を開いた。
「ハル、このまま王都に行ってもマリアの処遇がどうなるか検討もつかないぞ」
「あぁ、それはわかっているさ。期日に間に合わないし、情報通りなら国葬も済んだ後に王都に着くからな。俺は、マリアの意志を尊重するよ」
「それが妥当だろうな」
アルシアと会話を続けていると、馬車が止まり御者台にいるマリアがここで野営すると伝えてきた。
荷台から降りていつものようにテント一式と野営セットをアイテムボックスから取り出し置くと、3人が慣れた手付きで準備を始める光景に驚き出遅れた俺は設営を3人に任せ周囲の確認に出掛ける。
「特に変わったところはなかったな」
そう呟きながら野営地に戻ると、設営が終わり夕食の支度を3人一緒にしている姿が見えた。
「俺も手伝う事あるかな?」
「大丈夫だよ、座って待っててね」
マリアの返事を聞いて、野外イスに座り調理とは別の焚き火に火をおこす。
パチパチッパチ・・
周囲の確認と共に集めていた薪が爆ぜる音を聞きながら自分の時間を過ごしていると、隣りにアルシアが座る。
「エルナは元気にしているかな?」
「そうだね、きっとエルナなら元気にしているさ」
「会いたくならないのか?」
「そりゃ会いたいさ。帝国へ戻ったら最初に会いに行く予定だし」
「・・そうか」
アルシアは、なぜか嬉しそうだけど複雑な表情をしている。
「急にどうしたんだ?」
「ん?いや、なんでもないぞ」
「俺の故郷は帝国だ・・王国にはいられないさ」
胸の奥にある本心をアルシアに伝えていると、調理が終わったマリアとシェルが少し離れた野外調理場から戻ってきて野外イスに座る。
「ハル・・帝国に帰っちゃうの?」
マリアが寂しそうな表情で聞いてくる。
「そうだな。王国を満喫してから帝国に帰るよ」
「そ、それなら、少しは王都にいる?」
「マリアの身の周りが安定して、問題が無いと判断してからになるかな。それまでには、王国トップクラスのアサシンへと鍛えて、自衛ができるように仕上げるからな」
「そう・・」
後半の冗談をマリアは聞いていなかったような反応だった。
「そういえば、アルシアとシェルはどうするんだ?アルシアは、ソロ冒険者でマリアを王都へ送るために同行しているだろ?シェルは、なんだか見つかったみたいだし」
アルシアは、信じられないような表情で俺を見て口を開く。
「ハル、本気で言っているのか?さすがの私も泣いてしまうぞ・・」
「ん?最近、アルシアの喋り方が変わったよな?」
アルシアは、イスに深く座り空を見上げ溜息をついてから立ち上がり、俺の前に立ち見下ろす。
「アルシア?」
「ハル・・私はな、私は・・」
「なんだ?」
アルシアは屈んで、ズイッ紅く染まる顔を近づけて告げた。
「ハルに惚れてしまった・・その、なんだ・・これからも一緒にいるぞ」
「・・ありがとうアルシア」
近付けていたアルシアの顔を両手でムギュッと挟み込み口付けをして離すと、無言のまま自分のイスに座り全身をモジモジしている。
「次は、シェルの番じゃな」
シェルは、昼間の続きを求めてくるかのように俺の膝の上に座り、自身のオシリをグリグリ押し付けている。
「シェルさん?」
「ハル、シェルも側におるぞ。きっと良いことがありそうだからな」
「ありがとうシェル。けど、まだ夕食食べてないから・・な?」
1人だけ王都で別れることが決まっているマリアが1人落ち込んでいるが、気持ちを切り替えるように夕食の配膳を1人始める。
「はいはい。2人は良いですね・・配膳手伝ってください。そして今夜は早く寝ましょうね」
夕食を食べ終え夜警を必要としない俺達は、4人一緒にテントに入り毛布を手に寝場所を決める。もちろん俺のお気に入りの場所は入口から一番奥の場所で、そこを陣取り横になると3人が俺の周囲を囲むように寝転がる。
「なんかさ、せっかく広いテントなんだからこんなに密集しなくてもいいんじゃない?」
「ダメ・・これからきっと増えるハズだから、コレでいいの」
そうマリアに言われ、諦めた俺は目を瞑り眠ることにした・・。
けど、素直に寝れる状態にないことに俺は気付いたのだった・・・・。




