振り回される者
--渚side--
渡された書類に赤月渚とペンでサインをする。
「よし、書けたな。これで入学完了だ。他にも必要な物やサインする書類もあるが…後でいいか」
「ありがとうございます」
…すぐに終わった。
このあとどうするんだろう?
そんなことを考えていると後ろから声がかかる。
「あ?先輩、なんすかその子?うちの生徒じゃないですよね」
茶色い長髪の女性だ。
やる気のなさそうな目をしている。
「あぁ、カミラか。先生と呼べと言ってあるだろう」
「すんません、レオナ先生。で、どうしたんすか?」
慣れた関係なのか反省している様子などはない。
「今日から生徒になった。例のところから来た…向こうの世界のだ」
「…は?え、マジすか!?亀れ…こっちに人が来たんすか!?しかも今日!?」
「急だが校長や本部には私から言っておく」
カミラと呼ばれた先生は顔に手を当てて呆れている。
「はぁ…まためちゃくちゃな。勝手に決めて怒られても知らないすよ?」
「なんとでも言え。どうせどうにかしなきゃならん」
「まぁ…そうか。じゃあ今から顔合わせなんで、やることもほとんどないですしその子連れてきますよ」
「ん?だがクラス分けの試験もまだ…」
「今日来たんでしょ?どうせ0点になりますって」
…なんだか好き勝手言われている気がする。
「0点だとどこになるんですか?やってみないとわからない」
カミラ先生に抗議するように言う。
「わかるよ、常識が違うからな。どうせ行くのはFクラスだ。問題児だらけのな」
「え…?」
その言葉に瞳が輝く。
ナギと一緒のクラスだ。
「行きます!Fクラス!」
「なんだ急に。お前もお前で肝が据わってるな。ここに送られたのもさっきだろ」
「…赤月渚です」
「ん?あぁ、名前か。すまなかった赤月。まぁものわかりのいい奴は嫌いじゃない。行くぞ」
手招きをされたのでついていく。
「赤月生徒!あとでナギ生徒を連れてくるように」
そうして職員室を出ていき教室まで連れられた。
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「嘘つきーー!!」
教室にナギの声が響く。
嘘って何だろう?私はついてないはずだけど…。
「なんだ?お前は…ナギ・ミスティアか」
カミラ先生は持っていた名簿をパラパラとめくりながら言う。
「はっ!すみません、ちょっと知り合いで…聞いてた話と違ってたので…!」
「…まぁいい。赤月、好きなところに座れ」
「はい」
私はナギの隣に座った。
「よし、では一回しか言わないからよく聞け」
そう言うと教卓の上に何枚かの紙を置いた。
「ここに明日以降の要項が全て載ったプリントを置いておく。質問は受け付けん。よく読んでおくように。以上解散」
そうして教室を出ていこうとする。
「え!?ちょ…先生!?」
「あぁそうだ。ナギ・ミスティア、レオナ先生が呼んでいたぞ」
「うぇ!?」
バタンと教室のドアが閉まり出ていった。
「…終わり?」
ナギは唖然としている。
「早くてよかったなぁ。赤月…渚ちゃん?僕はソウマや、よろしゅう。ほな、ちょっと用事あって急ぐから。僕のことはナギちゃんに聞いといて」
「え?」
そう言ってソウマはプリントを取って教室を出ていく。
「私も用事~。ごめんね渚ちゃん~」
ミーネも同様に出ていく。
「え?え?」
「…」
無言で座っていたイリスも気が付いたら教室を出ていった。
口をパクパクさせているリアクションがとても面白い。
「ナギ、レオナ先生のところ。早く行こ」
「はっ!ごめん、そうだね。えっと…レオナ先生ってどの先生?」
「?今朝助けてくれた先生。名札あったの見てなかった?」
「み、見てなかった…。うぅ…」
名前の確認を怠ったことが恥ずかしかったようだ。
「大丈夫だよ、とにかく行こう」
そうして私たちは教室を出ていった。
職員室につき、扉を開ける。
「あの~」
「だからしょうがないじゃないですか!もう書類は有効なんで!」
「ひっ!」
叫び声が聞こえてナギの口から悲鳴のような声が漏れる。
中にはレオナ先生しかいなくて金属のようなものに口を当てて話しているようだった。
おそらく電話だろう。
「ん?あぁ、来たか。とにかくそういうことなんで!よろしく!」
投げるように電話を切るレオナ先生。
「あの~…大丈夫なんですか?」
ナギが心配そうに見つめる。
「ちょっとな、わからせたから問題ない。それよりこの書類だ」
どっさりと厚さ5センチはあろう紙の束を持ち出してきた。
「赤月生徒に出す予算と寮の申請、その他授業で使う用具についての書類だ。明日中に出せ」
「えぇ!?こんなに!?」
「多い…」
そう言うとレオナ先生はむっとした顔でこちらを見る。
「文句を言うな!無理やりねじ込ませる形になるんだ。全て揃っていないと申請が無理だ」
「うぅ…わかりました…明日までに書いてきます…」
そうして書類を受け取る。
「あ!それと渚がFクラスって聞いてないですよ!?びっくりしたじゃないですか!」
「遅かれ早かれそうなっていた」
「でも…」
「Fクラスにいるお前が悪い。赤月生徒は嬉々として向かったぞ。おまえ自身のことじゃないんだから文句たれずに順応しろ!」
「ぐ…」
論破されてしまったナギは口を閉ざすしかなかった。
「ほら、用は終わったんだからさっさと出ていけ」
「はぁい…」
そうして職員室から出ようとしたとき、追撃の言葉を食らう。
「あぁ、反省文も明日だからな、忘れないように!」
「ひいぃぃん!!」
ナギはそんな叫び声をあげて私たちは出ていった。
「はぁ…ひどいよねぇ!」
廊下を歩きながらナギは言う。
「うん。でも私やナギのことをちゃんと考えてだと思う」
「え?」
「だって言ってたでしょ?無理やりねじ込ませる形になるんだって」
「あー…。まぁ…そうかもしれないね。」
少し微笑みながらナギは言う。
それにつられて私も微笑む。
「じゃあ急いで書類を書きに…」
と寮への道を聞こうとしたところ、ナギは私の手を取った。
「ねぇ、ちょっとだけ寄り道していかない?」
「え?」
「案内したいところがあるんだ」
ちょっとしたいたずらをする前のような顔で私を見ていた。
おまけ
誰もいないF組教室にて
テオ「…はっ!ここは…!?」




